ゴルフは障害物レースです。
陸上競技の障害走とよく似ています。こちらはハードルを越え水濠を突破してゴールします。
ゴルフはもっとたくさんの障害があります。
OBはもとより、池やバンカーといったハザード、傾斜地、ラフやフェアウエイなどの悪いライ、空中のハザードといわれるコースに張り出した木々の枝葉、深い林、さらに風や雨や気温という自然も加わってきます。
そして、ゴルフはプレーヤー同士が直接妨害することがないゲームですから、なんといっても「最大の障害は自分自身」ということになります。
ともあれゴルフコースの設計者はプレーヤーに向かって、コース攻略の知力勝負を挑んでいます。
実はゴルフの醍醐味のひとつはそこにあります。
そんなゴルフコースのトラップ(罠)を乗り越えての好スコアこそ、言葉にならない達成感を呼び覚まします。
今回はそんなコースマネージメントのお話です。
まずはティーグラウンド編からお届けします。
スルーザグリーン編はこちら。
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【ゴルフ100切り】パーを取るためのマネジメント/確率を意識して安全にスコアを縮める方法「スルーザグリーン編」
ゴルフ練習場ではナイスショットの連発でも、いざコースに出るとなかなか100が切れない方などはコースマネジメントに問題があるかもしれません。
大叩き劇場の幕を上げないために、スルーザグリーンのコースマネージメントを覚えておきましょう。
ティーグラウンドからマネージメントミスをしないために
初心者の方もやがては100を切り、90を切りと上達していきます。
まだゴルフを始めたばかりの方は、コースマネージメント(コース攻略法)などというところまではとてもとても・・・、と仰るかもしれませんね。
でもそれは大きな勘違いなんですよ。
ゴルフを一度でもプレーした方は、すでにコースマネージメントを実践しているのです。
ただ、設計者の罠と戯れているというレベルに達していないだけ、罠にはまって苦しめられているというだけのことです。
コースマネージメントは、コースの最中だけでなく、すでにティーグラウンドから始まっています。
では、どういったところを気を付ければよいのでしょうか?
コース設計者との知恵比べに勝つには
どんなゴルフコースでも「カップまで一直線、何も考えずひたすらまっすぐ」なら簡単ですが、なかなかそうさせてくれないのがゴルフです。
最小スコアで上がるためには、時にはコース設計者との知恵比べも必要です。
ティーグラウンドはそこそこ広いのですが、打てる場所はルールで決められています。
打てる場所は四角い区域なので、英国はティー・ボックスなどとも言います。
このティーボックス、何気に気持ちの赴くままに使っていませんか?
ディボットなどで荒らされていない場所、土が柔らかそうなところ、いつも真ん中あたりにと決めている方が多いと思います。
ティーを立てる場所もスコアに関わってくるというと、ちょっと驚くかもしれませんが本当の話です。
それこそがコースマネージメントです。
持ち球によってティーアップの位置を変える
ティーを立てられる場所はティーマークの外側と、フェアウェイサイドの線から2クラブレングスという長方形です。
野球のバッターボックスと違いスタンスが外にはみ出すのはアリで、ボール位置が少しでもその境界に触れていればOKです。
さて、この幅と奥行きはどう使えばいいのでしょう。
まず、幅の使い方にはいくつかの考え方があります。
①フェード系(右曲がり)のボールが持ち球なら、全く障害がないとして後方から見て右サイドのティーマーク寄りが良いでしょう。
逆にドロー系(左曲がり)の持ち球ならできるだけ左のティマークに寄せます。
なぜそんなことをするかというと、コースのフェアウェイ幅を有効に使うためです。
写真のように狭いフェアウェイも、対角線狙いなら曲がり始めてから落ちていくとき広く使えます。
それだけフェアウェイを捉える確率が多くなり、メンタル的にも安心感があります。
深いラフにいれただけで1~2打簡単に変わるのがゴルフですからね。
②スライスでお悩み中の方は、正面に向かって左のティーマーク寄りにティーアップする方法があります。
逆にフックで困ってる方は右のティーマークのすぐ近くにティーを立てます。
これはそれぞれインサイドアウトに振る準備(スライス防止)、アウトサイドインに振るとフックしにくいという、それぞれの弱点を補う暗示の意味があります。
ティーショットのクラブ選択
さて、あなたがドライバーで200~230ヤード程度飛ぶとします。
仮に前方右手200ヤード付近に大きな池があるなら、この時は真っ先にクラブの選択を考えます。
ドライバーで届く距離なら迷わずほかのクラブに替えましょう。
この時「いい当たりすると池まで届くかもしれない」と不安を持って3番ウッドを持つより、これなら絶対届かないと確信をもって5番ウッドを持つ方がミス確率を大きく変えます。
もうひとつ、50%の確率で250ヤード飛ぶよりも70%の確率で200ヤード飛んだ方が圧倒的にスコアが良くなります。
前者は平均125ヤード、後者は140ヤードとなります。
コースマネジメントの秘訣は「飛ばさないこと」でもあるのです。
ティーグラウンドの錯覚を見破れ!
コース設計者は、常にプレーヤーの錯覚とミスショットを誘い出すトラップを仕掛けています。
それらのトラップを見破ることでハーフ3~5ストロークは簡単に違ってきます。
まず確認するところはティーグラウンドの表面の傾斜と凹凸です。
一見するとすべて平らに見えるかもしれませんが、そこは最初にチェックしましょう。
ティーグラウンドに上がってしまうとよく分からない全体傾斜も、向かう途中で歩きながら見るとよくわかります。
傾斜があるということは、左下がりか右下がり、前か後ろ下がりのスタンスになるという意味で、おのずとボールの曲がりやすくなります。
打ち上げ・打ち下ろしホールの攻略法つま先上がり・つま先下がりの打ち方
まずそこを見逃さないように細心の注意を払います。
もうひとつ大事なことは、特に初心者の方が錯覚するティーマークの向きです。
誰でもゴルフを始めたころは、そんなことに疑いの目を持ちません。
ところがふたつのティーマークは、とんでもない方向を向いているほうが通常といっても過言ではありません。
スタンスしようとしてどうしても目の前の目立つティーマークを基準に…と考えてしまうのはある意味自然ですがそれこそが「罠」です。
そのまままっすぐ打てば思わぬ方向のミスになったりします。
たかがティーグラウンドとあまり疑ってみないで、ン?ちょっと変だぞとすぐに情報を察知する習慣をつけることも上達の条件です。
コースマネージメント「ティーグラウンド編」のまとめ
大昔のスコットランド、貴族から大衆化し始めた黎明期はゴルフコースというと、あったのはカップ(穴)だけでした。
強いてつけ加えるなら動物が掘った穴に砂(今でいうバンカー)が溜まっているだけです。
ティーグラウンドはなく、ホールアウトしたカップの場所近くに、カップの底の土を指で掘りだし、その上にボールをチョコンと乗せて打っていました。
なのでカップのサイズも決まっていませんでした。
リンクスですから風以外の障害はほとんどなかったのですね。
コースマネージメントはほとんど不要、ひたすら直線的に攻めればよかったのです。
ところが近年は道具の進化が後押しし、ゴルフ愛好家が増えるにつれてトラップがどんどん増えてきました。
穴にボールを入れる打数という極めて単純なルールだけに、第一打目からカップインまでを複雑化するほど難度が高くなり、同時に醍醐味も増すということをゴルフ愛好者が望んだのですね。
ゴルフはその人の頭のアンテナ次第でスコアが変わってくるゲームです。