ゴルフというスポーツにもたくさんの名言・格言が遺されています。
何年も多くのゴルフファンの間で生き続けてきた格言ですから、よく味わいながら何度も読んでいただけると、あなたのゴルフ上達の栄養剤になるかもしれません。
日本のゴルフ人口は年令層の変化などで減っているとはいえ、まだ700万人を超えている広大なすそ野があります。
最近の統計では20代~30代の女性が増え、高年齢化で少なくなった人数を埋めているため、総人数は変わらなくても初心者の方が多くなっているという実態です。
ゴルフを始めてボチボチ醍醐味がわかりかけてきた方は、このタイミングで格言を学んでいただけると、好きな趣味としてきっと役に立つこと間違いありません。
ある意味格言を知っていたほうが、ゴルフというゲームの奥行きを知る道しるべになります。
ゴルフのボールを打つことへの恐怖心?
女子プロゴルファーの古閑美保、上田桃子、笠りつ子、原江里菜などそうそうたるプロを育てた坂田信弘氏は、今でも「坂田ジュニアゴルフ塾」の塾長を務めています。
彼の言葉にこんなのがあります。
『怖いから逃げる?そんな逃げの気持ちでは、いつまでも弱き心の”逃げゴルフ”。弱気心を捨て、強き心のゴルフに変えよ』
ゴルフが怖い?
止まっているボールを打つことが「怖い」というと、ゴルフを知らない方がお笑いになるかもしれませんね。
でも、人間てそんなものなんですよ。初心者から中級者に進むにつれて深く理解できる言葉です。
坂田信弘さんの言葉からわかる教訓
ゴルフはメンタル的な要素が半分以上あるといわれます。
その割合も人それぞれで、心臓の強い人とそうでない人には差があり、それを計器で測ることはできませんが、大なり小なりアドレスの時には感じるものです。
ミスしたときのことが頭の片隅を過り、不安感がそのままミスになるというパターンがあります。
ゴルフはミスのゲームとはいえど、ミスを最小限に抑えるためには「恐怖心」を捨てて立つこと。
そのためには日々練習を積み重ねて不安を払拭せよという教えですね。
そして逆な意味で「恐怖心」を受け入れなさいということにも通じています。
ジャック・ニクラウスが遺したゴルフの格言
『すべてが順調ですべてが思った通り、そんなゴルフは存在しない。逆に、そうならなかったときこそゴルファーとしての本質がわかる』
これはゴルフの格言ですが、ゴルフをご存知の方もそうでない方も頷ける言葉ですね。
つまり一般社会でも人の生き方にも通用するからです。
人生はまさにそのものズバリ、困窮したリ切羽詰まった時にその人の”人間としての価値”が外部に露呈するものです。
よく似たことを岡本綾子さんが言っていました。
『ゴルフという人生、そんなに良い事ばかりじゃないの。だからこそゴルフは面白い』
だれでもキャリア1か月足らずでシングルに到達できるようなスポーツなら、数百年の歴史が持たなかったかもしれません。
ニクラウスと岡本綾子さんの言葉から、矢沢永吉さんの「あんた、人間のどのあたり?」という言葉が蘇りました。
ゴルフはマナーも含め、人のレベルまで外に出ます。
※ジャック・ニクラウス氏はメジャー18勝という史上最高のゴルファーといわれます。
アーノルド・パーマーとともに今日の興隆を築きました。
※岡本綾子氏は日本の女子として初めてアメリカのLPGAに本格参戦したプロゴルファー、1987年にはアメリカ人以外で初めて賞金女王になりました。
中部銀次郎が遺したゴルフの格言
『100、90、80、破れそうで破れない壁がある。その原因は心の中の高望みだ。スコアそのものを目標にしている間は破れないのが「壁」である』
ゴルフを始めたころは120~130というスコアをどなたも経験します。
まさに『継続は力なり』
ルールやマナーを知ること、スイングの基礎知識を学ぶこと、たゆまない練習があれば多くの方が100の壁にぶつかるでしょう。
でも、いつもスコア、スコアと頭の中で考えているだけではギクシャクしたおかしなゴルフになるものです。
中部銀次郎さんはものすごい練習量で何回も全日本のアマチュアチャンピオンになりました。
彼が言う言葉には、もっとゴルフを楽しみなさい、鳥の声を聴き風と戯れ、ミスショットを笑う心の余裕が上達の助けになるものですよという教えが込められています。
100の壁が刑務所の塀のように高くそびえ、立ち止まっている方がいたらこの格言が救いになるかもしれません。
ゴルフの甘いとか苦いというテイストを、時にはゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。
※中部銀次郎氏はかつての大洋漁業(プロ野球チーム、大洋ホエールズを持っていた会社=今のマルハニチロ)の副社長の三男です。
甲南大学在学中に日本アマのタイトルを手にしました。
アーサー・デイリーが遺したゴルフの格言
『ゴルフは恋愛のようだ。真剣にしないとつまらない。しかし真剣すぎるとガッカリすることになる』
ひと口に”恋愛”といってもイロイロですね。
ほとんどがハッピーなものもあれば悲恋とか道ならぬ恋もあります。
しかし、共通しているのは相手のことを知りたくなること。
それも根掘り葉掘り知らないと決して満足できなくなります。
それが”恋”なんですね。
ゴルフも同じことで、知れば知るほど楽しくなりますが、真剣になりすぎて仕事も家庭にも見向きもしないほどになると周囲から捨てられてガッカリすることになります。
あくまでも趣味ですから人生の主役でなく、自分を高めてくれる補助的なエンジンだと考えたほうが無難でしょう。
それにしてもゴルフを恋愛に例えるなんて、いかにも欧米人らしいカルチャーセンスです。
アーサー・デイリーという人物像はあまり定かではありません。
トミー・ボルトが遺したゴルフの格言
『ショットを乱すのは心だ。肉体は関係ない』
まったくおっしゃる通り、ゴルフは心理的な基盤の上でプレーするゲームです。
不思議なことに風邪で体調を崩していたとか、前の日に首を寝違えたので痛くてスイングできない・・・、などなど言い訳している日の方がスコアが良かったりします。
トミー・ボルト氏のこの格言には説明が必要です。
彼は非常に短気な性格で、仲間は名前で呼ばず「瞬間湯沸かし器」とか「噴火屋」と呼んでいました。
この言葉、およそボルトに似つかわしくないだけに数倍の説得力があります。
やはりゴルフは我慢するゲームなんですね。
ボルト氏がどのくらい短気だったかというと、とにかくミスするとクラブを投げたり折ったりしていました。
PGAはその野蛮な行為から、「故意にクラブを破損したら罰金を科す」というトミー・ボルト法を制定し、この規則は1960年まで生きていました。
ある時、パー3で池ポチャ、グッと堪(こら)えたのですがその後も3発!
7打目のボールが池に落ちたのを見て、彼はバッグごと水に放り込みました。
一瞬ギャラリーが静まりかえった後、トミーは腰まで浸かりながら池に入りバッグを引き上げました。
周囲が「反省したのかな?」と見守っていると、車のキーを取り出すとまた池へ!
そのまま家に帰ってしまったのです。
1951年彼が40歳の時は黒豹といわれたゲーリー・プレーヤーを抑え全米オープンのタイトルを手にしました。
しかし、今もジュニアの教育プログラムでやってはいけない「キレる行為」として材料にされています。
初心者の方は心してこのような悪態はつかないようにしなければいけません。
役に立つゴルフの格言~パート2のまとめ
『ゴルファーの最も崇高で最大の目的は、他人が絶賛するすばらしいショットではなく、ミスをひとつひとつ着実に減らしていくことである』
まさにゴルフの真髄を語るにふさわしい箴言ですね。
目の覚めるようなファインショットを打つことは悪いことではありませんが、もっと大事なことはミスを少なくすること、ミスの幅を小さなものに抑えること、そのような忍耐から生まれるスコアが真に価値があるという意味でもあります。
こう語ったジョン・ヘンリー・テイラーは、
『ゴルフを単に娯楽だと見るなら、その人はゴルフを永遠に理解できない謎となるだろう』とも言いました。
ゴルフは数種類のクラブを使い、直径10.8cmのカップに入れるまでの打数を競うゲームです。
しかしそのプロセスは言葉では説明しきれない”奥深さ”が存在しているといっています。
たしかにそうですね。
同じ人が「72」で回ったコースを、翌日になったら「82」叩く不思議。
10歳の子供でも入る1mのパットを、優勝がかかるとプロでも外すという事実は何と説明したらいいのでしょうね。
※ジョン・ヘンリー・テイラーはハリー・バートン、ジェームス・ブレードとともに近代ゴルフの3巨人といわれています。
奇跡的にこの三人はたった1歳違いでした。
身長163cmと恵まれてはいませんでしたが、全英オープン優勝5回は、トムワトソンと並び、ハリー・バートンの6勝に次ぐ記録です。