パターは他のクラブと違い、ボールを転がすだけだから簡単でしょう?
と思うゴルフ未経験者は多くいらっしゃいます。実際にやってみないとパターの難しさは伝わりませんよね。
でも本当に、ただ転がすだけなのにどうしてあんなにも難しいのでしょうか。それはあなたが「真っすぐ転がすことを意識しすぎているから」かも知れませんね。
ゴルフスコアの40%前後を占めるパッティング。ちょっとしたコツを掴むだけで100切りはすぐに見えてきます。
今回は「パターで真っすぐ転がらない理由と改善策」について解説していきます。
初心者が陥りがちなストローク
ゴルフスイングを解剖すると、体を中心としたやや楕円形を描くスイング軌道となります。なぜ楕円形になるかというと単純に胴体が横に長いからで、これは人間の骨格として自然な動きです。
クラブが最も地面に近づくインパクト付近の時間を長く取れるので理にかなっています。
スイングの最下点が一瞬しかなければミスの度合いも増えるわけで、これについてはゴルフを始めたばかりの方でもご理解いただけると思います。
ではパッティングの場合はどうでしょう。
他のクラブと同じように地面に置かれたボール、あなたのストロークは自然な軌道になっていますか?
真っすぐ引くとストロークがブレる
初心者で最も多い打ち方が「真っすぐ引いて真っすぐ押し出す」タイプです。
一見狙ったラインに沿って転がっていきそうにも感じますが実際にはそうはならず、安定性のないパッティングとなってしまいます。
その理由は単純で、
- 真っすぐ引く=アウトサイドに引く
- インパクト=インサイドに戻る
- 真っすぐ押し出す=アウトサイドに押す
という極めて難しいストロークをしているからです。
これは自動車のエンジン部分にあるシリンダーをイメージしてみると良いかもしれません。
クランクケースの中のシリンダーの中では、コネクティングロッドによってピストンが上げ下げされています。その上げ下げの動作を”ストローク”と呼ぶ点でパッティングと共通します。
シリンダー(円筒)というガイドがあるので常に同じ場所を行き来できますが、同じようにパッティングをしてもガイドがあるわけではないので毎回微妙に違った位置を通過しています。
また、正しい向きだと思い込んでいるパターフェースも、ガイドがないことでよれてしまいます。プッシュしたり引っかけてしまうのはこういった理屈があるからです。
パッティングにもフェースローテーションは必要
このように真っすぐ引いて真っすぐ押し出すというパッティングは非常に難しく、また再現性が低いスイングであることがご理解いただけたと思います。
パッティングはある意味千差万別ですが、常に安定性のあるストロークを磨いていくことこそパター上達の近道です。
どのくらいのフェースローテーションが必要なのか
ここで「真っすぐ打ち」の次に多い「コンパス打ち」についてご説明します。コンパス打ちとは体の軸を中心として綺麗な円を描くストロークのことです。
両足を中心に円運動しようとすると肩だけの動きでは不可能で、結局体幹(主に上半身あるいは肩)自体が円運動しないとパターヘッドで円が描けないからです。
一見軸があるように見えて、実は上空から見ると肩が半円を描くような打ち方は実に複雑で、狙った距離と方向にいくアベレージは上がりません。
このような極端な例はさておき、どのくらいのフェースローテーションをすべきなのでしょうか。
これは「人によって変わる」が正解です。
ほとんどのプロゴルファーがイン・トゥ・インのストロークとなっており、タイガー・ウッズは最大4°ほどの開きがあるそうですが、こればかりは「一番しっくりとくるフェースローテーション」を探すしかありません。
フェースの開きによってパターを選ぶ
パターには様々な形状のモデルが発売されています。
メジャーなものでいえばピンやL字タイプ、T字タイプやかまぼこのようなマレットタイプなどもあります。
自在にコントロールしやすいのがピンタイプで、フェ-スローテーションを大きく取る方にオススメです。
反対にフェースの開きを少なくしたい方はマレットタイプが良いでしょう。ヘッドが大きいのでフェースが開きづらい分閉じる動きも制限されます。
-
-
【初心者が絶対失敗しないパター選び】ヘッドタイプやシャフト・グリップの選び方でスコアが段違いに!
ゴルフを始めたときは一番簡単だと思っていた「パッティング」 でもコースに出たりして、少しずつ自分の思い通りに打てるようになってくると気付くパターの難しさ。 せっかく3打でグリーンオンしたのに残り5 ...
究極はゼロ・テイクバック
以前「速い下りのパットを攻略する方法」の記事内で紹介したのが、ゼロ・テイクバックというパッティングです。
-
-
下りのパットは芯を外して打つ!速いグリーンを攻略するゼロ・テイクバックとは?
ゴルフで最も難しいとされる「下りのパット」。初心者ならずとも上級者でさえも手を焼くほどです。一番良いのは下りのパットを残さないことですが、ボールコントロールもままならない初心者ではそうもいっていられません。今回はそんな難易度の高い下りのパッティングを攻略するための方法について解説していきます。
その名の通り、ほとんどテイクバックを取らずにボールをインパクトする打法で、主に距離感を掴むための練習方法として活用されています。
試しに芝生の上で5メートルほどボールを下手投げで転がしてみてください。テイクバックはほとんどしていないハズです。
距離感はテイクバックではなくフォロースルーで取る方が簡単で、ゼロ・テイクバックはインパクト後のフォロースルーの大きさで距離を合わせる打ち方です。
この打ち方が優れている点は「フェースローテーションに左右されない」ことで、距離感もさることながら方向性がグッと上がります。
ゼロ・テイクバックの練習方法
練習方法は非常に簡単です。
ボールから1~3cmほど離れた距離にフェースを合わせます。当てるというよりはそのまま押し出すようにボールをインパクトします。
※ボールに接触した状態で押し出す打ち方はゴルフ規則14-1で2打罰となるので注意
この時フェースはボールを真っすぐ突くのではなく、順回転をかけるようにアッパーブローでヒットします。下手投げでボールを転がすときも順回転がかかるように転がしますよね、これと同じ要領です。
中心点をヒットするとボールは無回転で飛び出し、その後芝生の抵抗を受けてブレーキがかかりながら順回転が始まります。芝の長さによってブレーキのかかり具合が違いますので、単純にプッシュアウトするパッティングは距離感を出すのが難しくなるんですね。
最初から順回転をかけるように意識すれば転がり具合をイメージできますし、ヒットミスも格段に少なくなります。
パターで真っすぐ打つためのコツまとめ
ボールを真っすぐ転がすことを意識しすぎてしまうと非常に不安定なストロークになってしまうこと、フェースローテーションの度合いによってクラブを選択する必要があること、そしてテイクバックをしないゼロ・テイクバックのメリットや練習方法について解説をしてきました。
ほかにも真っすぐ打てない方の中で「打った後すぐにカップを見てしまう」という特徴も多く見受けます。
改善策としては「狙ったライン方向のボールから30cm前付近にスパット(目印)を見つける」といった方法があります。
スパットは意図して置くことはルール上許されていませんので、砂粒や芝生の切れ目などを活用するようにしましょう。狙っているスパットの場所にボールが通過すればOKといった具合でパッティングをすることでしっかりと最後までボールを見ることができるようになるので、ヘッドアップが無くなりダフったりフェースが緩むなどのミスが軽減されます。
スコアの半分近くを占めているパッティング。
ドライバーやアイアンなどの練習をするのは良いことですが、これまで以上にパター練習の比率を増やすことで大幅なスコアアップが期待できるでしょう。