今回はクラブの中で意外と軽視されているシャフト全般の知識を解説していきます。
イチロー選手は激減している「アオダモ」にこだわります。グリップのたった0.1mmの太さがすぐにわかるといいました。
ゴルフは道具を使うスポーツ。イチロー選手並みとはいいませんが、ギアに対する知識はしっかりと持っておくと良いでしょう。
PGA3勝の丸山茂樹プロはBS-TBSの番組で、ヘッドに対しシャフトの差し方(方向)がちょっと変わっただけで飛びが違ってくると語っています。
ゴルフの習い始めでは感じなかった「シャフトはスイング中にしなる」ということも、腕前が上がるにつれ徐々にわかってきます。
さて、自分に合ったシャフト探しの旅に出ましょう。シャフト交換についての知識も一緒に学びましょう。
クラブのシャフトとヘッドは夫婦の関係
クラブを構成する部品は上から順に
- グリップ
- シャフト
- ホーゼル(継ぎ手)
- ヘッド
の4点です。
最近はライ角などを調整できる可変式のものなどもあり進化してきていますが、それでも主役はヘッドとシャフトです。
この両者はクラブの種類によって密度の濃い相関関係にあります。
ヘッドを生かすのはシャフト、夫婦に例えるとヘッドは旦那さんでシャフトは奥方さまといっていいでしょうね。どことなく支えあうようなところもあり、まさに相性は深く関係します。
シャフトはトルクを手に伝える
クラブの基礎知識として、重心距離があることを最初に知る必要があります。重心距離というのはシャフトの中心線と、ヘッドの重心位置とで決まる距離のことです。
野球のバットが飛んできたボールに当たるとき、いわゆる芯に当たった時は重心距離がゼロになります。
野球経験者は分かると思いますが、良い当たりをするとほとんど手ごたえはありません。逆に少しでもずれた時は、手にバットが捻られる違和感が伝わります。
それがモーメントの法則からくる「トルク」です。ゴルフのクラブも全く同じ考え方で大丈夫です。
ただし、ゴルフでは重心距離がゼロになることはないので、必ずトルクは手に伝わります。
しなりは「飛び」の生命線
ここで大事な言葉が登場しました。「トルク」ですね。
トルクとはシャフトのねじれ具合を表す数値のこと。市販製品のシャフトのトルクは、およそ1.5~12の範囲があります。
シャフトの素材によっても、スチールなら~2.0~、カーボン・グラファイトになると3~6程度となります。
トルクが少ないほど捻れにくいシャフトといえます。
先ほどのようにシャフトの軸心と、ボールが当たる部分に距離があればあるほどモーメントの支点と作用点の関係は明確になります。お互いが離れれば離れるほど、捻れ減少が強くなると考えてください。
スイングは大なり小なりしなりが加わるものです。
女性用とかシニアが使う、軽くて柔らかいモデルだからしなるのではありません。多くのドラコンマニアが使う、ビンビンにハードで重たいモデルでも一緒なのです。
シャフトのしなりをいかに上手に使いこなすかが良いショットを生むための大きなポイントです。
シャフト次第で飛び方は変わるもの
初心者のころ習い覚えた通り基本に忠実にスイングしているのに「スライスする、思ったほど距離が伸びない」などのお悩みがあるなら、シャフトを疑ってみる必要があります。
シャフトを取り替えた場合に何が変化するかというと、一番はボールの初速が変わる可能性が大で、ドライバーの飛距離にして10~20ヤード変わることも珍しくありません。
カスタムシャフトという言葉をご存知ですか。最近市販されている10年以内のモデルは、このカスタムシャフトが激増中です。
カスタムシャフトとはそのモデル用の純正シャフトではない別物という意味です。
クルマのことなど連想すると、なんとなく「純正部品」のほうがいいんじゃないの?って考えるでしょう。しかしゴルフでカスタムシャフトがたくさん用意され、一種の流行になってきたのは理由があります。
カスタムシャフトが好まれる理由
カスタムシャフトが流行っている理由は、経費的な面もあります。
購入時から純正ではない、別のメーカーがヘッド性能に合わせたデザインのシャフトなら、あとから交換してお金をかける手間が省けますからね。
それに、交換すると前のシャフトが無駄になってしまいます。
しかしカスタムシャフトの流行を逆から見ると、それだけシャフト交換が一般的になってきたという証拠でもあります。
一般に純正のシャフトは大量販売になるため、アマチュアの平均値的な装備になります。あまり個人個人の細かい違いまで配慮できないのですね。
でも表現を変えると、どなたが使っても振りやすい、クセがないともいえます。
シャフトはザックリ分けて、
- 重さ
- 種類
- フレックス
の3つの要素があります。
良いシャフトとは自分のスイングやパワーに同調するもので、それらの条件を満たすものです。
シャフト交換は高くつきます
シャフトの交換をリシャフトとも言います。
先ほどはリシャフトが一般的になってきたという話をしました。でも現実的にはかなり予算が伴うものだということもご紹介しておきましょう。
シャフトだけ交換するのだからせいぜい2~3万円とお考えの方はたくさんいらっしゃるはず。
でも(ケースバイケースで一概に言えませんが)、下手をすると新品クラブ1本に近いという例もあるんですね。
ドライバーやフェアウェイウッド用のカーボンシャフト1本の場合、有名メーカーもので2~3万円台が多く、モノによって5万円を超えるものもごくフツーにあります。
それに比べアイアンのリシャフトは品物に寄りけりですが、1本4,000~7,000円で大丈夫ですが、交換するシャフト×本数という点も考えておく必要があります。
さらにゴルフショップに依頼すると、別途でシャフトの工賃として1本1,000~2,000円が発生します。
リシャフトを自分で楽しむというテもある
そんなことで、器用な方は自分でシャフトの交換をします。上手にできるようになるとゴルフの楽しみ方が広がりますね。
そのためにはまず先に工具を用意する必要があります。
始めはホーゼル(ソケット)を万力などでしっかり固定し、いったん切り外したあとに装着してあるシャフトをヒートガンなどで温めて抜きます。
次に新しいシャフトを自分の理想的な長さにカットし、クラブのバランス(どこ当たりが全体のバランス重心になるか)を見ながらホーゼルの取り付けをします。
ただし、シャフトの素材がカーボンやスチールとなるとカットするためには専用の工具が必要です。
ちなみに、クラブの長さというのはクラブごとにルールで規定があります。
長さの定義は「グリップの先端から、シャフトの軸心線とソールの延長線の交わったところまで」のサイズと決まっています。
シャフトの基礎知識のまとめ
ここまでお読みいただき、大体ご理解いただけたのではないでしょうか。
シャフト交換をするなら、自分に合った性能のシャフトをトコトン追い求めることができます。
初心者にはまだまだ先の話~と考えるのではなく、むしろゴルフの原理を学ぶという点では早めにシャフトの知識を取り入れておくことをオススメします。
良いショットの条件は「しっかりとタイミングが合うこと」です。
ダウンスイングで「逆Cの字」にしなったシャフトが、インパクト後にきれいな「Cの字」を作ることができると、打ちやすさは倍増します。
自分のスイングに合ったシャフト選びこそ、ナイスショットの秘訣です。