ゴルフ用語に「ライン出し」という言葉があります。
明確な定義があるわけではありませんが、意味としては「方向性を重視したショット」として解釈をすれば良いです。
「今のは良いラインが出ましたね」などといった使い方です。
ライン出しの大きな特徴としては、
- 100ヤード以内のアプローチで良く使われる用語
- 打ち出し角度が低い
- フルスイングをしない
ということが挙げられます。
「ライン出し=コントロールショット」と考えれば分かりやすいでしょうか。
それではアイアンで精度の高いショットを打つためにはどのようなことを気を付ければよいのでしょうか。
以下、順を追って解説していきます。
アイアンの方向性が良くない方に共通していること
まずはアイアンが安定していない方に良く見られる特徴をピックアップしてみます。
一番多いのは「スイングの幅とスピードがいつも違う」方です。
ドライバーは飛ばせば飛ばすほど良いシチュエーションがほとんどなため、手加減をしてスイングする方はあまり多くありません。
しかしアイアンショットの場合、「オーバーしてはいけない」といった心理が無意識のうちに働くため、インパクトの直前に手加減をしてしまったり、手先でコントロールしてしまいがちです。
次いで多いのが「グリップが違う」方です。
持ち方は多種多様で極論を言えば「どんなグリップでも良い」のですが、残り距離や番手によって変えるのは好ましくありません。
狙った方向に飛ばすために一番重要なのは「インパクト時のフェースの向き」ですが、グリップが安定していないと方向性も損なわれてしまいます。
そして、これも意外に多いのですが「体が上下左右に動きすぎる」方です。
ボールを遠くへ運ぼうという意識が強く働くあまり、右足から左足に思い切り体重移動をして打つ方がいますが、これではいつも同じ場所にフェースを持ってくることが困難です。
また、ボールを上げようとするがあまりヘッドアップしてしまい、トップやダフリなどのミスをしてしまいます。
アイアンショットの基本を知る
ライン出しを考える前に、まずは安定したショットを手に入れるためにアイアンショットの基本を学んでおきましょう。
①アイアンは力む必要がない
ドライバーやウッドは飛ばしの道具ですが、アイアンはコントロールが命です。
腕前にもよりますが「飛距離÷10の円内」に収まる精度が必要になります。
たとえばドライバーで250ヤード飛ばす方なら直径25mの円の中に入れれば合格ですが、残り50ヤードのショットなら直径5mの円内に入れるコントロールを求める必要があります。
男性なら50ヤードはサンドウェッジでも軽く飛んでしまいますし、まさにラインが出るショットを心がけるべきです。
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②グリップを固定させる
正しいスイングを行うと自然にフェースがローテーションします。
構えた時は飛球線方向、トップの位置で体の向きに、そしてインパクトの瞬間に再度飛球線方向へとフェースは開いて閉じていきます。
グリップが固定できていないとフェースローテーションがバラつき、正しいインパクトを迎えることができません。
基本はドライバーもアイアンも同じグリップで固定させると良いでしょう。
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③頭を固定させる
ゴルフのスイングは動かす部位と動かしてはいけない部位がはっきりしています。
例えば膝の高さ、眼とボールを結んだ線(アイコンタクトライン)、背骨の最初に構えたときの傾きや位置は不動です。
前述の通りドライバーは多少のミスは許容できますが、アイアンはちょっとしたブレが大きなミスに繋がってしまいます。
したがって「再現性を高めるスイング」が重要です。
ライン出しをするための6つのアドバイス
ここまでアイアンの基本について触れてきましたが、ここからが本題の「ライン出し」についてです。
以下のアドバイスは上記の基本が伴っていなければ意味がありませんので、再度基本を学びたい方はこちらの記事が参考になります。
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①スパットを見つける
一旦ボールの後方からターゲット位置を確認したら、そのライン上でボールから30cm~1mほど先に「スパット」を見つけましょう。
スパットは少し芝が剥げている所や土の盛り上がりなど何でも良いです。
スパットはクラブのシャフトを使って、ボールと狙った方向に合わせると数秒で決まるでしょう。
枯れた草でも落ち葉でも小石でもスパットになり、それが大事な目印になります。
スッと構えに入って視界に入るならなんでもOKです。
ショットをするとき目印があるとないでは、精神的な安心感がぜんぜん違います。
また、ゴルフ場は「ゴルファーに錯覚を起こさせる」ように作られていることが多く、アドレスしたときに真っすぐだと思っていても意外と間違っていることもあり、その点でもスパットを見つけておくことは有利に働きます。
②右手人差し指の重要性
ゴルフスイングにおいて右手の人差し指は「トリガー」と呼ばれています。
拳銃を構えた時の引き金を引くイメージと重なるからでしょうね。
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トリガーは飛距離・方向性ともに重要な役割を持っています。
もっと正確に言うと(正しいグリップの握り方をしていれば)右手人差し指の腹の向きが打球の方向となります。
右手の人差し指の付け根までのちょっと柔らかい部分で、打ちたい方向にボールを押し出すように意識を持つだけでもずいぶん変わってくることでしょう。
その右手の人差し指を意識したスイングをすると「ボールをミートするときのフェースの開きやタイミングが安定」するため、ボールをターゲットラインに乗せることが優しくなってきます。
③アイアンとドライバーの違い
アイアンで方向性を出すためのスイングをドライバーと比較するとわかりやすくなります。
まず距離がなくなる分、スタンスは狭く取ります。
アドレスはボールに近くなり、ボール位置は体の中心あたりに置き、グリップがグッと体に近くなります。
番手が大きくなるほど腕は垂直に下がり、9番とかPWでは太ももスレスレで大丈夫です。
冒頭に出てきたライン出しの特徴として「打ち出し角度が低くなる」というものがありましたが、より方向性を求めるならばボールの位置をいつもより少し右寄りにすると良いです。
こうすることによってよりダウンブロー気味にボールを捉えることができ、またフェースが立つのでボールが浮かず風の影響を受けにくくなります。
④アイアンショットでフルショットは必要ない
アイアンは距離を求める必要がないのでフルショットをする必要がありませんが、さらにもうひとつ理由があります。
それは「より正確に芯で捉えるため」です。
アイアンは番手によってフェース角とシャフトの長さが異なり、番手が大きくなるほど距離が出ないように設計されています。
しかしそれも「フェースなりの打球を打てた場合」に限ります。
たとえばサンドウェッジでもライナー気味に力強く打ち出してしまえば、スイングスピードによっては150ヤード以上も飛んでしまうことがあります。
また、フルスイングを重視すると左右のバランスが崩れ、肝心なフェースの向きが安定しなくなってしまいます。
⑤アライメントに注意する
ボールの位置から見たターゲットとアドレスしたときの目線から見たターゲットはいくらかのズレがあり、構えた状態で狙った方向に打ち出すと少し右にプッシュアウトしてしまいます。
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ショット自体は良くてもアライメントがズレていては正しい方向に打ち出せないばかりか、ミスショットをスイングのせいにしてしまいます。
「しっかりと飛球線を後方から確認する」ルーティンを取り入れることでアライメントのズレを矯正することができます。
⑥ライン出しは70%ショットを心がける
初心者の方の多くがアプローチの際に「このクラブでいいのかな?」とか、「これで届くのか(ショートするのでは)?」と疑心暗鬼なスイングをしてしまいます。
そんな迷いや弱気一切を払しょくし、距離と方向性の精度を上げる良い方法があります。
使用するクラブは7番アイアンです。
7番アイアンは長さやライ角などが使用クラブのちょうど中間地点にいるので、7番アイアンをマスターすることで他のクラブにも波及しやすいからです。
打ちっぱなし練習場で常に70%の力加減でショット練習をします。
人によって違うでしょうが、トップの位置はおおむね「手首と肩が平行線」に来る辺りがちょうど良いでしょう。
この時の心の決め事は、”絶対に100ヤード以上は打たないこと”です。
タメを意識しインパクトはいつも通りしっかりとダウンブローに打ち込み、フォローもシャフト直立までキッチリ取りましょう。
この練習は頭を残す訓練にもなり、ヘッドアップ防止の効果があります。
体の向きがちゃんと方向を向き、ボールもそのラインに出ていくかチェックします。
体の回転速度を変えないのがコツです。
アイアンのライン出しについてのまとめ
ライン出しが上手になってくるとアイアンだけでなくドライバーやパターも良くなってきます。
「方向性を決めるために最も大事な要素はフェースの向きにある」ということを根本的に理解できるからですね。
まとめの最後として「ルーティンを取り入れてリズム良くスイングをする」ことも取り入れていくと良いでしょう。
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ミスショットを少なくするには「いつも同じスイング」を再現できる能力が必要ですが、そのためにはしっかりとしたルーティンワークが欠かせません。
今回はおススメのルーティンとスイングの再現性を高める方法を解説していきます。
アプローチショットは距離が短いから「ミスしたくない」というプレッシャーがいつもより強くなります。
ルーティンを取り入れることは非常に効果的で、脳を「良い方向に騙す」ことができます。
またリズム良くスイングをすることで余計な力みから解放され、スイートスポットに当たる確率も高まります。
ぜひ自分なりのルーティンを取り入れて実践してみてください。