ゴルフを始める前は球を打つだけの退屈なスポーツだなと思っていた方も、いざコースに出てみるとその難しさや攻略度の高さを感じ、テレビで放映されているプロゴルファーたちの凄さがわかるようになります。
中でもプロゴルフの最高峰であるマスターズは世界一の舞台ということもあり、プレーだけでなくその景観に目が奪われるほどです。
そんなゴルフの祭典、マスターズ・トーナメントの観戦に行ってみたいと思いませんか?
2018年は松山英樹が初メジャー奪取に意欲満々です。
彼が勝つ瞬間を自分の目で見届けられたら、どれほどの感動が得られるのでしょね。
- マスターズトーナメントってだれでも観戦できるの?
- 今から申し込んでも間に合うのかな?
- オーガスタナショナル・ゴルクラブってどこにあるの?
今回はマスターズ・トーナメントにまつわるお話です。
マスターズ観戦ツアーのこと、マスターズの歴史や豆辞典であなたをバーチャル観戦ツアーにご案内します。
2018年マスターズの結果はこちらの記事をご覧ください。
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2018年マスターズを闘いし男たちの「運・不運」~勝敗を分けた0.5インチ~
松山英樹選手の活躍を期待していたファンにとっては残念でしたが、それでも例年以上に盛り上がった2018年のマスターズ。見事グリーンジャケットを手に入れたのは、ジョーダン・スピースの追い上げを振り切ったパトリック・リード。今回はこのストーリーをクローズアップしてみました。
マスターズ以外のメジャートーナメントは3つだけ
2018年4月5日から開催される「第82回・マスターズ・トーナメント」に行けるなら行きたいよねとおっしゃる方は、ゴルフファンに限らず大勢いらっしゃいます。
世界中のゴルフツアーは数あれど、男子のメジャートーナメントというと4つしかありません。
①マスターズ・トーナメント~Masters Tournament
通常は4月に開催され、他と違うのはその年によってコース(ジョージア州、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ)が変わらない点です。
この試合だけは、マスターズ委員会の招待状が届かないと参加できません。
松山英樹は2011年アジア人初のローアマ、2017年は11位タイでその年優勝したのはセルヒオ・ガルシアでした。
②全米オープンゴルフ~The U.S.A Open golf championship
セッティングの難しさは最高レベル、賞金総額は世界最高の1200万ドル。
松山英樹は昨年惜しくも2位タイでしたね、優勝者はブルックス・ケプカでした。
③全英オープン~The Open Championship
R&A主催で、第一回大会は1860年に行われました。
この試合だけは必ずスコットランドのリンクスで開催され、決められたコース(現在9コース)の持ち回りとなっています。
松山英樹の2017年は14位タイ、クラレット・ジャグはジョーダンスピースの手に。
④全米プロ選手権~USPGA Championship
唯一、アマチュアの参加がない大会。
昨年の松山英樹、ジャスティントーマスに敗れて無念の5位タイで終戦。
人目をはばからず涙にむせびました。
オーガスタナショナル・ゴルフクラブの豆知識
ニューヨークから車で走るとワシントンDCを経由して約12時間(≒1,250km)、飛行機なら3時間半くらいでオーガスタにつきます。
州都アトランタには日本からの直行便があり、オーガスタまでは東へ約240kmです。
かつてのインディアン居留地、奴隷制度、独立戦争や南北戦争に大きくかかわってきたジョージア州です。
映画ファンなら「風と共に去りぬ」の舞台になったアトランタが、ラストシーンで燃え尽きていった光景が目に浮かぶかもしれません。
マスターズファンならずとも、毎年咲き乱れるアザレア(西洋ツツジア=アゼリア)やマグノリア(モクレン)に目を奪われることでしょう。
まさにディープ・サウス、オーガスタナショナルGCはもともとフルーツランド・ナーサリーと呼ばれた肥沃な土地でした。
1857年、ベルギーの男爵がこの土地を購入し、世界中から数えきれないほどの植物を育てる会社(果樹園+植物研究所)があった名残です。
「超美コース・オーガスタ」はなぜあれほど美しいのか?
マスターズの開催コース、オーガスタナショナルには「ラフ」らしいラフはありません。
テレビでご覧の通り、全面的に刈り込まれた緑のベント芝はなぜあれほど美しいのでしょう。
ジョージア州は基本的に湿度も気温も高めです。
そのために芝生が弱りやすく、5月上旬から9月下旬はコース自体をクローズ(だれもプレーできない)させ、芝の養生に専念しているのも理由のひとつです。
例年9月30日前後になるとコースを開放します。
それもメンバー限定(会員同伴が条件)で1日20~25組程度しかプレーさせません。
※マスターズのボランティアさんには、大会直後に1日開放します。
この養生期間の長さと、人間に芝生を踏ませない頑固な決まりがあるからディボットも少ないコンディションが保てるのです。
芝生の色が異なったりすると、肥料に混ぜた着色料を塗り、池の色は透明感のあるブルーに染めています。
それもまた環境基準にこだわり抜いて、特に選ばれたものだけを使用します。
驚くことに目土やごみ箱に至るまで芝と同じ緑色なんですね。
きっとあなたが会場内を歩いてみても、ゴミなどひとつも見つけられないでしょう。
夢舞台を作るには、トップレベルの努力があります。
2018年「夢のマスターズ観戦ツアー」に行きましょう
そんなこの世のものと思えないくらい美しいオーガスタナショナルGC、たくさんの旅行会社が、2018年「夢のマスターズ観戦ツアー」を募っています。
今回は一例として「Jet Golf」の内容をご紹介します。
Jet Golfというとゴルフの旅の老舗です。
こちらの宿泊ホテルはコースからシャトルで10分程度という、交通至便の市内ホテルが用意されています。
まったく初めての方も安心、ホテル内に期間限定で設置されたツアーデスクにスタッフが常駐しています。
要領よく安全な観戦のポイントだけでなく、観光の移動もお食事の案内までバッチリです。
2018年は4月2~4日が指定練習日、4日には恒例のパー3コンテストがあります。
試合の火ぶたを切るのは4月5日、決勝ラウンドは7日(土曜日)と8日(日曜日)の予定です。
お好みで選べるテイスト別の各コース
こちらのツアーは、観戦する方に合わせていくつかのパターンを用意しています。
Aコース
撮影もサインもまったく問題ない火・水曜の練習ラウンドと、緊張のスタートが見られる木曜日が含まれます。
4泊6日で438,000円~+観戦チケット代420,000円。
Bコース
全選手が観られる予選ラウンド2日目と決勝ラウンド2日間を観戦。
4泊6日、498,000円~+観戦チケット代590,000円。
Cコース
現地に6連泊して水・金・日曜の3日間観戦、さらに周辺コースで2ラウンドがお楽しめます。
6泊8日で798,000円~+観戦チケット代550,000円。
そのほか、クライマックスの第3日と最終日を観戦してから空路でサンフランシスコへ移動。
2019年の全米オープン開催コースとなった“ペブルビーチゴルフリンクス”でプレーできる7泊9日のコースがあります。
マスターズのバーチャル観戦チェックポイント
いろいろ現地観戦コースのことをご案内してきましたが、テレビ観戦でも役に立つ「マスターズの豆辞典」をご紹介しましょう。
★コース内に広告がない
マスターズではコース内の広告を全面禁止しています。
ビールや清涼飲料水のトラックが納品口から入っても、商品の写真やロゴはすべて「マスターズロゴ」で覆われる仕組みです。
★スマホが持ち込めない
マスターズに限り、ギャラリーは「パトロン」と呼ばれます。
観戦の方は、スマホなどのデジタルデバイスをコース内に持ち込むことはできません。
★アーメンコーナー
マスターズでよく聞く言葉に「アーメンコーナー」があります。
ただし、和訳が正しく伝わっていないようで、若干の誤解があります。
テレビなどでは”11番から13番”と省略されていますが、本当は11番のセカンドショットから13番のティショットまでのことです。
★名物バーベキューサンド
もし観戦の機会があったら、コース内売店にある「バーベキューサンド」をぜひお試しください。
豚の肩肉を使ったプルドポークをサンドイッチにしたものです。
柔らかくて香ばしい肩肉はホクホクで、甘酸っぱいケチャップソースとよく合います。
コース内のメニューは平均的にお安く、こちらは2.5ドル(300円くらい)で召し上がれます。
★マスターズオリジナルグッズ
写真のように、ドリンクのカップなどいろいろなものにマスターズのロゴが印刷されているので、どれもシャレたお土産になります。
オーガスタナショナルの会員とは
オーガスタナショナルGCは正式発表していませんが、一度メンバーリストが雑誌に登場しました。
現在はビル・ゲイツやコンドリーザ・ライス(元国務長官)など、世界中に300名近いメンバー(女性は2名)がいるのではないかといわれます。
会員資格の順番待ちは現在20~30年といわれていますが、いかに知名人でも確約はされません。
年会費は毎年異なり平均3万ドルといわれ、記憶ではコース完成当初の入会金は350ドル(今の4,000ドル程度)でたった40名くらいでした。
年々盛んになる大イベント「マスターズ」はその会員たちの誇りなのでしょう。
優勝賞金はトーナメントが3日目まで進まないと発表されません。
入場収入などを基に計算し、剰余金は年会費の補填になってコース整備などに使われます。
もし松山英樹が次回のマスターズで優勝すると、約2億円の優勝賞金に加えてグリーン・ジャケットとオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの名誉会員証が贈られます。
同時にマスターズへの生涯出場権と、翌年のチャンピオンズディナー(写真)のメニュー決定ができます。
マスターズ・トーナメントのまとめ
創設者のボビー・ジョーンズとアリスター・マッケンジーが1920年ころこの土地を訪れ、70,000ドルで購入を決めた時にボビーはこういったそうです。
「パーフェクトだ!この土地はずっと長い間、誰かがゴルフコースを作ってくれのを待っていたのだ」と語りました。
盟友のマッケンジーはスコットランド出身のコースデザイナーですが、なんと第一回のマスターズ開催直前、一度も観戦しないまま死去してしまいました。
また、ボビー自身は選手としてもマスターズに11回参戦していますが、最高成績は13位でした。
土地取得資金提供者5名のひとりだったのが、ウォール街の投資家でアイゼンハワー大統領の財務顧問だったクリフォード・ロバーツでした。
彼はオーガスタの初代会長になり、当初ボビーが嫌がっていた「マスターズ」の名称を第6回以降採用しました。
「リーダーボード」を考え付き、アンダーパーは赤字にしようというアイディアを最初に使ったのもロバーツでした。
ロバーツは1977年9月29日に、心から愛したオーガスタナショナルのパー3で倒れ83歳で亡くなりました。
そこは「アイク(アイゼンハワーの愛称)の池」と名付けられたすぐ脇で、ゴールデンベル、カメリア、ウイステリアが咲き乱れる緩やかな坂道でした。