ゴルフはターゲットゲームです。
何百メートルも離れた位置から、直径10cm程度のカップにボールを入れるという競技ですから、それだけショットの精度が問われます。
ドライバーは距離が出る分、それだけターゲットを広く取ることができます。
フェアウエイに直径50ヤードという大きな”ターゲット”を想定し、その中にワンオン狙いと考えればあまりプレッシャーもかかりません。
ところがアイアンショットとなるとそうもいきません。
いわゆるロングアイアンはまた少し変わってきますが、7番より下のクラブは基本的にグリーンかその周りを狙うことがほとんどです(レイアップは除く)。
となると、ターゲットは大きくてもグリーン、できればその半分くらいの直径10mの精度でターゲットを狙いたいものです。
以前、ゴルフスコアの40%はパッティングというお話をしましたが、アイアンショットの精度が上がればパッティングスコアも1ホールあたり2.0を切り、ワンピン圏内に複数回止められるコントロールショットを打てるようになれば、1.5も目指すことができます(1ラウンド27パット)。
アイアンショットの精度を上げることができれば、念願の100切りは容易になることでしょう。
今回はそのアイアンショットの精度を高める方法についてご紹介していきます。
アイアンショットの精度は距離と方向性の安定から
アイアンショットに求められるものは、ドライバーより繊細でアプローチよりはややアバウトな精度です。
そのことはわかっていても、どうやったら精度を上げられるのかよくわからないかもしれません。
一番参考になる”師匠”は、なんといっても自分自身のミス体験です。
ミスはその原因を調べる(気が付く)ことで客観的な分析が可能になります。
ミスの原因やそのパターンさえわかれば、何をどう改善したらよくなるかが見えてきます。
あとはミスに特化した練習を繰り返し行うことでミスはどんどん減ります。
第一に距離の問題か、方向性に難があるのかを見定めましょう。
スイングテンポが悪いと距離も方向性も失う
初心者の方で、7番アイアンより8番アイアンのほうが飛んでしまったというミスがあります。
この原因の多くはテンポの悪さからきています。
トップの位置がその都度変わったり、ライなどの難度が高いとメンタル的にも不安定になり、振り方が早かったり遅かったりしてミスを誘発しています。
以前バックスピンの効いたアプローチを打つ方法の記事で、メトロノームを持ち出して素振りをする方法をご紹介しました。
スイングテンポの一定しない方は、アイアンショットの練習でもこのメトロノームはとても役に立ちます。
特に、アイアンで引っ掛けたりプッシュアウトする方はスイングのテンポを安定させることで急速によくなるケースがあります。
ダフリとトップは距離のミス
ダフリやトップは距離に影響します。
ショートアイアンが同じ番手で飛び過ぎて10ヤード奥に行ったり10ヤードもショートするようならとても精度が高いとはいえません。
ライのことがあるので一概には言えませんが、7番以降なら前後5ヤードに収めたいものです。
イメージした距離が狂う原因は・・・
①スエー(体が左右に大きく平行移動する)。
②軸(背骨)や大事な眼の位置が、上下左右、あるいは前後に動く。
③右手中心のスイングで、ボールを上げようとしてすくい打ちになってダフる。
④構えた時のボールの位置に問題がある。
などの理由が考えられます。
すべてのボール位置をドライバーの位置と同じにしているなら、番手別に変化させましょう。
ボールを芯で捉えることが精度安定の秘訣
7番からPWまでのクラブで、キッチリクラブフェースの芯で打つために気をつけなければならないことがあります。
練習場などで、ポスチャー(構えた姿勢)をとってボールをスタンスの中央に置いたとき、その線上に背骨(スイング軸)が重なっていることを意識します。
両足に平均して体重がかかっていなかったり、右肩あるいは左肩が下がってしまっていると、安定して芯を捉えるのは難しくなります。
自身のポスチャーを他人に見てもらうか自分で録画して確認すれば、意外と錯覚していることにすぐ気づきます。
結構自分ではスクエアだと思っても、よく見ればちょっと平行が狂っている人は珍しくありません。
特に肩の左右均等にする安定はスイングそのものの安定感に繋がり、引っ掛けたり右にプッシュアウトする方向性を改善します。
この点のチェックは大事で、その一点を修正しただけでアイアンショットの精度はかなり上がってきます。
メンタル・コントロールはとても大事です
前方に池があったりアプローチでバンカー越えなどの時は「もしかしたら入ってしまうんではないか?」とか、「ミスしたらどうしよう」などという不安は常に付きまとうものです。
このような悪いイメージを払しょくするのは練習の積み重ねで自信をつけること以外ありません。
失敗のイメージは失敗を生み、自信がつくとそれらのハザードさえ目に入らなくなります。
練習場で実践できるひとつの方法に「スリークオーターショット」と「ハーフショット」があります。
いずれもクラブを振り切らないためにフルショットと分けて扱われます。
特におススメなのが7番アイアンのハーフショットです。
①ボールは体の中心に置きます。
②飛距離は100ヤード以上飛ばしてはいけないと心に決めておきます。
③バックスイングはゆっくり、シャフトが直立した位置(腕が地面と平行)でストップモーション(ポーズ)です。
④クラブヘッドの重さを感じながらダウンスイングします。
⑤フィニッシュは先ほどのポーズの対称形で、左に振って腕が地面と平行になったらシャフトを直立させて止めます。
この練習のポイントはスイングスピードがゆっくりで速度を一定させること、インパクトは意識しないで素振りとまったく同じように振り抜く訓練です。
「スリークオーターショット」と「ハーフショット」の精度が上がると、ミスに対しての不安が少なくなりスコアも安定してきます。
右足のベタ足はアイアンショットの精度を高める
腰の回転についての解説ですが、ひとつは回し過ぎはよくありません。
回し過ぎるとオーバーターンという、左に引っ掛けるボールになりやすくなります。
腰はダウンスイングの始まり、つまりタメが解放(リリース)されない時に始動します。
その指導の拠点は左腰(右打ちの場合)の腰骨の出っ張った部分を意識し、水平方向に引くイメージで動かします。
肩や右半身の引率役はこの左の骨の出っ張った部分に回せるときれいなスイングができます。
それで先ほどの左にヒッカケを出さない工夫として、右足のベタがポイントになります。
右足の踵が浮くことで体重移動が不安定になり、腰が浮いてボールの方向性が不安定になります。
できるだけフィニッシュ近くまでは右足の踵を浮かさないように振り抜くことで、膝の伸びあがりも抑えられヒッカケは出にくくなります。
よくボールをつかまえようとしてスイング軌道が逆にカット打ちになっていて気づかない方がいます。
これを直そうとしてスイング軌道はそのままで、右足体重になりすくい打ちなどでダフるパターンに嵌っていく方もいます。
一種の悪循環で決してこちらも珍しくありません。
忘れてはいけないもう一つの腰の使い方です。
肩はできるだけ捻転力が欲しいのですが、腰は打ち終わった後ターゲットラインと並行にする感覚が欲しいものです。
それ以上の回転は、ある程度で抑えたほうがショートアイアンは安定します。
アイアンの精度を上げるまとめ
練習場ではコースでできない打ち方ができます。
先ほど触れたスリークオーターやハーフショットがそのひとつです。
このふたつにつけ加えて、練習しながら体重移動の感覚を会得することもできます。
ゴルフのスイングの基本はドライバーからPWまでほとんど変わりません。
そこで大事なことが体重移動です。
クラブが長くなるとスタンスが広くなる点を除けば、体重が右から左に移動するというところは変化がありません。
構えた姿勢では両足の内側の筋肉に絞るような力のかけ方がベターです。
そして、グリップが右に行くと右の股関節に張りを保ち、グリップが左にある間は左の股関節に90%の体重をかけるイメージ(実際は90%未満になる)を持ちます。
同時に左の股関節の左サイドから外に体重は移動させないという気持ちも大切です。
アイアンのショットの精度は、このような体重移動のコツが飲み込めると一気に飛距離と方向性の精度が上がります。