プロのツアーで同じモデルのドライバーを使った別のプロが、2週連続して優勝することは極めて稀なことです。
ドライバーはスコアメイクの大きなカギ、そのドライバーを武器にして確たる実績が出たなら評価しなければなりません。
その武器とは、モデルによって初心者でも十分使える「ミズノ MP TYPE-2」でした。
ドライバーに関心がある方、飛距離や曲がりに悩んでいる方にとっては朗報です。
今回ご紹介する「ミズノ MP TYPE-2」、2017年製という新製品なのに、すでに発売(3月17日)から半年が経過して中古市場に出始めました。
しかも40,000円を切る価格で、高性能ドライバーの入手可能と聞いては黙っているわけにはいきません。
「ミズノ MP TYPE-2」とはどんなスペックのドライバーなのか、本当に易しく使えるスペックなのか、徹底的に探ってみました。
※プレーヤー写真はGDOから
二人のプロが手にして勝利した「ミズノ MP TYPE-2」
2017年10月、季節外れの台風が2週立て続けに日本を襲いました。
それもコピーでもとったかのような週末にやってくるものだから、プロツアーは男女とも最終日なしという異例の結果になりました。
ゴルフファンは楽しみにしていた迫力の優勝争いを見ることができず、テレビ中継も前の日のVTRが流れるばかりでガッカリでしたね。
最初の「ブリヂストンオープン」では時松隆光プロが千葉の袖ケ浦カントリーを制覇し、9アンダーで見事優勝しました。
続く「マイナビABCチャンピオンシップ」では小鯛竜也プロが13アンダーで、1打差にいた宮里勇作プロと永野竜太郎プロを振り切って勝っています。
そして両者が使用していたクラブこそ、今回ご紹介する「ミズノ MP TYPE-2」です。
・ロフト角:8.5度
・シャフト:三菱ケミカル ディアマナ BF 70(硬さTX長さ45インチ)
・ロフト角:9.5度
・シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD MJ (硬さX長さ45.5インチ)
ミズノ MP TYPE-2のスペックを見ればやさしさがわかる
他メーカーの優れたクラブ以上に、ミズノ MP TYPE-2はスペック次第で初心者から上級者が使いこなせる普遍性を持っています。
基本的なスペックは以下の通りです。
- ロフト角=7.5~11.5度(リアルロフト=10度)
- フレックス=S、SR
- ヘッド体積=460cc
- クラブ長=45.5インチ
- クラブ総重量=30.6~30.8g(シャフトは56~58g)
- バランス=D2、D3、D4、
- 重心深度=32.3(重心距離も同じ)
- スイートスポット高さ=36.8
- ライ角=61度
- トルク=5
- キックポイント=中調子
- 素材=α-β系チタン合金鍛造
- 仕上げ=IPブラック・ミラー&ショット仕上げ
試打して手に伝わってきた打感と弾きの好感度
試打の感触で一番先に感じたのは、ポーンという弾きの手ごたえでした。
ミズノの名に恥じない打感ですが、最初の1発がいきなり平均より15ヤードほど遠くまで飛んだので「えっ!?」となりました。
この感触と打感が気になり調べてみました。
老舗ミズノは約2年半かけて、飛距離性能に特化したクラブの研究をしてきたそうです。
そして世に送り出されたのがヘッド形状の違う「MP TYPE-1」と「MP TYPE-2」です。
弾き感の良さについても原因が分かりました。
フェースに使ったチタンそのものが、通常使われているものより10%も強度が高い、航空宇宙素材の 「ストロング・フォージド・エリート・チタン」 を採用していることが原因のようです。
強めの「トランポリン効果」でたわみを生かしたフェース
いきなり飛距離が出た理由に「なるほど!」と感じたテクノロジーはもう一つありました。
フェースに”トランポリン効果”を施したのです。
他メーカーでもこの工夫は一般的になりつつありますが、ミズノのMP TYPE-1とTYPE -2はかなり大胆に中心部を厚く、周辺部を極薄にという構造を実現しました。
飛距離が伸びている印象の「素」もわかりました。
それらの新工夫に加え、ソールに新しいアイディアを盛り込んだせいでしょう。
ソール部分をよく見ると蛇腹状の溝があります。
「ウェーブ・テクノロジー・ソール」 というもので、たわみ力を利用してボールを力強く押し出そうという考え方です。
この結果、通常のフラットソールよりフェースセンターでのたわみ量が約10%も増えたことをメーカーはPRしています。
結果的に従来品に比べ、フェースの高初速エリアが63%広がっています。
初速はそのまま飛距離に直結します。初速が1m/s増えると統計的には距離にして7~8ヤード飛距離が伸びます。
上級者にはTYPE-1を、初心者にはTYPE-2を
ふたつのタイプの特徴を分けると、TYPE-1はヘッドが435ccと小さい分だけ操作性のテクニックを要するため、すこしハンデの高いゴルファーまたはパワーヒッターでないと使いこなせないかもしれません。
それに比べTYPE-2はヘッド体積が460ccと大きく、スイートエリアが広いので易しく飛ばすことができます。
これなら初心者で大丈夫でしょう。
物足らなくなったらシャフト交換をして、すこし固めのものに取り替えるといいかもしれません。
購入時のシャフトは、オリジナルのグラファイトデザイン”TOUR AD J-D1”のほか、TOUR AD TP-7や、TOUR AD TP-6、フジクラ Speeder Evolution III、三菱レイヨンBF-60、USTマミヤ ATTAS PUNCHなどが用意されています。
中でも(ちょっと初心者の方には無理かもしれませんが)、使える範囲なら純正シャフトの「TOUR AD J-D1」がベストです。
こちらは手元剛性が非常に高く、中間から先端にかけて理想的にしなるためタイミングがとても取りやすいのでおススメです。
ヘッドに施されたいくつかのアイディア
やさしさの原因にはウェイト配分の工夫があげられます。
TYPE-1はセンター付近に、TYPE-2はバックフェース側に配置してあります。
そしてやさしいほうのTYPE-2は大きなヘッドで、構えた時のフェースの向きやヘッドの形から安心感があります。
昔からミズノの特徴である美しいヘッド形状から弾かれたボールの打球音はなかなか心地良いものです。
打球音は個人差があるものの、どちらかというとボールを潰す感じの渋いものでした。
初心者でも割合簡単に低スピン弾道のボールが打てるのもウレシイ特徴ですね。
ヘッド内部のウエートも効いている
ヘッドについてもう少し詳しく解説しましょう。
今までのMPシリーズと変わらずにオーソドックスな丸型です。
そしてフェースのセンターに対し、クラウン(ヘッドの上部)の頂点とバックフェースの頂点が合うようにデザインされています。
バックフェース側を低くして、フェースの厚みを約59mmとディープフェースにした意図は、シャロー気味にして重心を下げようということでしょうか、好感が持てますね。
ヘッド内部にもアイディアを生かしています。
ヘッドの中は見れませんが、バックフェース側に10gのウエイトがそっと埋め込まれています。
TYPE-2がやさしいのも、重心位置を変えた工夫があるからかもしれません。
ミズノ Mシリーズはどんな方に向いているのか?
これまでミズノMシリーズの特徴について解説してきましたが、これらを総括すると以下のようなゴルファーに向いているのではないかと思います。
①ミスの確率が左のヒッカケやチーピンなど、左寄り傾向の方。
②ヘッドスピードがありながら、吹き上がるボールで距離をソンしているタイプ。
③MP TYPE-1のほうは掴まりすぎてミスすることが多い上級者に向いています。
このミスに悩んでいた市原弘大プロも、フォーティーンCT112から最近こちらにチェンジしました。
こうしてみると、結構幅広い方が使える要素はあります。
もともとの”MPシリーズ”というと以前はアスリート向けブランドという定評でしたが、 今回登場したTYPE-2はあくまでもやさしさを追求 しています。
ミズノ MP TYPE-2ドライバーのまとめ
以前からあったMPシリーズを思えば、2017年に発売されたMP TYPE-1とTYPE-2は仕上がりの良いものになったという印象があります。
アスリート向けという印象が消えて、アベレージゴルファー向けに変貌しましたね。
ネック形状はシャフト脱着式で、ホーゼルの向きを変えることでロフト角を4度、ライ角を2度調整できます。
このように「ワンヘッド可変式」になったことも大きな理由のひとつです。
これならどなたでも自分に合うスペックに調整することができます。
初めてMPシリーズを使う方なら、自分に合わせるために最初はロフト角を一番大きな11.5度に調節して打ってみてください。
慣れてきたら少しづつロフトを小さくするという流れで、掴まりが良くなるでしょう。
ディスタンス系のボールなら弾きの良さと飛距離が味わえます。
このモデル、カスタムシャフトの装着率がかなり高いので、好みのシャフトを探してみるのも楽しくなります。