池田勇太プロのアプローチって、一見すると「ちょっと変?!」と思いませんか?
実はスローで見ると全く基本に忠実なスイングなんですね。
驚くかもしれませんが本当なのです。
池田勇太プロは国内最大のトーナメント、2017年の第82回日本オープンを制しました。
ピンチでも、チャンスでもピカッと光ったのはアプローチでした。
最終日はアマチュアの金谷拓実に追い上げられてヒヤヒヤのはずが、池田プロ自身は少なくとも落ち着いて見えました。
金谷アマは19歳で池田勇太プロと同じ東北福祉高校の後輩だったから?
そ~ンなこと関係なかったようですよ、その裏付けとなったのがアプローチに強烈な自信があったことがあります。
今回は池田勇太プロのアプローチに学ぶ、中身の濃いレッスンです。
池田勇太プロはアプローチの自信に支えられた!?
3日目を終わって池田プロは10アンダー、金谷アマは5アンダーと5打の差から最終日は始まりました。
3番で池田プロは何とOB!
金谷アマは3番4番でバーディ奪取、なんとあっという間の1打差レースになりました。
あのアツい試合をハラハラ・ドキドキしながらご覧になったファンは、迎えた6番ホールを忘れないでしょう。
岐阜関カントリー倶楽部の東コース(7180ヤード、パー70)、ティーショットはやや打ち下ろし、6番のパー4のホールサマリーは難易度が15番目でどちらかというとやさしいほう、最終日の平均ストロークは3.873と数字はアンダーに振れていました。
1打差だっただけに池田プロの2打目がグリーンに届かず、手前の深いラフに潜ったときはちょっと冷汗が出たかもしれません。
あっと驚いたピンチからの脱出
ピンまで1ヤードくらい打ち上げで15~16ヤードくらいあったでしょうか、グリーンエッジに近い場所に切ってあるピンでしたが、彼は無造作にチップインさせてピンチをバーディに変えてしまったのです。
結果的に最終日は3バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの72の通算8アンダー「272」で逃げ切りました。
ピンチの連続でも勝利を手放さなかった最大の要因は、ここぞというポイントでチップインを決めるなど冴えを見せた“小技力”があったからです。
ティショットを右に大きく曲げ、2打目もグリーン手前のラフに外した17番ホールでは、あの完璧なロブショットがフワッと浮いたときは鳥肌が立ちました。
あの一打が金谷拓実のアマチュア優勝の快挙を断念させたトドメの1打になりました。
池田プロは千葉県野田市で行われた2014年大会(千葉カントリークラブ・梅郷コース)以来3年ぶり2度目の大会制覇となったわけです。
優勝賞金4,000万円と5年間のシード権を獲得。
9月のANAオープンに次ぐ今季3勝目でツアー通算19勝目を卓抜したアプローチで飾りました。
スローで見てわかった池田プロのアプローチ
池田勇太を攻守に支えるアプローチテクニックを根本的に解説しようと、筆者はこのアプローチだけをチョースロービデオで何度も徹底的に観察しました。
その結果、冒頭で書いた「独特でちょっと変」がなぜかも良くわかりました。
彼のアプローチは、手の動きがコチョッとやや多いだけで、教科書通りといって言い過ぎにならないくらい基本どおりなのです。
下半身から始まるスイング
非常に精度の高いショットを生み出しているのは、スイングを下半身で作り出していることが最大の要因です。やはり下半身強化は裏切りません。
アプローチで下半身がドッシリしていることは第一条件です。
ベルトから上の重い部分(上半身+頭)が乗っかる架台は鉄筋コンクリート製でないとグラつくばかりで、アプローチのようにピンポイント攻撃を仕掛けるのに適していません。
池田勇太プロはアプローチのリズムが素晴らしく、そして好不調の波が小さいのは下半身に理由があります。
振り始めたら迷わない、自分を信じてしっかり振り抜く
池田勇太プロの優れたアプローチですが、どんなときも安定したショットができているのは「手加減はしないこと」が大きな理由でしょう。
アマチュアでアプローチを失敗するケース、ダフる、トップする、距離が全く合わないなどの時は、多くの場合打つ力を緩めたり手加減することです。
具体的にいうと、スイングの途中でヘッドスピードを速くしたり抑えたりすることです。
誰でもわかっているようでできていない基本動作、意外とアマチュアでもこの一点だけに絞って練習するだけでもアプローチのタッチがよくなります。
先ほど17番ホールの神ってるロブショットの話題がありましたね。
それこそロブに緩みが出たら失敗確率90%といっていいでしょう。
ヘッドスピードを一定にして、大きくゆっくり迷わず振り抜かない限り、高さも距離もイメージ通りにはいきません。
アマチュアでも参考になる腹筋の考え方
先ほど鉄筋コンクリートのような土台があるといいましたが、その堅固なベースを生かした「腹筋の使い方」があります。
この部分こそプロなら誰でも意識して練習していることで、最近のジュニアのレッスンには必ず取り入れているプログラムです。
6番のアプローチこそその腹筋があればこそのファンタスティック・ショットでした。
打ち方としてはピッチ・エンド・ランとランニング・アプローチの良いとこどりのような打ち方です。
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アプローチショットのダフリ・トップを直す方法と打ち分け方とは?(ランニング・チップ・ロブ・ピッチエンドラン)
せっかく2打でグリーン周りに来たのにアプローチがダフリ。次打はさっきのミスがよぎりトップしてグリーンオーバー。終わってみたらトリプルボギー… なんて経験ありませんか?
今回はそんな「アプローチでのミス」を防止するための方法と、アプローチショットの種類について解説をしてみました。
基本通りスイングの大きさは限りなくコンパクトに振ることで、しっかりとフェースとボールをコンタクトさせることを最大目標にします。
アマチュアゴルファーが犯すミスの大半は、
- ピッチ・エンド・ランの時に腕や手の力だけで振ってしまう
- 下半身に意識がいかないためヘッドアップしてしまう
ことです。
重いサンドウェッジは手で振らないで体で振る
初心者の皆さんは意外だと思うかもしれませんが、ゴルフクラブで一番重いのはサンドウェッジ(パター・ウッド以外の11本で)です。
アマチュアの方のミスは、サンドウェッジの重さに負けスウィングの途中でヘッドの軌道が狂うからダフったり、それを瞬間の意識で捉えてしまうときにインパクトで強く入ったりしてしまいがちです。
前述の腹筋の話ですが、池田プロは手先ではなく”腹筋振りスタイル”に徹しているから大きく振っても、小さく振ってもゆるみがないのですね。
スローを見ても気分で振らず、機械的だから思った通りにクラブの速度をコントロールでき、結果的にタッチが合い距離も方向もイメージが出せるということになります。
おへその向きとグリップエンド~シンプルなスイング
池田勇太プロのアプローチをイヤというほど見て、ひとつのキーワードが残りました。
それは「おへそ」です。
彼のアプローチを解析すると、結局すべてがそこに集約されるといえます。
構えてからほとんどの瞬間・瞬間でグリップエンドがおへそを向いています。
腹筋を使っているなぁ~と感じたのはこのせいでした。
とても小さな振り幅のチップショットでも、腹筋を使ってヘッドを押し込む感覚が良くわかります。
このおへその意識、これがあるから手打ちにならず絶妙なリズムとタイミングでヘッドが降りてくるんですね。
また、この打ち方はバックスイング時におへそを後方に動かす必要があるので、自ずと手打ちを防止する効果があります。
アプローチで悩んでいる方は是非取り入れてみてください。
池田勇太プロのアプローチのまとめ
打ちっぱなし練習場でなくてご自宅でも、素振りができるスペースがあったら池田勇太プロのアプローチを習うことができます。
それはサンドウェッジのような短いクラブのヘッドに重りをつける方法です。
振っても飛んで行かない、30~50g程度のものをヘッドに巻き付けてやってみましょう。
重さがあるといつものように自由に振れません。
そのための効果として意識がヘッドに行くこと、”重量”がヘッドを降ろすのであって、自分の力を使わない感覚が身につきます。
慣れてきたら重りを外し、30cmくらいの紐をつけます。
サンドウェッジを振るときに、その紐の音がビリビリっと聞こえてきたらミスになります。
音を立てないようなスロースイング、かつ体の回転だけでスイングすることで、スイートスポットでボールを捕まえる感覚が自然にわかります。
ぜひ試してみてください。