その高低差とグリーンからこぼれた時の難易度から攻略が難しいとされる「砲台グリーン」
砲台グリーンはその周辺より一段高い位置にあり、伏せたお椀形の頂上付近を平らに均したような形状をしています。
アプローチの難度が高く、狙う距離が離れるほど止めるテクニックが要求されます。
どなたが命名したのかわかりませんが、「砲台」とはうまく考えたものです。
今回はこの砲台グリーンに焦点を当て、どうやって攻略をしていくのかを実際のホールを例にして解説していきます。
砲台グリーンの攻略法~美浦ゴルフ倶楽部の実例
今回の砲台グリーンのパー3攻略法に選んだのは、茨城県稲敷にある「美浦ゴルフ倶楽部」のNo.12です。
このコースはかつて国内男子プロトーナメント「HEIWA・PGM・in 霞ヶ浦」や男子メジャーの「日本プロゴルフ選手権(2003年)」や女子のニチレイレディスなどが開催されました。
コースデザイナーのロバート・トレント・ジョーンズ・ジュニアに手によって難度の高いコースに仕上がっています。
さて、問題のNo.12(パー3)です。写真はティグラウンドからの風景です。
131ヤード(バックティ)と距離はないのですが、谷の中にポコーンと現れた島のような形状はプレーヤーにプレッシャーを与えます。
さて、このホールの攻略で注意することはなんでしょうか?
まずはティグラウンドで考えることを挙げてみましょう。
ホールのレイアウトを把握する
最初にホールがどのような状態になっているかしっかりと把握しましょう。
どこに打ってしまったらOBなのか、グリーンの奥はどうなっているのか、ティグラウンドとグリーンの高低差などです。
そして一番打ってはいけない場所をチェックします。
もちろんOBが一番ダメですが、グリーンが横長なため左のバンカーに入れてしまうと、脱出時にグリーンをオーバーする可能性が大いにあります。
グリーン右側を狙えばセカンドショットでグリーンを大きく使えますので、最悪右のバンカーでも良しと考えることが重要です。
ダフらないためのチェック
こういった谷越えホールはいつもよりプレッシャーが高くなります。
必然的に「ボールを上げよう」という意識が強くなり、結果ダフるケースが多くなります。
考え方は2つあり、1つ目は「転がり落ちない距離を打てさえすれば良い」という考え方です。
このホールはレギュラーティでは119ヤードしかありません。
この距離はグリーン中央までの距離なので、グリーンまでは110ヤードもあれば十分です。
砲台グリーンなので距離が短すぎると転がり落ちてしまいますが、右のバンカー方向に打てば100ヤード程度しか飛ばなくてもバンカーで止まってくれます。
「100~120ヤードぐらい」とアバウトな距離で狙うことでプレッシャーを抑えることができます。
もうひとつの考え方が「トップしてもいい」と思うことです。
仮に8番や9番アイアンを手にしたなら、普通に打ちさえすれば余裕で谷は越えるはず(レギュラーティの場合)ですが、この時に弱気になってティを高くしてしまうと逆効果になります。
クラブは普通に当たればロフト角通りの弾道で飛び出すので、ティの高さは変えないで「ハーフトップでもいい」と考えるのが正解です。
できるだけ掬いあげず、ダウンブローでボールの赤道付近にリーディングエッジを当てるスイングをします。
ダフリを解消する練習方法についてはこちらをご覧ください。
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簡単にダフリが解消できる練習法/ザックリしない打ち方と改善策とは?
ダフリ、ザックリが止まらない…そんな方へおすすめの練習方法を公開します。
ダフらなくなるとアイアンショットに自信が生まれ、特に100ヤード圏内のアプローチショットの精度が上がります。
スコアアップを目指している方はぜひ一度読んでみてください。
クラブ選択で弱気になってはダメ
このように砲台グリーンのパー3で、多くの初心者は大き目のクラブで軽めに打つことを考えます。
しかし、このクラブ選択はおススメできません。
なぜかというと、すべてのショットでミス率が高いのは「手加減してボールを叩くことが原因」です。
通常の練習でキッチリ振って当たると届くクラブにしましょう。
もしどうしても大き目のクラブで狙いたいなら、いつもより2~3cm短く持つだけで飛距離が下がり加減の必要はありません。
バンカーに入っても良いと考える
バンカーに入ったら「しまった!」と単純に思わないようにしましょう。
例えばバンカーでも右のバンカーなら、ボギーも狙えますしパーのチャンスが消えたわけではありません。
また、左のバンカーに入ったら「OBにならなくて良かった」と考えるのです。
もしここにバンカーが無かったら、コロコロと転がり落ちてOBゾーンに行っていたかもしれないと、ポジティブな思考回路にスイッチします。
多くのホールにあるフェアウエイバンカー(クロスバンカー)などは、そこに落ちたからOBにならなかったとか、崖下に落ちる前に救われたというケースが実に多いのです。
考え方ひとつで次のショットが変わるという知識を、持っているだけでゴルフは楽になります。
風を読むと読まないは大違い
風はゴルフコースの見えないハザード(自然の壁)です。
林があるときは、木の高さ以下と以上で全然強さが変わります。
またこのようなホールで谷があると切り通しがあるのと同じで、一度底に吹き込んだ風の流れは再上昇してきます。
これが吹き上がってきてボールを翻弄する力になります。
わかりやすく例えると、谷の周辺には強弱入り混じったエアーカーテンがあるようなものです。
風はそのときの強さで対応が変わってきますが、とくにこういったレイアウトは大きく影響すると考えておきましょう。
グリーンに乗らなかったときの対処法
1発でグリーンに乗ってくれれば一番良いですが、そうもいかないのがゴルフ。
ましてやこのような砲台グリーンだと、一番厄介なのがアプローチです。
ここからは「砲台グリーン周り」でのアプローチで気を付けることを解説していきます。
すくい打ちはNG
砲台グリーンではどこからでも打ち上げのショットになります。
こんなときにやりがちなミスが、すくい上げてダフってしまうアプローチです。
グリーン面が見えないので「高く上げなきゃ」というプレッシャーからしゃくり上げてダフリ、芝生を掘り起こしてボールは2~3ヤードというのが典型的な砲台グリーン周りのミスショットです。
このような状態のときは、身体は斜面に対して直角に立つよう右足に体重を配分します。
左足が上がっているということは、クラブが入っていくボールの右にスペースがあるのでむしろやさしいアプローチになります。
左足体重でないと打てない方は、PWや9番アイアンなどでランニング・アプローチを試みたほうが安全です。
斜面に当ててクッションを使い、安全にオンさせます。
このアプローチなら心理的に安心感があって成功率が上がります。
なお砲台グリーン周りからのアプローチは、ロフトが利きすぎるので思ったよりも高さが出ます。
落ちてからのランが少なくなるのでピンデッドに近い距離計算をします。
ボールのライが悪かったら?
ボールのライが悪いときの考え方は少し変わってきます。
アプローチでは最も重視する距離感も、ある程度捨ててしまって「乗ればよし!」という考え方でいいでしょう。
またライが悪いと、ロブショットを打つつもりだったのにリーディングエッジに当たって「どトップ」してしまうリスクもあります。
こうなるとグリーンオンはおろか、向こう側の斜面に転がってしまい、OBゾーンまで行ってしまうことも考えられます。
そんなときは「ピッチショット」が良いでしょう。
ピッチショットはランニング・アプローチよりも少しボールが浮きます。
グリーンエッジに近いところに落とし、あとはピンまで転がるショットが理想的です。
大抵のライから打つことができるのでおススメです。
砲台グリーン攻略法のまとめ
今回は実際のコースを例にとって砲台グリーンの攻略法と考え方を解説してきました。
このケースではティグラウンドとグリーンの高低差がほぼなく、どちらかというとコースマネージメント寄りでした。
打ち上げホールに関しての考え方はこちらの記事が参考になります。
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ゴルフはやさしくシンプルな打ち方がすべてに勝ります。
当たり前のことを当たり前に行うことが重要ですが、今回のようにプレッシャーの強いホールだとそれを忘れてしまいがちです。
脳は否定形をイメージするのが苦手です。
たとえば「右奥の池をイメージしないでください」といっても、脳は右奥にある池をイメージしてしまいます。
ですから「谷に落としたくない」ではなく、「グリーンの右半分に落とす」といった成功の形をイメージすることで、自然と脳にインプットすることができ、ナイスショットの確率が高まります。
プレッシャーを感じたらぜひ実践してみてください。