ゴルフのルールって知っておきたいけれど難しいよね~とか、時折変更されるので初心者はついていけません…、などという声をよく耳にします。
そもそも、”ゴルフの真髄”とは、いかに少ないスコアで上がってくるかというより、マナーやルールに精通するところにあります。
ゴルフが人格向上に役立ち、人生のエッセンスにならなければ意味がないからですね。
実際に公式ルールブックの最初のページは「エチケット」だということを見ても、そこに込められた意図が感じられます。
初心者がコースデビューする前の日夜はなかなか寝付けません。
スコアはいくつで上がれるかしら、他の皆さんにマナーやルールでご迷惑をかけないかしら、それよりもどんな服装で行ったらいいの?などキリがありません。
確かにいろいろあるのですが、今回は初心者が少なくともこれだけは知っておきたい最小限度のルールをまとめました。
実際のゴルフコースは広くて自然の中、想定外の出来事がいっぱい待っています。
そのため現実的にはもっとたくさんのルールを学ばなければならないのですが、とりあえずこれだけ知っておけばコースデビューしても大丈夫という初歩ルールを6つ掲載しておきます。
初心者がおさえておくべきゴルフルール6選
ゴルフのルールの大黒柱は「あるがままに打つ」ということと、「ジャッジ(審判)はすべてプレーヤー自身」ということが大前提にあります。
あるがままに打てない時にどう処置をするか、それがルールです。
意図的に誤魔化すことはマナー違反ですが、ルールを知らない人も中にはいます。
ルールという共通の約束事を知らないでゴルフコースに行ってしまうと「無免許運転者」になります。
野球でいうとほかの方は空振り3回で三振、一人が4回で三振というのと同じです。
自分だけ数え方が違うのですから乱暴な話で、これではゲームになりません。
ルールを知らないでスコアの申告をすると、もしかして意図的にウソをついたのかと判断されたら名誉にかかわります。
ルールを知らない人は、いかにうまい人でも一人前のゴルファーといえません。
そういうことも踏まえ、ルールはシッカリ学ぶ必要があります。
今回は初心者が遭遇しそうなケースを6項目に分けています。
初心者のルール講座・その1.~空振り
空振り?それとも素振り?
同伴競技者が見つめる中、一人のプレーヤーが思いっきり空振り(?)してしまいました。
ほかの方はじっと成り行きに注目します。
この時のルールですが、本人が「素振り」と言ったら素振りになります。
疑問はあってもペナルティはありません。
反対に「空振り」だと正直に言えば1打が加えられます。
では、その点をわかりやすく解説しましょう。
ゴルフルールには「ストロークの定義」があります。
- ボールを打つ意思があってクラブを振る
- バックスイングはストロークではない
- ダウンスイングでも途中で止めればストロークにならない
ということです。
では素振りをしたのにボールに当たってしまったときは?
素振りはどこまで行っても素振り、1打になりません。
面白い話をひとつ。
うっかり空振りをした人は必ず周囲の様子が気になり、フッと一瞬目線を人に向ける癖があります。
「見られたかな?」という気持ちからなんでしょうね。
観察してみてください。
初心者のルール講座・その2.~OB
OBは2ペナルティ?
それは違います。
OB(アウトオブバウンズ)は実際に打った打数プラス1ペナルティで2打になります。
よくOBを打つと次が3打目と数えるところから2打罰と勘違いする方もいますが、あくまで1打の罰です。
最近のコースの多くはプレー進行を速めるために「前進4打(まえよん)」などと呼ばれる特設ティーを設置しています。
フェアウエイの一部やラフなどに置かれた黄色の丸いティーマークがそれですね。
もしこれがあるホールなら、最初のティーグラウンドから3打目で打つ必要はありません。
先ほどの特設ティーから4打目で、しかもティーアップして打てますからドライバーも使えます。
ルールは有効に活用していきましょう。
初心者のルール講座・その~3.ハザードでクラブが触れた
バンカーに入ったので打つ前に素振りをしていて砂を叩いてしまった!
これは明々白々な違反行為ですから2打のペナルティがつきます。
規則ではこう決められています。
「プレーヤーはバンカーやウォーターハザードで、その中にあるボールを自分の手やクラブで触れてはならない」と決められています。
もう少し詳しくいうと、トップからダウンスイングで触れるのはルール上ストローク中ですから問題ありませんが、バックスイングや素振りでその行為を行うと一種のライの改善になるという判断になります。
ハザード(池やバンカーなど)のルールはかなり細かく、また初心者がよくお世話になる場所です。
初心者のルール講座・その4.~グリーンで使用禁止のクラブ
グリーンにオンしたボールですが、カップまではなんと30ヤードもあります。
そこでサンドウェッジを持ち出して打とうとしたら「ちょっと待った!」がかかりました。
初心者の皆さんにはよく出くわすケースですね。
この答えは○と×と両方あります。
①ゼネラルルール(世界共通のルール=ゴルフの本部R&A)では、グリーンの上で使うクラブを制限していません。
②ただし、プロのトーナメントとかアマの競技会など以外は、「ローカル・ルール」というものがあります。
これはゴルフコース独自に決めるルールで、スコアカードの裏に印刷してある細かい字がそれですね。
日本国内の大半のコースはグリーン上でパター以外のクラブの使用を禁止しています。
フェアウェイやラフなどはプレーヤーがディボット(クラブで掘った穴)を自分で修復できますが、グリーンはとてもデリケートなのでそれはムリです。
大事な芝生が傷められるとすぐには修復困難、後から来るプレーヤが迷惑、放置すると芝が部分的に枯れてしまうなどなどの理由でそのように決めているのです。
初心者のルール講座・その.5~ロストボール(紛失球)
やってしまいましたね~、ドライバーでバシッと打ったボールは林の中に消えていきました。
こういうケースで注意事項を知らないとそのあとのことに支障が出ます。
①ロストボールは捜索時間が5分以内と決められています。
その計時の始まりは、ボールを探す地点に到着した時から計測されます。
②5分経ってもボールが見つからない時は前打地点(ティーショットならティーグラウンド)に戻って次打が3打目になる打ち直しとなります。
※結果的にOBと同じ打数になる。
時々、見つからないからといって適当なところにボールを置いて打つ方がいますが、基本的には間違った行為です。
見つかる可能性が少ないと感じた時、あるいはOBに入ったかどうか判断に迷う時などは、迷わず「プロビジョナル(Provisional ball=暫定球)」と同伴者にハッキリ宣言して別なボールで打ちなおします。
仮に見つかった場合はその打数はカウントされません。
初心者のルール講座・その.6~ライの改善
何度も出てきますが、「ゴルフはあるがままに打つ」のが大前提です。
特に関係するのが「ライ」の問題でしょう。
ライというのはボールのおかれた状態のことをいいます。
ラフが深かったり芝生がなかったり、極端な傾斜地にあるときはライが悪いといいます。
さて、そのライに関しての知識です。
もし芝生にすっぽり埋まっていたときに、ボールがよく見えないからなどの理由で周囲の草を手足やクラブを使って状況を少しでも変えたら大問題です。
ライの改善は2打罰の重い罪になります。
アドレスの振りをしながらボール後方の芝を地面に押し付けるなどの行為はしてはいけません。
初心者のゴルフルール、まとめ
ここまで解説してきたのでご理解いただけたかと思いますが、ゴルフルールは罰を与えるために作られたものではありません。
ゴルフのルールの根本は「救済」です。
もちろんペナルティという罰打はありますがそもそもは救済目的です。
例えば深い池に入れてしまってはプレー続行不能になるでしょう。
いかにあるがままに打つといわれても、深い池にクラブを持って飛び込んでも簡単に打てるものでもありませんね。
1打の罰を払うことでプレーヤーは決められた場所からプレーが続行できます。
救済という点で、知らないと損をすることがたくさん並べられているのも見逃せません。
ゴルフは審判員がいないのでプレーヤー自身がルールを知り進行させねばなりません。
なのでつい自分に有利な裁定を下したくなるのも人情です。
しかし、ゴルフの精神は『私欲を捨て、自分が有利になる不公正な判断をしない』というところが本筋です。
むしろ、ゴルフを趣味にする最大の意味はそこにあります。
上達する人はルールをより深く学ぶ努力を惜しみません。プレー上達のためにもルールを深く理解しましょう。