2018年4月16日のRGBヘリテージ・トーナメントでついに日本人5人目のPGAウイナーが誕生しました。元プロゴルファー古閑美保さんとご結婚された小平智プロです。
この1勝で1億2200万円の賞金と、2年間のPGAライセンスが手に入ったのです。
プレーオフを制して高々とトロフィーを掲げた小平プロは「もっと日本人で勝てるプロゴルファーがいくらでもいる」といいました。
確かにその通り。日本人も最近では体格負けしないお子さんも増え、野球の大谷翔平選手やフィギュアスケートの羽生結弦選手、先日はテニスのダニエル太郎選手も優勝しました。
そんな彼らの活躍を見て、もしお子さんがプロゴルファーになりたいといったら、親御さんはどう対応したらいいんでしょうか?
プロゴルファーへの道はどういうものか、金額はどのくらいかかかるのかなどをご紹介していきます。
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会社員の生涯所得を1週間で稼ぎ出すプロゴルファー
どこの親御さんも、子どもの才能はどこにあるのか、将来何をさせたらいいのか考えています。とりあえず色んなことをさせてみようというのがセオリーかもしれません。
かけがえのない子供の将来ですから、できることならお金に苦労するような人生にはなってほしくないと思うのが親心です。
様々な選択肢がある将来ですが、とりわけスポーツ選手というのは子供たちの人気職業です。
その中でプロゴルファーとは一体どのくらい稼ぎだすのでしょうか?
タイガー・ウッズのように生涯獲得所得が1,270億円を軽く上回るプロもいますが、日本国内のプロでも年収2,000万円以上の方は300人以上います。
国内ツアーでも1~2千万円、メジャー大会だと1~2億円という優勝賞金であるため、場合によっては1回の優勝でサラリーマンの生涯収入を叩き出すことも可能です(実際には税金の問題もありますが)。
でもそのためには医者にさせるくらいの投資が必要になります。とりわけゴルフはコースでの実践が重要になるスポーツですから、打ちっぱなし練習場に通っただけではうまくなれません。
親としての見極めも必要ですね。
元将棋連盟の会長だった米長邦雄さんは「子供の好き度ですぐわかる」といいました。日本一好きなら日本一になれると。
ジュニアに対する風向きが変わっています
お子さんの本気度がわかったら、親がプロゴルファーへの道を進むためのサポーターになります。
東京オリンピックが格好の目標になり、ジュニアの研修会が活発化しています。その大きな流れの変化もあり、世界で通用するジュニアたちがゴッソリ出てきました。
2017年、米サンディエゴで行われたIMGA世界ジュニアゴルフ選手権の「6歳以下女子部」で5歳の須藤弥勒ちゃんが優勝しましたが、見渡すとほかに名前を挙げればキリがないほどたくさんのキッズがいます。
ひと昔前はどこの練習場もジュニアには冷たかった一面があります。
あの石川遼クンでさえ少年時代はずいぶんと断られ、祖父が「この子はうまいから、迷惑かけないから」と拝み倒していたそうです。
時代は変わり、いまはジュニア優遇がありJGAもジュニアスクールも競技会も満開状態です。
ジュニアの競技会に参加させるには?
お子さんがゴルフにますます熱中するとなると、親御さんとしてどこかで進路の決断が必要です。プロゴルファーに限らず、プロスポーツは似たところがありますが投資が必要であることは間違いありません。
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幼少期から花奈プロの才能を見出した父は、なんと億単位の投資をしたとおっしゃっています。
とはいえ、まずはお子さんの才能を見極めるための期間が必要となることは間違いないようです。どのくらいのレベルまで到達できるかは、アマチュアの競技会にどんどん積極的に参加させることが、プロゴルファーになれるかどうかのリトマス試験紙になります。
JGAのジュニア会員が玄関のドア
ジュニアの大会に参加するには、はじめにJGA(公益法人・日本ゴルフ協会)のジュニア会員になるのが基本です。
JGAは年々ジュニア育成の活動が活発になっています。ジュニア会員にならないと日本ジュニア選手権や、地区連盟主催のジュニア選手権、ジュニアスクールの参加ができません。
ジュニア競技会の参加に必要な、JGA/USGAハンディキャップインデックスの取得申請も可能になります。入会金と年会費がそれぞれ1,000円ずつかかります。
プロゴルファーは3種類
一般社会で呼ばれるゴルフのプロには3種類があります。
トーナメント(ツアー)プロ=ゴルフの各種トーナメントに参加して、賞金やスポンサー料を得る一番一般的なプロゴルファー。
ティーチングプロ=ゴルフを教えることで収入を得る人たちで、ツアープロの5倍くらいの方が従事しています。
自称「プロ」=正規の資格がなく、自分でプロと名乗って活動している場合はアマチュア資格規則の違反となります。
いくつかのルートがあるプロへの道
ゴルフでプロゴルファーになるためには大きな経費が必要です。
練習場など格安でジュニアを迎えてくれるところなどのやりくりは必要ですが、ある程度の金額は用意しないといけません。
さらにジュニアで国内屈指のレベルになると、海外遠征が増えたりして投資額は膨らむことをあらかじめ計算に入れておかないと目標は達成できません。
韓国の親御さんなどは、お子さんのために一家でニュージーランドに移住してしまった方もいます。
そう考えると、ある程度期待するなら始めからアメリカのゴルフアカデミーに入学させるという方法もあります。
ツアープロになる道はふたつ
正式のトーナメントプロになるためには、ふたつの道があります。
ひとつ目は石川遼クンが辿ったルートで、アマチュアでわずかなチャンスを生かしてプロのトーナメントに参加して優勝することです。勝った瞬間にプロ宣言することが許されますが、これは極めてまれなケースです。
もうひとつはプロテストに合格すること。プロテストとは、JPGAとLPGAが年1回実施しています。
それだけですぐに試合の参加資格は得られません。
JGTOが1999年から実施しているQT(クォリファイングトーナメント)は、ツアーと下部のチャレンジトーナメントに出場する資格を獲得できる唯一の予選会です。
これはアマチュアやプロに関係なく全選手にチャンスがあって、成績次第で出場ランキング(ツアーメンバー資格者)が決定されます。
プロテストに合格して支払う金額はいくら?
結局一番お金がかかるのは、プロになるための練習費用となります。
おカネと同時に、松山英樹や石川遼クンが良い見本で、とにかく一日中ボールを打ったりパッティングしても好き度が色あせないことと、それに耐えうる基礎体力が必要です。
プロテストの受験料やクオリファイの参加費用はPGAやJGTOのサイトに掲載されています。受験料やエントリー料の総額は大体20万円ほどになります。
ただし会場は日本各地になり、交通費や宿泊費が別途かかります。本格的にプロゴルファーを目指すなら、研修生制度があるので働きながら腕を磨くのが最も経済的なコースです。
合格するといよいよPGA資格認定試験を受けて公認プロライセンスが取得できます。合格した人は入会金+認定料+セミナー料など100万円位の出費が必要です。
子供をプロゴルファーにさせるための道まとめ
今回はプロゴルファーになるための道のりと、お金の話を中心に書きました。
女子のプロテストは第1次から始まって最終の第3次までです。そこで最終の上位20位までがQT合格となります。
プロゴルファーへの道は合格率3%前後という狭き門であり、また投資額がいかに大きいかご理解いただけたでしょうか?
好きなこととそれが仕事となると話は別物になります。
それでもアメリカンドリームを諦めない、挫けない強い心があれば第二の小平智や宮里藍が現れることだけは間違いありません。