今回はショットするときのスタンスに対して、ボールを置く位置に対する考え方のレッスンです。
表現は”ボールを置く位置”ではありますが、正しくいえばボールに対するスタンスの取り方といったほうがいいでしょう。
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また「ナイスショットしたときだけ右に飛んでいく」なんて方もいるかもしれません。それは「正しいアライメント」ができていないからかも。
ゴルフは「あるがままにボールを打つゲーム」です。ボール位置とスタンスは、ピーナッツ一粒のように1セットの組み合わせと考えてください。すこし大げさかもしれませんが、置かれたボールに対しクラブを決めた時点で、ベストのボール位置はひとつしかないと考えて大丈夫です。
実際のプレーではライの状況や足場の傾斜などその都度違いますが、ボールをうまく芯で捉え切れていない方「ボール位置」についての正しい知識と理解をされていない場合があります。
ゴルフ練習場ではナイスショットを連発するのにゴルフ場ではダフったりトップしたりする方は、今回の記事を読めばご自身のミスの謎が解決できます。
ボール位置の間違いはミスショットに繋がる
” 1 inch, left too far!”
和訳)ボール位置を1インチ(≒2.5cm)左に置き過ぎたぜ!
とタイガーが叫んだ声が、集音マイクでハッキリ聞こえました。2018年(2017年12月)のヒーローワールドチャレンジの3日目、3番の第2打を打った直後のことです。
ボールは残り278ヤードなのに290ヤード飛んでグリーンオーバー、結局ボギーになりました。
こういうエピソードを聞くと、ボール位置に関する知識はプロや上級者が考える高度なレベルのことなんだと思われるかもしれませんが、正しいボールの位置こそ初心者の頃に学ぶべきものです。
ボール位置は状況次第で変化させる必要がある
ボールの位置に関しては初心者でなくとも非常に迷うものです。
「さっきはこの位置で良いショットだったのになぜ今回はミスショットだったのか?」
失敗した理由がスイングだったのか、風などの影響なのか、それともボール位置だったのか… 疑心暗鬼になってしまいますよね。
もちろんその他の理由もありますが、ミス発生の確率から考えるとかなりの割合で「正しいボール位置でショットできていない」ことが多いです。
チェックすべき項目は
- クラブの番手で変化させているか
- 状況別(ライや傾斜)に対応しているか
- 打ちたいボールによって位置を変えているか
大まかにいえば上の3つです。
先に結論を言えば人それぞれその時次第で誰がどこにボールを置こうと、それが最も確率が高いならそれでいいんです。
打ちっぱなし練習場のフラットなマットの上に限定した話なら問題ないのでしょうが、ゴルフコースにそんな場所はほとんどありません。
また、クラブは人によって身長と「ライ角」に関係があることを度外視してのボール位置の解説では、あまりにもザックリした話で終わってしまいます。
だからドライバーからサンドウェッジまで全てスタンスの真ん中では必ずしもうまくいかず、必然的にミス確率が上がります。
クラブ別の正しいボールの位置
このように状況に応じてボールの位置を対応させることは非常に重要なことで、さらに身長や体格・クラブの形状(アップライトなのかフラットなのか)などによっても変化をつける必要があるので、一概に「正しいボールの位置はココ!」というものはありません。
まずは基本のボール位置(やスタンス)を知ることで、そこから自分自身のスイングにマッチする位置を模索していくといったアプローチをしてみてください。
ドライバーのボール位置
最初はドライバーから解説していきます。
ティーグラウンドでまっ平の場所はあまりありませんが、基本となる足場がフラットな場所ではどういう形になるのでしょうか。
正解は両つま先を底辺としたライン(左足・右足)から左に偏った三角形になります。上図でいうところのオレンジ色の三角形です。
注意点(例は右打ちです)
①足元がフラットなら、ボール位置は左足からボールにして1~2個右というところ。
②ボールとの距離はヘッドを地面に置いたとき、トゥ(ヘッド先端)が少し浮くくらいで良い。
③両つま先を結ぶ線はパラレルレフトの原則(肩やスタンスのラインをボールとホールを結んだ線に対して平行になる構え=やや左が正解)を守る。
④左足が右足より前ならクローズド、その逆はオープンスタンスになります。
ドライバーのボール位置が左足寄りになる理由は大きく分けて3つです。
- クラブのしなりでボールの強い衝撃を与えるため
- アッパブローでボールを捉えるため
振り遅れでのスライスやボールが上がりきらない方は、少しボールを飛球線寄り(左足の外側)に置いてみると簡単に改善します。
アイアンのボール位置
クラブが短くなるにつれてボールは左足から右足に近づきます。同時にボールとプレーヤーの距離も近づきます。
その距離は先ほどと同じように、ライ角ピッタリではなくすこしトゥが浮いたくらいのほうが一般的です。ヒールが浮くようなボール位置は(パター以外)推奨できません。
5番アイアンから7番アイアンあたりは両足の中心付近に置くのが普通で打ちやすいとされていますが、5番アイアンあたりは視覚的にフェースが立っているように見えてしまうため、7番アイアンと同じように打てない方もいます。
その場合はボール1個ほど左足側に寄せると良いでしょう。
8番からPWまでは、状況によって真ん中より右に置いても問題ありません。しかしこの番手はコントロールショットとなるため、ラウンド中にころころ位置を変えるのはオススメしません。
さきほどのタイガーではありませんが、ボールの位置が1個変わるだけで5ヤード前後は変わってしまうので、同じようなライではボールの位置を変えないようにしましょう。
ダウンブローで上から打ち込みたい時、または左足下がりなどの傾斜地では、その角度の大きさによってスタンス幅を調整します。
ウェッジなどのアプローチ
距離が短くなるショットの場合は両足の間隔はかなり狭くなり、ボールも中心から右に移動します。
極端な左足下がりの時は右足より外に出るケースもあります。
ボールを左に置く理由は、クラブのリーディングエッジが先に地面をヒットしてしまうのを防ぐためです。
2~3ヤード上げてあとは転がしたいチップショットのようなときは、シューズ同士をくっつけて大丈夫です。下半身を固定するため、右足より左足は後方に下がるオープン気味になります。
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アプローチで距離が短くなるとクラブも短く持つことが多くなります。この時も自分のクラブのライ角に合わせてボール位置に近づきます。
先ほどのように、左足下がりが極端になるほどボール位置は右に移動し、写真のように肩幅から外になっても問題ありません。
バンカーショットはしっかりとスタンスを取る
バンカーショットではピンが近くても相応のスタンス幅が必要です。
必ずしもオープンスタンスではなくても良いのですが、もともとフェースを開いて構えるため打った後のヘッドの抜けを良くするにはスタンスは開いたほうが楽です。
ピンまで距離が遠くなるにしたがって、その開き方はスクエアスタンスに近くなります。バンカーのボール位置もスタンスに対抗しますが、基本は中心で大丈夫です。
正しいボール位置のまとめ
正しいボールの位置を決める要素は以下のようになります。
身長や体格 × ライの状況 × 選択したクラブ × 残り距離
こうなってくるとボールの位置は千差万別となってきます。
ポイントは「ライ角はややアップライト」な状態で構えることができる位置であること。
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また、位置をずらすことによってボールに変化をつけることもできます。
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最後に「ドライバー以外の全てのクラブでボールの位置が同じ打ち方」についての考察ですが、ボールが右に行くほど体重も右になるので、左足体重でボールを打とうと思うと不自然なスイングとなってしまいます。
こうなるとスエー(軸の平行移動)がクセになり、バックスイングで体軸が回転するのではなく右に流れることが習慣化してしまいます。
明確に間違っているとはいえませんがあまり効率の良い当たりは望めず、やはりクラブの番手に応じてボールの位置に変化は付けたほうが良いでしょう。
また、ボールの位置と体との距離はワンセットで考えるべきです。ボールまでの距離が遠い方はどうしてもインパクト時のエネルギーをロスしてしまい、理想的な飛距離を得ることができません。
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