アイアンやウェッジは得意なのに、なぜかドライバーは上手くいかない…
ウッド系のクラブは全てスライスしてしまうのは何故だろう…
ドライバーなどウッド系のクラブは飛距離が求められますから、力んでしまってついスライスになってしまうこともあります。でも、そうではなくて毎回のようにスライスしてしまう方は「振り遅れ」によるミスを疑うべきです。
止まっているボールを打つだけなのに振り遅れをしてしまうメカニズムとは?改善するにはどうしたらよいのか?
以下まとめましたのでご覧ください。
ボールがスライスする理由
大半のゴルフ初心者は(右利きの場合)、ショットが途中から大きく右に曲がるスライスで悩みます。
スライス病の大きな理由は以下の3つです。
スイング軌道
まずはスイングの軌道によるもの。スイングは
- バックスイング
- インパクト
- フォロースルー
の3要素で構成されます。
バックスイングをインサイド(体寄り)に引き、インパクト後にインサイドへフォロースルーができる形を「インサイドイン」、体から離れてバックスイングしてフォロースルーが体に近づくことを「アウトサイドイン」、体寄りから体の外側へフィニッシュするすることを「インサイドアウト」と呼びます。
初心者の多くが「アウトサイドイン」のスイング軌道を描いているため、ボールに時計まわりのサイドスピンを与えてしまい右へスライスしてしまいます。
フェースの向き
続いてフェースの向きです。
アウトサイドインのスイング軌道でなくてもスライスが飛び出してしまう方は多くいらっしゃいます。
原因はフェースの向きにあり、たとえインサイドアウト軌道でもフェースの向きが大きく開いてしまってはボールは曲がってしまいます。
なお、インサイドアウト軌道の場合、インパクト角とフェースの向きによっては最適なドローボールを打つことも可能です。
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振り遅れによるもの
今回の主題でもある「振り遅れ」
これは、スライスする理由というよりは「フェースが開いてインパクトしてしまう理由」と言い換えたほうが分かりやすいでしょう。
止まっているボールを打つだけなのに振り遅れるとは一体どういうことなのでしょうか?その理由を説明していきます。
なぜ振り遅れるのか
野球やテニスなど動いているボールにコンタクトするスポーツならまだしも、地面に停止しているボールを打つゴルフでなぜ振り遅れが発生するのか。
その理由がこちらです。
シャフトは大きくしなる
野球経験者ほど振り遅れをする方が多く、その大きな原因が「ゴルフクラブがしなることをイメージできていないから」です。
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バットは木製、または金属製で一番太い部分は直径6cm以上のタイプもありますが、ゴルフクラブのシャフトはカーボン製などの曲がりやすい材質でできており、直径も1.5cm前後です。
またバットはその長さが83~85cmなのに対し、ドライバーは117cm(46インチの場合)もあります。それに、重さもバット900g前後に対しドライバーは300g前後と非常に軽いので、長さと重さ・そして材質によるしなりの大きさの違いが顕著です。
野球経験者はスイングすることに長けていますから、よりゴルフクラブがムチのようにしなります。
ドライバーのような長尺クラブは、そのしなりを最大限に利用し反動でボールを遠くへ飛ばすのですが、クラブヘッドが戻ってくる前にインパクトを迎えてしまうので、大きなスライスが飛び出してしまいます。
ハンドファーストという言葉の罠
ゴルフを始めた方の中には「ゴルフスイングはハンドファーストで」という言葉を聞くかと思います。
実はこの言葉が意外と厄介で、アイアンやウェッジなどにおいては正解ですがドライバーに関しては不正解となります。
数あるクラブの中でも、ドライバーはティアップをして打つことを想定されたクラブで、他のクラブは地面からのショットに最適な形状をしています。
なぜティアップをするのか、理由はふたつあります。
ひとつは摩擦抵抗を少なくすること。ティショットではボールをティアップすることがルール上許されています。
そしてもうひとつは飛距離を出すのに最適な弾道を打つためです。ゴルフで飛距離を出すためには「ボールの初速・打ち出し角度・最適な回転数」が必要ですが、特に回転数が多すぎるとボールが吹き上がり飛距離をロスしてしまいます。
そのため、ドライバーではアッパーブロー気味にボールをヒットさせてボールの回転数を抑える必要があります。
このように他のクラブと求めるもの(飛距離:正確性)が違うため、インパクトの瞬間にクラブヘッドがグリップを追い越す必要があり、ハンドファーストを意識しすぎている方だと必然的に振り遅れてしまいます。
肩が回っていない
振り遅れが気になり腕から下だけで打ちに行く方がいますがこれは逆効果です。
ドライバーはアッパーブローでボールをヒットさせる必要があるので、アイアンなど他のクラブよりも左足側(右利きの場合)にボールをセッティングします。
腕だけで打ちに行くとクラブヘッドがボールに届かないので、最終的には手首で操作をしなければなりません。こうなるともう方向性は安定しません。
フェースの向きは手首を返すタイミング次第となってしまいますので、少し早ければフックやチーピン・少し遅ければスライスとなり、またボールへのエネルギーも伝わらないので弱々しい打球となります。
実は振り遅れていない
これは中級者などでよく見かける光景です。
ある程度練習して理屈が分かってきた頃に陥ることが多いのですが、もともとスライサーであったために無意識のうちに左へ打ち出そうとしてしまっています。
振り遅れはしておらず、またインパクト時のフェースも正しい方向に向いているのにボールがスライスしてしまう方は「左(体寄り)にフォロースルーをしてしまっている」ことが考えられます。
そのまま気持ち良く打球方向へフォロースルーをすればいいんですが、極度に右へ行くことを怖がってしまいこのようなミスに繋がります。
振り遅れを修正する練習方法
振り遅れを直すには以下の練習方法がオススメです。
症状によって使い分けてみてください。
右肩で押し出すイメージ
肩が回らず腕だけでスイングしてしまう方は、右肩(右利きの場合)を押し出すイメージでスイングをするようにしてみてください。
少しイメージが難しいようであれば、両肩に真っすぐの棒がくっ付いているイメージでも良いでしょう。こうすることで、
- バックスイング:ターゲットに対し背中が見える
- インパクト:ボールに対し正対している
- フォロースルー:ターゲットと正対している
といった状態を作り出すことができます。
体の軸を1本にする
振り遅れをしてしまう方は、体の軸がインパクトよりも早く左足側に移動してしまうクセがあります。
このクセを直すには体全体をひとつの軸としてスイングする方法がオススメです。
ショットに入る前に両足を揃えてスイングをします。実際のショットでは適度に足を開いて構いませんが、体重移動のイメージは両足を揃えた時と一緒です。
このようなスイングを覚えると、アドレス時とインパクト時のグリップ位置が同じ場所で捉えることができるようになります。
両膝を地面につけて打つ
上半身と下半身がバラバラ、あるいはスイングの最中に膝が折れたりしてしまう方は、両膝を地面につけて打つ練習がオススメです。
タオルなどを下に置き、両膝を開いてその上に乗せ、膝から上の部分だけでスイングします。
体重移動は右から左の股関節までしか使えませんので、正しい体重移動の仕方も同時に覚えることができます。
少し恥ずかしいと感じる方は、膝より下をコンクリートで固められたイメージで練習すると良いでしょう。
下半身を使用禁止状態にしているため、インパクトが自然に正面に来て、嫌でもヘッドが手元を追い越していきます。
脳をダマすという方法も
インパクトするボールの位置を「ダマす」という方法も効果的です。
通常よりもボールの位置を左足方向(右利きの場合)にボール1個分ずらし、打つときは元々あったボールの位置をイメージしながらショットします。
これだけでほとんどの振り遅れは解消できますが、ひとつだけ問題があります。それは「慣れ」です。
最初のうちはこれで脳をダマすことができますが、徐々に脳が本当の位置を覚えてしまうので、あくまでも応急処置だと思ってください。
動画を取ってチェックする
スマホの録画などで矯正することもひとつの方法です。
プロのスイングをスローで見ると、トップからタメを保ってダウンスイングを始めた瞬間からインパクトまでの0.3秒くらいは左腰の開きがキッチリ止まります。
つまりその間動いているのは両肩とグリップの形成する三角形のみで、いわゆるボディターンが止まるわけです。下半身を安定させたままでインパクトを迎え、ボールを打った直後にヘッドスピードのマックスを持ってくると最大効率で初速が出せます。
自分のスイングをビデオで確認するのは以下の3点です。
①インパクトの時、グリップ位置がアドレスの時と一緒だったか?
②インパクト直後に手首を返す「リリース」を行ったか?
③インパクト直前で、腰の開きや下半身がスエーしていなかったか?
スマホで動画を取ればスワイプして何度も簡単に見返すことができるのでオススメです。
ドライバーの振り遅れを直すまとめ
振り遅れはドライバーやフェアウェイウッドなどの長さがあるクラブで起こります。
振り遅れはほとんどスライスという球筋になるのですが、中には手元のコックが機能しないためダフリやテンプラも併発します。
先ほど”0.3秒のボディターンを止める間”が出てきました。
振り遅れが常態化した方の中には、ボディーターンが早すぎてクセになっている方もいらっしゃいます。特に腰の回転が早いとフェースは開きやすく、当たっても距離の出ないボールになります。
ボディターンの正しいタイミングを知るために、あえてボールの位置を体の中央付近にずらすという方法もあります。
軸を安定させ、うまくフェースローテーションをしないとスクエアにヒットできません。ヘッドを早く下ろすこと、体の開きを止めること、ヘッドを早めにリリースすることの3つが同時に学べる練習になります。