あなたは自己満足度で10発中、何回80点以上のボールが打てますか?
ゴルフはミスのゲーム、確率のゲームです。
ミス率を下げること、そしてミスの中身も大事で大きなミスを小さなミスにすると100切りは時間の問題になります。
つまりミスにも「誤差の許容範囲」があるという意味です。
許容範囲に収まるボールをどのくらいの確率で打てるようになるかがスコアアップの大きなカギとなります。
そして、その確率を上げるには「スイングの再現性」を高めることが重要です。
正しいスイングプレーンを一定のリズムで何度でも繰り返せる能力、それが再現性とか反復性といわれるもので、ゴルフのスキルはその言葉に尽きます。
ではどうすれば再現性を高めることができるのでしょうか?
今回はスイングを再現することの難しさ、そして再現性を高める方法について解説します。
人間の身体は毎日違うという事実
人間の身体は疲れや無理な姿勢などによって骨格に歪みが出ます。
就寝によってリセットされ、骨格や筋肉の脆弱はすこし戻りますが、それでも毎朝微妙に骨格が異なってきます。
成長期の頃は、人によっては夏休みの間に身長が10cm以上も伸びたり、年齢を重ねると戻りに時間がかかったり、スポーツ選手のように体を通常の人の数倍も酷使すると一晩で正常化できなくなります。
プロゴルファーがある日「62」のようなとんでもないスコアを出したかと思うと、翌日「80」を叩くという豹変ぶりに驚くことがあるでしょう。
メンタル的なことなどたくさんの要素があるにせよ、骨格の変化による違いも大いにあります。
「なんかしっくりこない」それは再現されていないから
「構えてみたけど、なんかしっくりこないな」
そんな経験ありませんか?
そしてそういう状態でショットすると、高確率でミスショットをしてしまいます。
まさにこれが「再現性のないショット」なのです。
自分のショットをリアルタイムで見ることは出来ませんから、どこが違っていたのかは憶測の世界になります。
しかし、思った以上に人間の身体は敏感にできていて、「なんかいつもと違うな」という感覚が「しっくりこない」という表現として表れています。
前述したように昨日と今日の身体は微妙に違うので正確に再現することは不可能ですが、それでも近づけることは可能です。
ルーティンは再現性を高める味方
トッププロといわれる選手たちは必ずと言っていいほど自分のルーティンを持っています。
たとえばメジャーリーガーのイチロー選手は、打席前に実に17種類のルーティンがあります。
このルーティンはほぼ毎回行われ、順番もいつも一緒です。
さらには日々の体調管理もこのルーティンで徹底されており、寝る時間や食事など全てを決めた通りに実践しています。
イチロー選手はなぜ、ここまでして徹底的にルーティンワークを行っているのでしょうか?
実はルーティンワークの効果というのは脳科学でも実証されていて、非常に有効な手段とされています。
ルーティンの効果として最も高いとされているのが「アティテュード・コントロール」というものです。
態度のコントロールという意味で、失敗しそうな時でも「成功したときのルーティン動作」を取ることで、一時的に「脳がだまされた状態」になります。
この効果は絶大で、失敗するんじゃないかというネガティブな感情が前向きになったり、集中力が高まるという効果があります。
再現性を高めるオススメのルーティン
それでは実際にゴルフのルーティンについて考えていきます。
ゴルフで大事なのは「飛距離・方向・打球角度」です。
この3要素の確認をルーティンとして取り入れるのが良いでしょう。
①飛距離のルーティン
クラブを持ってゆったりとしたスイングを2回行います。
この時に大事なのは「クラブヘッドの重さを感じること」です。
特にドライバーショットなど飛距離を出したいときは、どうしても強く打とうとしがちで腕にばかり力が入ってしまいます。
腕に力が入るとヘッドの重みを感じることができないので、脱力して遠心力でボールを飛ばすイメージをしながらスイングしてください。
②方向のルーティン
ボール後方から狙う方向を定めます。
このときボールの1~2ヤード先に目印(スパッツ)を見つけ、その方向に打ち出すイメージを持ちます。
なお、スパッツは自分でティなどを置いたりするのはルール違反です。
芝生が剥げている場所や、石ころなどがあればそれを目安にしましょう。
③打球角度のルーティン
スタンスに入ったら一度ボールにフェースを合わせます(ボールに触れないように注意)。
その通りにボールが当たったらどの角度で打球が飛んでいくのかを想像し、そのまま着弾点まで「目で線を引く」ようにイメージをします。
ここまで来ればあとはイメージ通りに体が動くことを期待してスイングするだけですが、実はもうひとつ有効なルーティンがあります。
「脱力」がナイスショットの秘訣
タイ王国出身の若手女子プロゴルファーで、男性顔負けの飛距離を持つアリヤ・ジュタヌガーンという選手がいます。
わずか11歳でLPGAに出場(最年少出場記録)し、2016年にはLPGAを初優勝から3連勝するなど様々な記録を打ち立てています。
そんなアリヤですがショット前に特徴的なルーティンがあります。
それは「微笑むこと」です。
彼女はどうしたらいつもナイスショットできるのか考え、色々と試した結果「打つ前に微笑む」ことが一番結果が良かったので、このルーティンを取り入れたそうです。
ゴルフは不思議なもので、力を入れれば入れるほど飛距離は出ないし、反対に力を抜けばキレイにヘッドが抜けて会心のショットが出たりします。
アリヤのように「打つ前に微笑む」ことで自然とリラックスすることができ、また気持ちも前向きになるので、ぜひ取り入れてもらいたいルーティンのひとつです。
ルーティンを作るための練習方法
ここまでおススメのルーティンについてお話をしてきましたが、ルーティンとは「毎回繰り返す」ことで初めて効果を発揮します。
実際のラウンドでルーティンを使っていても練習時に使っていないようではあまり意味を成しません。
打ちっぱなし練習場でも同じようにルーティンを取り入れることが重要です。
打ちっぱなし練習場は地面が平らで、しかもソールが滑るように設計されているので、実際のゴルフ場よりも上手に打つことができますが、これこそがルーティンの効果を高める理由です。
ルーティンを行って毎回ミスショットをしているようでは、反対に「ミスショットの記憶」を呼び起こされてしまいますが、実際のゴルフ場よりも練習場のほうがナイスショットの確率は上がりますので、ルーティンを取り入れることによるの効果は高まります。
チョーゆっくり素振りのススメ
もちろんルーティンを取り入れるだけでゴルフがすぐに上達するわけではありません。
ゴルフのショットは「芯に当たる」ことが一番重要です。
芯に当たる確率を上げるには「チョーゆっくり素振りが有効」です。
普段のスイングを1としたらちょーゆっくり素振りは10ぐらい時間をかけて行います。
そして少しずつスイングスピードを上げていき、最終的にいつものスイングスピードに戻します。
この練習を行うことによって、ゆっくり素振りといつものスイングに違いがあることに気付くことができます。
ゴルフスイング、再現性のまとめ
ゴルフショットは0コンマ何秒という世界なので、微差が大差になります。
微差とはスイングの再現性によるもので、大差とは球筋のことです。
打ち出し角度が右に5度ズレただけで、200ヤード先では20メートル程度右に飛んでいることになります。
ゴルフはそういう種類のスポーツなのだというしっかり認識をして、いかに再現性を高めるかを考え練習することが上達への道です。
しっかりとしたルーティンを取り入れて「誤差の許容範囲内」にボールを打ち出せるように、ぜひ練習をしてみてください。