毎年最初のメジャーはオーガスタナショナルG.C.の「マスターズ・トーナメント」です。
アゼリアの花が咲き乱れ、まさに夢の花舞台です。
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松山英樹が初メジャー獲りを目指す「マスターズ・トーナメント」とは
ゴルフを始める前は球を打つだけの退屈なスポーツだなと思っていた方も、いざコースに出てみるとその難しさや攻略度の高さを感じ、テレビで放映されているプロゴルファーたちの凄さがわかるようになります。
中でもプロゴルフの最高峰であるマスターズは世界一の舞台ということもあり、プレーだけでなくその景観に目が奪われるほどです。
オーガスタは通常のゴルフコースに比べるとラフが短く刈り込まれています。
初心者の皆さんはあのトーナメントを観戦しながら、いつもあのくらいラフが刈り込んであったらどんなに楽なんだろうという気持ちでご覧になっているのかもしれませんね。
そう感じた方は、きっと夏のゴルフでラフに苦しめられた経験がある方ですね。
せっかくのナイスショットがラフへ、そこから脱出できずにラフからラフの渡り鳥で、上がってみたら大叩きなんて経験をしたことがあると思います。
OBや池ならまだあきらめもつきますが、ラフで打数を重ねるのは悔しいですよね。
でもそれって、実はラフの知識があればそんな大叩きがはしなくて済んだかもしれません。
ラフからのミスを最小限にするには
なぜラフに入ったボールを打つのが難しいかということを考え、原因を知れば対策が出てきます。
ひと口でラフといっても状況次第ですが、共通していることは「芝の抵抗力が強く、クラブがその影響を受けた」ということです。
良くあるケースとしては、
- クラブがボールの下を潜りぬけてしまった
- 10ヤードくらいしか飛ばなかった
- ネックに芝が絡まって左に引っ掛けた
- まったく予期しないシャンクが出た
- 9番アイアンで140ヤードも飛んでしまった
などのミスが挙げられます。
それでは、ラフからのミスショットは何が原因だったのか、何に注意すべきだったのかを探っていきましょう。
ラフのボールはライをつぶさに観察することから
先ほども触れましたが、ラフからの打ち方はこうだと一口で言えるものはありません。
いくつかの状況判断から、打ち方はその時々で応用するものです。この最初の「観察」が正しくないとミスショットを誘発します。
①芝の種類
②長さ(深さ)
③密度
④逆目か順目か
⑤ボールと地面の距離(浮き沈み)
これらをしっかりと観察し、状況によって打ち分けることができればラフは怖くなくなります。
ミスこそが名コーチ、ミスは栄養剤です
ゴルフ上達のコツは「たくさんミスすること」です。
自分がミスの体験することで、だれでも同じミスはしたくないと思いますからね。
その意味でミスは自分にとってベストのインストラクターだといえます。
最初に順目で浮いているボールの下を潜ったミスショットから例にとりましょう。
これは俗に「ダルマ落とし」などといいますね。
ラフからのショットは、アイアンで上から打ち込むのがセオリーというのが一般的で少しも間違っていません。
でも、ボールが順目で浮いていて、グリーンまで距離があるならここはフェアウェイウッド、またはユーティリティが正解でしたね。
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フェアウェイウッドの打ち方はダウンブローで!苦手から得意に変わる簡単メソッド
フェアウェイウッドは「箒(ほうき)で掃くように打つ」と習ったことはありませんか?実はその考え方がゴルフ初心者を悩ませているのです。
むしろアイアンに近いダウンブローでしっかりと球を捉えに行く方が、FWのミスはより少なくなります。
ミスの原因はクラブ選択でした。
アイアンのソールは薄いので深い芝生の下まで簡単に潜り込んでしまう反面、ソール幅が広いFWやハイブリッド系は芝生の深いところに入っていかないため表面が滑るように設計されています。
ロングアイアンでラフから180~200ヤードの距離を出すにはパワーが必要です。
非力な女性でもヘッドが芝に突っかからず、横から楽に払い打ちができるユーティリティなどがおススメです。
ゴルフはやさしい打ち方が常に正解です。
深いラフでムリすると…
ボールは深いラフにすっぽり埋まった状況でした。
残りが150ヤードだったので、この距離なら通常使う7番アイアンでイケると思い振りましたが、ボールはわずか10ヤード先にポトリ…
芝生の種類にもよりますが、海外や北海道などに多いバミューダはとても厄介です。
特にケンタッキーブルーグラスなどはサッカーのピッチや野球場に使われるスポーツターフで、地下ほふく茎がやたら強くクラブが負けてしまうほど強情な芝です。
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芝を理解してグリーン攻略!ベントとコーライの違いやスピードの計測方法・順目や逆目の読み方などを紹介
ゴルフ場に生い茂っている「芝生」って実は色んな種類の芝があることをご存知ですか?
また、その芝によってショットへの影響はかなり変化があります。
今回は、普段気にかけない芝の種類やボールにどういった影響があるのか、そして順目や逆目の読み方などについて解説していきます。
通常使われる野芝でも、スッポリ沈んでいるならサンドウェッジ、またはせいぜいピッチングウェッジで安全に出すべきでしたね。
こういうケースは脱出することが最大優先事項で、20ヤードでも30ヤードでもいいから真横のフェアウエイに出してでも次打に期待するのが肝要です。
フライヤーとドロップ
フライヤーとは、ラフから打ったボールにバックスピンがかからないまま飛ぶために、通常の飛距離以上の結果になるボールです。
一概に言えませんが、比較的ラフが浅く芝生が渇いているときはフライヤーの出る可能性が最も高いライです。
クラブ・フェースとボールの間に芝草が挟まるのが原因で、フェース表面の溝が機能しないためです。
草の挟まり方や量次第で飛んだり、グリーンに落ちてから止まらずに勢いよくオーバーしていきます。
問題はどの程度影響が出るかの予測が立ちにくいことですが、一般的にはヘッドスピードが45m/s以上で振らないとフライヤーはほとんど出ません。
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一方、ドロップという現象は前項で解説したケースに似て、距離が出ないでボールが地面に叩きつけられるような動きをします。
フライヤーと逆で、女性のように手首その他が非力なタイプやヘッドスピードが出ないプレーヤーが良くこのケースに嵌ります。
原因はラフの抵抗にクラブが負け、ボールに極端なドロップ(順回転)がかかるためです。
どちらも飛びの予測がむずかしいショットになります。
ラフではフェースを開くのが正解?閉じるのが正解?
夏場のラフは元気で密集しているため、とても抵抗が強くなります。
こういうときのラフからのショットはヘッドの抜けが悪くという想定をします。
若干逆目でしたがボールが浮いていたのでフェースを開いて打ったところシャンク気味のボールが飛び出して焦りました。
こんなとき、この状況での対応に間違いがあったのでしょうか?
ヘッドの抜けを良くするためにフェースを開くのは実に有効な方法です。
しかし冒頭に書いたように、ボールの沈み具合や芝目の向きに対する考え方がすこし足らなかったようです。
ラフからのショットでフェースを開くべきかどうかはライ次第です。
もしスッポリ沈んでいてたぶん地面に接しているのではないかなと判断したらフェースは開くのが正しい対応になります。
フェースを開くということはクラブのロフトが寝る形になります。
ロフトが寝ると自動的にソール幅が広くなります。先ほど解説したユーティリティを思い出してください。
こうすることで芝の抵抗が減って滑りやすくなる分抜けがよくなります。
このケースのミスはボールが浮いているのに開いてしまったということでした。
浮いているボールはフェースを開いたりせず基本のスクエアスタンスでスクエアなフェースで自然に打ちましょう。
多少の逆目ならあまり関係ありませんがちょっと強めなら開きを加減します。
ラフからのショットのまとめ
ラフからのショットで共通する注意点があります。以下の4点は常に気にかけると良いでしょう。
①クラブは短く持つ
クラブを長く持ってしまうと、その分ラフの抵抗に負けやすくなってしまいます。
深く沈んでいるほど、芝生の種類によって抵抗の強いものほど短く握って打たなければいけません。
②クラブ選択のマネージメントがポイント
どんな時でもグリーンに届くクラブで攻めるのが正しいとはいえません。
状況を考えて「1打ペナルティを払う」決断力が瞬時に浮かぶような習慣づけをしましょう。
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大叩き劇場の幕を上げないために、スルーザグリーンのコースマネージメントを覚えておきましょう。
③グリップはしっかり持つこと
本来、グリップはギュッと腕の筋肉が盛り上がるほど握るものではありません。
しかし、ラフの深さに応じた力は必要です。
④ボールの近くで素振りをしましょう
少し離れてボールのライが似ているところ、例えば傾斜とかラフの深さ、順目逆目などが似通っていたらそこで素振りをして芝生の抵抗を手で感じることはとても大事なことです。
ただし、あまりボールの近くで振って草を刈ったりするとライの改善、振った勢いでボールが沈んだり動いたら1打の罰があり注意が必要です。
ラフからのショットは打ちっぱなしで練習することができず、基本的に「実地訓練」となります。
また季節や芝生の種類・長さなどによっても対応の仕方を変えていく必要があるので、できれば避けていくべき場所です。
ですが、ゴルフ本来の楽しみは「あるがままに打つ」ことですから、ラフに入ってしまっても「その状況を楽しむ」ことこそがゴルフ上達の秘訣でもあります。