今回は「ヘッドカバー」にまつわるお話です。
男性の多くはクラブ保護を視野に入れ、女性ゴルファーはさらにオシャレまで考えて選ぶようです。
プロゴルファーは、自分のキャラクターをヘッドカバーに準えるタイプが結構いますね。
トップ画像は石川遼プロを取材したときのものですが、これならドライバーを取り出す度に元気を貰えそうです!
ウッド、ユーティリティやパターを購入すると必ずといっていいほど付属してくるヘッドカバー、番手やロゴマーク入りでどれも楽しいデザインばかりです。
でも、番手ごとにメーカーが違うとデザインがバラバラになります。
ゴルフを始めた時は全部同メーカーで、すべてのヘッドカバーがキッチリ揃っていて見栄えも良かったのに、数年してクラブを買い替えると同じメーカーでもデザインが違ってくるので、いつのまにか統一性がなくなってきます。
でもそのほうがいいという方もいますね。
ヘッドカバーについては様々な種類が発売されていて、どのタイプが自分に合っているか気になるところです。
ヘッドカバーの知識とともに賢い選び方についても紹介していきます。
ヘッドカバーの発明者は日本人
ゴルフというスポーツは、いつどこで始まったのかは謎です。
諸説ありますが、「ゴルフの定義」がハッキリしないので「いつどこから?」は明確ではありません。
ゴルフは時間の経過とともに姿かたちを変えながら、現在のようにオリンピックの正式種目にもなる、世界が認めたスポーツになりました。
数百年以上続いているゴルフの起源は不明確でも、クラブに被せるヘッドカバーの起源は明らかで、それもモノを大事にする日本人だからこその発想があったからです。
ただ、その当時「特許をとる」というところまで考えなかったため、おそらく巨万の富を逃がしたという尾ひれのついた物語の顛末は以下の通りです。
ヘッドカバーの発明は大正時代
1912年というと日本は大正時代、ヘッドカバーが発明されたのは同年のことです。
最初の登場人物は、当時ロンドンに商社マンとして駐在していた高畑誠一です。
彼は愛媛県の出身、松山英樹プロと同じですね。
この年、彼は現在の神戸大学を卒業し、総合商社の鈴木商店に入社してロンドンに赴任しました。
高畑は赴任後すぐに「ゴルフの魅力」に憑りつかれます。
その後、ロンドン支店長になった高畑は、ロンドンの一流クラブ(名門のアディントンクラブ)のメンバーになりました。
高級クラブを輸入するために作られた
数年後、高畑は帰国することになります。
彼がどうしても日本に持ち帰りたかったものは、当時の日本では手に入らないパーシモン材の美しい光沢あるクラブセットでした。
高畑は腕の良い職人にクラブを注文し、出来上がってきた芸術品を前に考え込みます。
「船便で日本まで運ぶとなると、乱暴に扱われて傷だらけになるんじゃないか」
そこで同じロンドン駐在中で親友の渡辺英雄(三井物産)に相談します。
すると渡辺の妹のイサさんが、手編みで帽子のようなものを作ってくれるという話になりました。
海外にも広がるヘッドカバー
かくしてヘッドカバーが出来上がりました。
帰国までの間に所属クラブでプレーすると、そのヘッドカバーは仲間の大評判になりました。
高畑は帰国後も腕を磨き、日本アマ選手権や東西対抗の関西代表として活躍しました。
それにしても残念なのは、その頃のゴルフ界に「ヘッドカバー」という概念がなかっただけに、パテントというところまで思いが至らず、その特権はイギリス人がデザインをパクッて販売し巨額の富を得ました。
そして1920年代に入ると、イギリスでもアメリカでもヘッドカバーが一気に浸透します。
高畑はのちに日商岩井を設立した商社マンだっただけに、特許をとらなかったのは不覚だったことでしょう。
ヘッドカバーの必要性とその種類
冒頭で、不揃いなヘッドカバーの話が出ましたね。
ヘッドカバーのデザインが似ていて、小さな数字で番手が書いてあるだけだと間違えることがあります。
いつも使っているフェアウェイウッドなど、時に誤って5番と3番のヘッドカバーを取り違えて被せてしまい、ヘッドカバーをとったら中身が違っていたことなど経験があるかもしれません。
こんな時はデザインが不揃いなものほど間違えにくいものです。
もっとも、そもそも被せ間違いをしたら同じことになりますが…。
時折見かける光景にこんなことがあります。
アイアンショットでミスした方がカッとして、クラブバッグに戻すときに投げ捨てるように落とし込んでいます。
こんなとき、ドライバーやウッドクラブにヘッドカバーがないとクラブ同士が当たって傷がつくことがあります。
よくドライバーだけはラウンド中ヘッドカバーをしない方がおいでですが、やはり被せたほうが傷つきにくくなります。
それに、いつも車のトランクに入れっぱなしにしていませんか?
こうなるとゴルフ場への往復だけではなく、町で買い物に行くときもバッグの中はガタガタ揺すられてクラブ同士がぶつかって小傷がつきます。
「少々の傷は気にしない」という方もいらっしゃるでしょうが、傷がつくことによってクラブヘッドの重さ・バランスも変化し、場合によってはスイングリズムも崩れてしまうことがあります。
また「道具を大事にする」といった意味も含めて、使わない時はヘッドカバーを被せておくことをオススメします。
ヘッドカバーの素材別種類とタイプ~ニット系
ニット系はかなり古くからあります。
でも一概に”ニット製”といえど種類はイロイロです。
ニット系は安価系の素材ではアクリル、ナイロン、ポリエステルなど合繊の素材を機械編みしたものがあります。
やや高価ですがウール100%とか、ウール系混紡素材で作った手編みのヘッドカバーは変わらない人気があります。
市販されているものの中には1本10,000円以上のものがありますが、彼女の手編みのヘッドカバーを使っている友人もいます。
お知り合いで編み物が趣味という方に作ってもらったら、それこそ最高ですね。
ヘッドカバーの素材別種類とタイプ~レザー・ビニール系
クラブをセットで購入するとき大半のものはレザー、ビニール系のヘッドカバーがついています。
もちろん別売りで売られるヘッドカバーもこのタイプが一般的ですね。
中には上部がレザー、ビニール系の素材で、シャフトからネックの部分にはニット製の筒状のカバーというコンビもあります。
ちょっと高級なものになるととても手触り感の良い合成皮革が使われます。
ヘッドカバーの素材別種類とタイプ~ナイロン系
あまり出回っていませんが、厚手のシッカリしたものでファブリック系があります。
汚れにくく品物の持ちが良いナイロン地がほとんどです。
カバンなどの素材としても使われるツイル織のナイロンのファブリック製もあって、カラーが豊富で何色からも選ぶことができます。
とても品が良いので、女性におススメのヘッドカバーです。
ヘッドカバーの素材別種類とタイプ~ボア素材や動物デザイン
ファブリックの一種でもありますが、ボア素材は毛質の布地で作られています。
手触りがよくモコモコ・フワフワ素材で、このボア素材だけでなくニット素材をネック部に組み合わせての製品が多く販売されています。
中にはアイアンだけ数本がまとめてひとつに収まる、やや大きめのカバーもあります。
ボア素材は同伴の仲間が見てもオシャレで楽しいものですが、大型のものが多くややかさばります。
ウッド系はドライバーだけに限定するとか、スリムなヘッドカバーを選ぶなどの工夫が必要です。
パター用なら可愛いし大きなスペースをとらないのでこの素材が良いでしょう。
ドライバーとパターが同じデザインで統一された可愛いセットものもあります。
ヘッドカバーにまつわる話のまとめ
最近セルフプレーを好む方が多くなりました。
キャディさん付きより安価ですし、何より気楽にラウンドできますからね。
ただセルフプレーならではですが、キャディさん付きのときは気にすることのなかった「パターのヘッドカバー」をグリーン周りに置き忘れてしまったり、パッティングの都度付けたり外したりするのも少し面倒です。
置忘れの防止として、マジックテープを腰のベルトにつけておき、パッティングのときは貼り付けておくといった工夫をされている方もいます。
パターカバーホルダーというマーカーとセットになっているものもありますし、そんなアイディア商品なども探してみるのもゴルフの楽しみ方のひとつですね。
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