「好事魔多し」といいますがフェアウェイバンカーはまさにそんな存在です。
「コースガイドを見ると260yd地点にバンカーがあるけど、そんなに飛ばないからいいや」
とティショットを放つと、そんな時に限って会心の今日イチショットとなり、予想もしていなかったフェアウェイバンカーに突入。
ここまで飛んだのだから、と2オンを狙って手に取ったのは6番アイアン。超低空飛行したボールはバンカーのアゴに突き刺さり、みごと目玉焼きの出来上がり…
なんてことありますよね。
今回は、普段あまりに気にならないけど入ってしまったらトラブル続出のフェアウェイバンカー攻略のための記事です。
実例を基にした対処方法やフェアウェイバンカーで気を付ける5つの注意点について解説をしていきます。
なぜフェアウェイバンカーは難しいのか
フェアウェイバンカーが苦手の方はどなたでもミスショットになるべくしてミスになる、共通した要因があります。
- ラウンド中、フェアウェイバンカーで打つ機会が少ない
- 練習場に行っても、練習する環境がない
- 状況別にどう打ったらベストなのか、コツをご存じない
- なぜうまく打てないのか、踏み込んで考えたことがない
- なんといっても状況に応じたクラブ選択をしていない
このいずれかに必ず当てはまります。
フェアウェイバンカーとガードバンカーの違い
初心者の方は同じ砂の上のボールなので、フェアウェイバンカーとガードバンカー(グリーンサイドバンカー)の打ち方の違いが理解できなくてミスを起こします。
ガードバンカーはボールとクラブが接触しない打ち方です(砂の爆発力に頼る)。
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「一発で脱出するバンカーショット」基本の打ち方 ホームランの原因はバウンスをうまく使えていないから
初心者にとってバンカーショットはひとつの「100切りへの関所」かもしれません。 どちらかというと苦手な方が多いようです。 理由はふたつ考えられます。 ひとつは町中の練習場にバンカーの設備があま ...
フェアウェイバンカーは打った後でヘッドが砂に接触する打ち方で、できるだけクリーンにボールをヒットするという絶対的な違いを記憶しておくだけでも結果が違ってきます。
実例から学ぶフェアウェイバンカーの対処法
では実例を挙げながら解説をしていきます。フェアウェイバンカーとガードバンカーの違いは理解しているという前提で進めていきます。
蛇足ですが「クロスバンカー」を同じ意味で使いますが、こちらは和製英語です。
浜野ゴルフクラブ7番ホールのフェアウェイバンカー
実例にあげたコースは「浜野ゴルフクラブ 」。美しくて広々としたフェアウェイ、池が見事に配されていて挑戦意欲満々にさせられるコースです。
コース設計は井上誠一さん、日本人でただ一人アメリカのメジャータイトルを奪取した樋口久子さんも大好きだという名コースですね。
100切りを目指すゴル友が、このホールで実際にやらかしてしまった実例です。
レフティーの彼はこの日絶好調。
スタートからボギー・パー・ボギー・パーときれいに並べ、6番終了で3オーバー、100きりどころかハーフ「40切り!?」という自己新ペースでホールを消化してきました。
そして迎えた7番はパー4。
軽く左にドッグレッグ、距離は385ヤードと特に長いわけではありません。
フェアウェイ右側にフェアウェイバンカーが見えたので、避けようとフェアウェイ左サイドを狙ったはずでしたが、フックしてフェアウェイバンカーに入ってしまいました。
メンタルの起伏を抑えること
読者の皆さんはこんな時どういう思いが頭に浮かびますか?
何でもないようですが、この差は大きいんですよ。ゴルフってこんな些細なメンタルのスタンスが、次打へボディーブローのような影響を与えます。
考え方は後者のほうがはるかに健康的ですね。
さて、現場に行ってみると4分の1くらいボールが砂に沈んだライで、ますますツイないな~感を深めたようです。
残り距離は165ヤード、グリーンに乗せることを前提に考えた友は、残り距離のみが判断材料となり6番アイアンを手にしました。好事魔多し。
フェアウェイバンカーで掛かるプレッシャー
このホールのフェアウェイバンカーは、アゴの高さが50~60cmあります。スタンスを取ってみると意外とアゴが気になったこと、持ったクラブが「グリーンまで届かないかも?」というふたつの迷いがチラッと脳裏を横切りました。
不安は的中します。
ボールはトップしてバンカーの土手を直撃、なんと跳ね返って自分の体に当たってしまったのです!
もう動揺は止まりません。
このフェアウェイバンカーで3打+1打罰を要し、少し前のラフに出したあと7オン3パットで上がってみればなんと「10!」。
※2019年のルール改正で、バンカーで跳ね返ったボールが身体に当たっても無罰になります。
フェアウェイバンカーで注意すべき5つのこと
フェアウェイバンカーに入ったら、プロでも考える基本的な注意点があります。
特別なことではなく、ごく当たり前のことをチェックするんですね。
①足場は砂である
ゴルフ中継でプロゴルファーが足を砂にグッと埋め込む姿を見たことありませんか?
これは足元がグラつくからで、通常のライのようなスパイクの引っ掛かりはバンカーでは無いに等しいからです。
足をしっかりと踏ん張っても多少は下半身にブレが生じるということを念頭にショットするように心がけてください。
②フルスイングが難しい
足元が不安定なためスイングアークが制限され、マン振りができません。しっかりヒットさせるためにはグリップを短く持つ必要があります。
したがって飛距離は通常の80%と考えるのが適当で、必然的にクラブの番手をひとつふたつ上げないとイメージした距離は出ません。
③ダフリやすい
ボールの埋まり具合にもよりますが、大抵はバンカーのアゴの位置よりボールは下にあります。したがって最低でも数10cmはボールを上げないとアゴに捕まってしまいます。
これにより「ボールを上げなきゃ」という意識が強くなり、いつもより地面に近い位置でインパクトしようとしてしまい、結果大きく砂を取ってしまいます。
また、足元が不安定なので猫背になりがちで、いつもより手元が地面に近くなります。しっかりと背筋を伸ばし、ややトップ気味でヒットをするように心がけます。
④砂を取らないインパクト
フェアウェイバンカーではダウンブローよりもシャロー(横払い)な打ち方が求められます。
普段からアップライトなスイングアークの方は、バックスイングの時に少し背中側にクラブを引いてみると、横振りのスイングになりダフリの確率を軽減できます。
また、砂をたくさん取らないボール位置=通常のボール位置よりやや右(右利きの場合)に置く方が直接ボールをヒットできるようになり打ちやすくなります。
⑤フェアウェイウッドでも対応可
まずはコースマネージメントを考えて、刻むのか狙うのかハッキリしましょう。
もしライが良くアゴも低いならフェアウェイウッドも有効です。「ゴロでもバンカーのアゴに捕まらない」シチュエーションは特にオススメです。
ライが悪い、アゴが高い、グリーン手前に池があるなどのケースは、最初から刻む(場合によってはサンドウェッジで出すだけ)という決断が大事です。
一番いけないのは距離しか考えないでクラブを選ぶことです。
フェアウェイバンカーの対処方法まとめ
フェアウェイバンカーはガードバンカーよりも浅めに作られていることが多く、あまりに気にせずに打ってしまいがちですが、先ほどの実例のように「構えてから急にプレッシャー」がかかります。
何よりも優先するのは「次打はバンカー外から良いライで打つ」ことです。普段練習していないフェアウェイバンカーでムリしても、そうそう結果は付いてきません。
ゴルフのコースマネジメントで重要なことは「簡単な位置から簡単なクラブで打つこと」に限ります。
もしライが良くても、グリーン手前に池やアリソンバンカーのようなハザードがあるなら、レイアップ(距離を刻む)する勇気を持つことこそが最大のフェアウェイバンカー攻略でしょう。
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