迫力満点でかつ正確無比なショットを打つ男子プロゴルファー、あんなボールが打てたらなぁって憧れるのはどなたも一緒です。
多分アマチュアの何倍もの練習量があるからということは分かっていても、せめてクラブセッティングくらいは同じものにして、好きなプロに少しでも近づきたいと考えるのも自然です。
でも、それは止めておきましょう。
男性なら松山英樹プロ、ローリー・マキロイ、ジョーダン・スピースなどが使っているスペックのクラブは、とても100切りの壁に挑んでいるゴルファーに使いこなせるものではありません。
基本的に体幹、筋力が違い過ぎるからですね。
ただし、女子プロのクラブセッティングなら大いに参考になります。
彼女たちは体力的に一般男性のそれに近いところがあります。
そんなわけで今回は鈴木愛プロのクラブセッティングを紹介していきます。
賞金女王になった鈴木愛プロのクラブセッティングは、男性なら初心者でも真似をすることができます。
自分のスイングとクラブセッティングはセットです
ゴルフを始めてから生涯ずっと続く研究課題としてクラブセッティングがあります。
覚え始めのレベルはともかく、やがて120を切って徐々に100切りの壁が見えてくると、はじめに購入したセットが合わなくなります。
ゴルフはまず自分のプレースタイルを基準にしてセットを選び、クラブのライ角などのスペックに合わせて練習しますが、上達の過程でスイング精度が上がるもっと上のものを求めるようになるからです。
そこでついつい「もっと飛ばしたい、もっと寄せたい」などの願望が先走り、背伸びをして身の丈に合わないクラブ、例えばドライバーの”フレックスX”などという無謀な買い物をしてしまいがちです。
「もっともっと」という願望からクラブを選んでしまうと、本来持っている自分の能力を発揮できなくなるだけでなく、クラブに合わせたスイングになってしまうので、これまで積み重ねてきたものまで見失ってしまう可能性すらあります。
単純にゴルフが上手な人のクラブセッティングを真似るのではなく、スイングスピードなどのスペックが近い女子プロゴルファーのセッティングは非常に参考になります。
鈴木愛プロのプロフィール
皆さんもよくご存じのように鈴木愛プロは、韓国勢を抑え賞金トップ(¥140,122,631)になりました(2017年)。
相撲は土俵の中も外もモンゴル勢、女子のゴルフ界も韓国人ばかりに席巻されてはファンはたまりませんからね。
このところ何年かの鬱憤を彼女が晴らしてくれました。
鈴木愛プロは大歩危峡や黒沢湿原、紅葉の名所である竜ヶ岳などがある徳島県三好の出身です。
1994年生まれ、身長は155cmと小柄ながらドライバーは235~250ヤードの飛距離を出します。
プロ入りした翌年の2014年、日本女子プロゴルフ選手権大会・コニカミノルタ杯で申ジエ、成田美寿々らの強豪と激戦を展開、ついにツアー初優勝を公式戦で飾りましたね。
もっとも尊敬する宮里藍の大会史上最年少優勝記録を上回る、20歳128日での快挙達成でした。
鈴木愛プロのクラブセッティング
女子プロの中でも低身長ながら平均以上の飛距離を誇り、正確なショットを放つ鈴木プロは一体どのようなクラブを使用しているのでしょうか?
ドライバー・ウッド・アイアン・パットそれぞれを見ていきましょう。
PINGドライバー
彼女のドライバーはピンGでロフトが 10.5°で長さは45.5インチです。
シャフトはピンALTAJ50 S(Gドライバーの標準装備)で、これならアマチュア男子におススメできます。
ちなみにこのシャフトタイプは日本向けに特に開発されたものです。
大きな特徴としては「直進性」と「飛距離」ですね。秘密はヘッド後方に取り付けた重りです。
プレーヤーが振った方向にいく性質を持っているヘッドなので、イメージに近い弾道と初速が得られるために距離が出しやすいギアです。
スピンが少なめで弾道は高くなりやすくなります。
やさしく感じるのは「ヘッドが大きい」と感じさせるデザインで、構えて集中するときに安心感があります。
フェアウェイウッドは2本
女子プロのクラブセッティングと一口でいっても、彼女たちの多くはメーカー契約の幅があり、時々他メーカーのものやスペックを変えたりします。
でも、鈴木愛プロは、2017年一年通してフェアウェイウッドは2本だけしか入れませんでした。
3Wはキャロウェイ GBB エピック・サブゼロで、ロフトは15°(調整可)です。
取り付けたシャフトはフジクラ・モトーレスピーダー661 SRを選びました。
5WはピンGでロフトは17.5°(調整可)、シャフトはピンTFC390 SRを使っています。
2試合だけでしたが3Wを抜いて、PING Gのフェアウェイウッド20.5°を入れ替えたそうです。
フェアウェイウッドもドライバーとよく似た特徴を兼ね備えています。
鈴木愛プロはシャフトがSR(64g)ですが、初心者の場合フレックスをRにしたらやさしく使えるでしょう。
ユーティリティはやさしさ重視
鈴木愛プロは比較的やさしめのクラブで、自由にボールコントロールするのがお好きなようです。
持ち球はフェード系で、その特徴はハイブリッド(ユーティリティ)のスペックにも表れています。
どちらもピンGですが一方は22°(#4相当)で、もう一方は以前のG30-25°です。
2本ともシャフトは彼女用にカスタマイズしていて、22°はフジクラ MCH-70 Rで76gの先中調子、25°は73gで先中調子のMCI70を刺しています。
いずれもフレックスはRですから、アマ男子ならこのまんまのスペックで大丈夫、とくにMCHシリーズはカーボンとの合金シャフトですからノンストレスといっていいでしょう。
アイアンはi200
アイアンは6番からPWまで、すべてピンi200、シャフトはi20タイプの標準装備ともいえるN.Sプロ 950GH Rで整えてあります。
NS950は94.5gの中調子ですから、鈴木愛プロと同じフレックスRならアマ初級から中級者なら誰でも使えそうです。
けっして難しいスペックとはいえないでしょう。
彼女は愛用のウェッジを3本入れています。
やはりピンで、グライド(GLIDE)の50°、54°、58°です。
どれも2015~2016年モデルのようですが、直近の試合ではピン・グライド2.0を使用し始めました。
ピングライドウェッジというと、マニアの方はすぐにゴージ溝だと思い浮かべることでしょう。
ゴージ溝は非常にスピン性能の良い構造で、あまり意識しなくても適当なバックスピンがかかります。
また、このグライドはEYE2の形状に近いネックなのが特長となっています。
彼女はグライド標準シャフトのCFSを使っていて、118gで中調子のシャフトはフレックスがひとつだけに限定されています。
特徴的なパッティングスタイル
ファンの方なら鈴木愛プロのパッティングはとても特徴的であることをご存知です。
どちらかというとストレートに引いて、インパクトからフォローにかけては狙いより右にヘッドを出しているように見えます。
初心者の方にはこのような押し出すようなストロークはあまりお勧めできませんが、これは彼女の一種のクセかもしれません。
ジュニア時代から指導してきたコーチがあえて直さなかったことで、逆に固まってしまって彼女特有の”テクニック”になり、不調の時のアジャストもやりやすいこともあってそのままできたようです。
この打ち方は引っかけることがあっても擦ることにはならず、自分のものにすれば狙いのラインに乗せやすいということもあります。
個性的なパッティングですが、2016年にはLPGAの平均パット数(1.7445)でトップになりました。
パットのスペックが良いということは平均バーディー数も良いということで、3.737はこちらも1位となりました。
結果的にクセは癖として直さずそのまま固着すれば、(多少好不調の波があるにしろ)練習次第で自分の武器になるという理論が成立することを鈴木プロのパッティングを見れば理解できますね。
パッティングの基本はピンアンサーで学ぶのが定石
その彼女の使用パターは用するパターは、PING VAULT(ウォルト)ANSER 2です。
世界のパターの名手の多くは実際のトーナメントでアンサーを使った経験があるか、練習で使用していることが多く、それくらいパッティングの基本を教えてくれるということでしょう。
彼女が使うピンAnser2はステンレスの削り出しです。
打感が良くやや柔らかめのタッチで、ピンを代表するフォルムです。
素材は303ステンレスで重さは350gです。
鈴木愛プロのクラブセッティングまとめ
彼女のパッティングに特徴があると解説しましたが、スイングにもクセというか個性があります。
アメリカのジム・フューリックとはほど遠いにしろ、低くインサイド(というか背中側)にテイクバックさせますが、トップでフェースの向きを調節するがごとくアジャストし、基本通りのスイングプレーンに戻す、一種の8の字ループを描きます。
さらに、右足の蹴りがシッカリしていて下半身で作ったエネルギーをうまく上半身に伝えています。
足元が右足を蹴っているにも関わらず、重心は全く浮きません。
つまりアドレスからボールを打ち抜くまで腰のラインが伸び上がりません。
右足がグラつかないように膝を深く曲げて、低重心のまま回転しているからエネルギーのロスがありません。
このようなスイングは、ピンALTAJ50 S、ハイブリッドのフジクラ MCH-70 RやMCI70が生かされ支えています。
鈴木愛プロのクラブセッティングは、アマチュアの方にとって大いに参考となります。
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