ゴルフのドレスコードに関する大きなニュースが飛び込んできました。
LPGAが発表した内容によると、襟がついていないシャツや胸元の開いたトップスをはじめ複数の規定を盛り込み、特にスカートや短パンは「しゃがんだ時などにボトムエリアが見えない長さでなければならない」と明確に発表しています。
女子プロもそのファンの方も、いえいえゴルフ界がビックリする話題であることは間違いありません。
今回のスカート丈に至るまで厳格化するのは、やがてトップダウンでアマチュアのドレスコードにも影響するでしょう。
ゴルフ界は賛否両論です。
数百年の重い保守的な歴史を持つゴルフ、この機会にゴルフとドレスコード、ゴルフコースの品格などについて考えてみましょう。
ゴルフとドレスコードと品格と集客と
冒頭のニュースは「米国女子プロゴルフ協会(LPGA)が女子ツアーで選手が着用するウエアに関するルールを厳格化する」というものです。
LPGAは違反した選手から1,000ドル(約11万円)の罰金を徴収することも決定、何度も繰り返す選手に対しては回数ごとに倍増するという厳しいものとなりました。
いかに楽しい健康的な生涯スポーツといえど、ファンなくしては大昔の貴族だけの娯楽に逆戻りすることになりかねません。
ゴルフとドレスコードのねじを締めるとで品格は保てますが、そのハードルが上がればこれからゴルフを始めようとする人たちは少なくなります。
一人でも多くの方にゴルフの醍醐味を知ってほしいと願うなら、ねじを緩める方法もアリですが、緩めすぎると本来のゴルフではなくなる危険性もあります。
集客することより、ゴルフの本筋を貫く
今回のLPGAの新たな規則遵守に関する発表は、規則を緩めてゲストを増やしたいという「利潤追求派」に水を浴びせる格好になりました。
いかなる理由があるにせよ、ドレスコードを含めた”伝統”はあくまでも守り抜くという「保守路線堅持派」の意見の食い違いでもあります。
ゴルフにお色気は無用、純粋なスポーツとして楽しむべきだという考え方です。
実際に、ゴルフを始めたいけれど
「服装や言動が厳格すぎるし、携帯での会話もコース内禁止などあって敷居が高いんだよね」
という方もいます。
またTシャツ、短パン、カラージーンズがOKならゴルフをやってみたいという方は結構いらっしゃいます。
ゴルフ場は今や火の車とはいえ、メンバーシップで経営について何の心配もないコースもあり、実態は様々です。
そこで、今回のLPGAが発表したドレスコードの厳格化をきっかけに、ゴルフコースにもっと独自性を持たせるきっかけにしたらどうなんでしょうね?
ドレスコードのさじ加減がゴルフコースを多様化させる
今回LPGAが発表した「短いスカートNG令」は、すでにコースによってドレスコードが多様化していることを認めた格好にあるということです。
「スカートのボトムエリアは、どんな姿勢のときも隠せる十分な長さでなくてはいけない」
という内容も、LPGAはプロ連盟ですからこれはこれでいいかもしれません。
ゴルフには興味がなく、あたかも盗撮趣味のようなスカートの中が見たいだけという一部の観客にはさようならという処置はそれなりに評価します。
でも、その厳格化が現在の「ドレスコードよりオシャレ優先組」vs「伝統重視組」で真っ向対立する可能性を秘めています。
すでにリゾートコースではTシャツOKなど珍しくありませんからね。
LPGAの処置はゴルフウエアが多様化し、日本もアメリカも世界的にフェアウェイが華やかになり前者(オシャレ派)がマジョリティになりつつある現状に対しては明らかな逆流になるでしょう。
女性のゴルファーにはもっとファッションでもオシャレでも、仲間同士の会話でも楽しんでいただきたい。
ある意味、男性より女性の方が時間の楽しみ方が上手です。
それに女性が花盛りのゴルフコースのほうが華やかでより美しく感じます。
ボトムエリアをわざとチラつかせたり、そのもの見たさのゴルフファンは言語道断にせよ、女性の楽しみを制限するような規則は本来のゴルフの姿ではありません。
ゴルフ場の自由裁量にゆだねるというアイディア
クラブハウスにはジャケット着用、シャツはきっちりとした襟付き、男性の短パン禁止あるいは短パン着用の場合はハイソックス着用、女性の短いスカート禁止といった旧来のドレスコードがあります。
それはそれで尊重しつつですが、そもそもすべてのゴルフコースがLPGAの厳格化に従う必要もないわけです。
今回のLPGAの規制強化をきっかけに、以下のような規制に対する緩和をもってゴルフ場ごとに規則の幅を持たせるという考え方があります。
それぞれのゴルフ場が加盟する団体の規約(縛り)を柔軟に受けとめれば可能です。
このデフレの世の中、ゴルフだけが別格ではいけません。
結果的にそのドレスコード規定が、ゴルフ場の品格レベルを決めることになるかもしれませんが、経営に苦しむよりファンを増やすのも一案です。
それに、もうすでにゴルフ場ごとの格式はすでに順位がつけられています。
千葉県などはゴルフ場利用税を、その縦並びの順位で決定しているくらいですからね。
要はゴルフの「伝統」を踏み外すことなく、もっと気軽に出かけていただくという考え方が根底にないとおかしな話です。
ゴルフアパレルは一定条件下で臨機応変という考え方
ゴルフアパレルの中で、襟がないシャツはすべて禁止というのはいかがなものでしょう。
日本には四季があり、真夏のシーズンでは暑苦しいファッションより涼しく過ごせるほうがゴルフも快適にプレーできます。
すでにナイキでは襟なしシャツの製造を始めているし、マキロイやジェイソン・デイ、その他多数はわずかに1cm程度の襟付きシャツを着ています。
なのに日本のコースはすべてが襟なし禁止で右に倣っています。
リッキー・ファウラーはジョガーパンツにハイトップ(日本でいうハイカット)シューズというスタイルでプレーしています。
ヨーロピアンツアー(男子)では、選手が練習日に短パン着用でOKとなりました。
もっと柔軟なドレスコードで伝統を守りつつファンを増やす
逆に伝統あるゴルフのドレスコードを楽しみたいというファンもいらっしゃいます。
ニッカポッカなどのオールドファッションですね。
例えば「毎月10日はオールドファッションデー」など該当のファッションを身に包んだゴルファーは割引してくれるなど、ゴルフ場側から提案してみるのはどうでしょうか?
他にもゴルフ場のショップに「英国ゴルフファッション」コーナーを設けるなど、昔さながらのアパレルを用意してみても面白いのではないかと思います。
そもそもなぜゴルフウェアが多様化してきたのか、それは単純に「ゴルフだけでなくファッションも楽しみたいから」です。
ゴルフ場には多数のプレーヤーがいるので周りに迷惑をかけるようなことをしない程度に、それぞれが楽しめる環境づくりが今のゴルフ場には求められています。
LPGAのドレスコード厳格化のまとめ
世界のゴルフコースは千差万別、スコットランドから常夏のリゾートコースまで数限りなくあり、ゴルフコースの数だけドレスコードがあってしかるべきです。
すべてはそれぞれのゴルフ場の判断に任せたらいいのではないでしょうか。
しかしなりふり構わず安易に緩めるだけでは、周囲に配慮しないほどの客をわんさと迎えることになり、「あのコースはマナーもルールもない下品なコース」の汚名が着せられます。
いずれにせよ、時代の風も感じず古いしきたりだけにとらわれた名門コースは、服装について「努めてクラシカルに」の一点張りです。
いまどきの若い人たちに対し、クラシカルなお洒落だけ強要してもファンの底辺は広がらず、やがて自分で自分の首を絞めることになります。
レストランでもジャケット(上着)着用とか、服装ではありませんがパー3で1オンしても拍手はしないこと、ハイネックは襟部分が4cm以上ないと支配人がすっ飛んでくるなど頑迷な「名門(迷門)コース」はまだまだたくさんあります。