ゴルフに限らず球技の多くは、「ボール捌き」のうまい下手、いわば職人芸的なところがあります。
そのテクニックは知識と経験からくる、総合的な「専門頭脳」が下支えになっています。
ゴルフは特に顕著で、10年経験したプレーヤーでも時々「なんでそんなことに気づかなかったんだろう!」と閃くことなど珍しくありません。
プロのようにコーチがついていると、逐一言葉での指導がありますがアマチュアはそうはいきません。それが本サイトのように100切りを目指す方のドリルであったり、市販されている書籍に書かれた一言だったりします。
何気なく読んでいた書籍に大きなヒントを発見する、そして練習してみる、そんな繰り返しをしながら人は上達するんですね。
今回はとても内容が濃く、かつ分かりやすい書籍のご案内です。初心者のみならずゴルフを生涯の趣味として向き合っている方にとってもオススメです。
書籍から学ぶ基礎知識に価値あり
比較的上達が早かった方によくある例ですが、基本的な知識を飛ばしてやや上級者のテクニックに走って失敗する方がいらっしゃいます。
運動神経に恵まれているタイプで、始めからボールコントロールが上手だったんですね。
でもゴルフには不思議なところがあって、基本を飛び越えて上手くなったような気になっても、どこかで基本に戻らなければ伸びしろが無くなるものなのです。
世界の一流プロたちが、いつまでたっても基本の反復をするのがその証拠ですね。
そんな時にサイトや書籍から学ぶ基礎知識こそが、あなたのベストコーチになります。
最近の傾向は動画やテレビが主体的ですが、プロたちのスロー再生を見ただけで自分のクセに気づくなら話は簡単、ところが実際はそう簡単ではありません。
やはり文章から脳に知らせるのは有効な手段です。
マーク金井『一生役立つゴルフの考え方』
今回ご紹介するのは『一生役立つゴルフの考え方』です。
著者のマーク金井さんは「ゴルフ芸人」とか「人間試打マシーン」などと自称していて、様々なメディアで活躍中の人気ゴルフクラブアナリストです。
ジュニア時代からゴルフに魅せられ、単身アメリカに渡り6か月で180ラウンド消化するという猛烈なゴルフ人生を歩んでおられます。
そのマーク金井さんのコンセプトをギュッと凝縮させて今回登場した「一生役立つシリーズ」です。
考え方から上達法、思考法など全部で数十巻に渡る大作ですが、今回は第一歩となった『一生役立つゴルフの考え方1』です。
上達は考え方ひとつ
著者のマーク金井さんが常に強調することは、「考え方次第でゴルフはうまくなる」ということです。
なかなかうまくならない人は
- 自分を客観的に見られない人
- 目指す方向が分からない人
だと話します。
例えばということで、初心者の方に向けた一文の引用です。
「皆、ゴルフ雑誌や本でヒントを得たら、ドライバーでやってみようとする。それもフルスイングで、それが簡単に出来るのなら、プロにコーチはいらない。免許取っていきなりF1に乗ってコンビニ行くみたいなことをする。出来るわけない」
とてもシンプルで大事なことですが、上達には段取りがあるということですね。
F1を乗りこなすにはまず補助のついた自転車から始めましょう。
ゴルフでいえば、まずは練習器具からスタートさせ、短いクラブを覚えたら徐々に長いクラブを打つ。
この段階を飛ばしていきなりドライバーを振り回したりするので上達が遅くなるという説諭です。
悪いクセに気づかないのがゴルフ
本書には随所に噛み応えのある部分があります。
「動きを変えてボールを打つということは、気持ち悪いものです。逆に気持ち悪くないのは、実は何も変わっていないということ。僕らはプロゴルファーじゃないので、誰も妄信的に信じてくれない。だから診断する際には、必ず映像を使って客観的に見てもらう。でないと気持ち良さから抜けられない。それぐらいセルフイメージは強固なんです」
人は誰でも”セルフイメージ”という固有の感性を持っています。
気持ちよく振れたというのは、正しいかどうかではなくクセを直さずにそのまま振ったから違和感を持たないということなのです。
本サイトでも繰り返し語っているように、人間は一度染みついたクセは床で何年も踏まれたガムテープのようにしつこく張り付いてとれません。
一番いいのはビデオや画像が見られるアプリなどでのチェックです。気持ち悪いスイングになったら、それはなにかを変えるきっかけになります。
いつも気持ちよく振ればいいということにはならないのですね。
ゴルフが上手い人とは?
では最後にもうひとつ引用してご紹介しましょう。
「ナイスショットが続くのが上手い人ではない。ナイスショットとミスショットの差が少ない人が上手い人」
初心者の皆さんも、時々上級者とラウンドする機会があると思います。
そんなとき、ゴルフがうまい人というのはどこが違うのかお気づきになりますか?
もちろん初心者でも、時にはファンタスティックな”ナイスショット”が出ます。でもナイスショットのスタンダードが、初心者の方と上級者で異なります。
初心者は自分の過去に比べて最高のショットに近いものだけがナイスショットになり、上級者は「まぁまぁだね」で良しとします。
この両者の違いは、ミスの幅に対する許容範囲の概念です。
ややオーバーな表現が許されるなら、上級者も初心者もナイスショットは似た者同士、それよりミスの程度を重視するほうがいいのです。
上ではなく下、つまりミスショットが「そこそこ」で調子を崩さずに18ホール回れるようになればウデはグングン上がるということになります。
残念な人のゴルフから卒業する本
この本はメールマガジン「マーク金井の書かずにいられない」所収、「残念な人のゴルフ」を再構成し、電子書籍化したものです。
今回は一部しかご紹介できませんでしたが、以下の目次から全体のイメージを感じてください。
第1回 あなたも「残念な人」かも?
第2回 ナイスショットの罠
第3回 根拠のないナイスショット、根拠のあるナイスショット
第4回 練習場では出来るのになぁ
第5回 素振りでは出来るのになぁ
第6回 「かたなし」と「型破り 」
第7回 意識で治れば、みんなプロ!
第8回 気持ちいい? 気持ち悪い?
第9回 開眼した! と言ってる限り上手くならない
第10回 脱残念な人セミナー編その1
読めば上達する書籍のまとめ
この『一生役立つゴルフの考え方1』は、難しいことを平易に書いている点が特徴です。
分厚い衣をつけないでサッと油を通した揚げ料理のようで、初心者の方には特にオススメです。
今回ご紹介した第一巻は、ゴルファーが陥りそうな「自分を客観的に見られない」という、共通の悩みに光明を当てたものです。
自分の考え方のどこに間違いがあるのか分からない方、どんなゴルファーになりたいのか目指す方向がいまだに見いだせない方は一度読まれたほうがいいでしょう。
本書はゴルフが一向に上達しない原因について、かなりダイレクトに書かれています。
考え方を変えればゴルフは必ずうまくなるという、マーク金井さんの説得力が詰まった一冊です。