ほとんどのゴルフコースはグリーンが受けていて、手前から奥へ上っています。
これは設計上の「優しさ」でもありますが、特にゴルフを始めたての方は綺麗な放物線を描いてグリーンオンなんて滅多にありませんから、結局グリーン上を転がりオーバーしてしまうことが良くあります。
こうなると待っているのは難易度が高い「下りのパット」です。
上りのパットと違い、加減を間違えれば大オーバー!場合によってはグリーンを越えてその先にあるバンカーまで転がっていってしまいます。
またボールがどんどんと加速していくのでアンジュレーション(傾斜)の影響を大きく受け、微妙なタッチの間違いでラインに乗らず明後日の方向へ転がっていってしまうのも下りパットの特徴です。
本サイトでは事あるごとに「ゴルフスコアの約40%はグリーン上」とお話していますが、上り・下りのパットを意識せずに攻めていけば自ずと20%前後が下りのパットとなります。
スコア100なら20回の下りパットを攻略することで、100切りどころか90切りも見えてくることでしょう。
今回はそんな難易度の高い「下りパットの打ち方と攻略方法」について解説をしていきます。
ベン・ホーガンと並び称された下りのパット
下りのパッティングはアマチュアばかりかプロでも手を焼きます。
こんな名言があります。
『私がゴルフで恐ろしいものは3つ。雷とベン・ホーガンと、左から右へいくダウンヒルのパットだ』
と言い残して引退したのはサム・スニードです。
ベン・ホーガンは鉄仮面とかアイスマンと呼ばれるほど、無口で冷徹さを秘めていました。
歴史上、92勝という最多勝を積み上げた伝説のスニードさえ、下りのパットをベン・ホーガンと並べるほど怖れたのというのは、半分ジョークであってもナットクです。
下りパットを攻略するための3か条
それでは具体的に下りパットを攻略するためのアドバイスです。
- パッティングラインは帯で考える
- 芯を外してパッティングする
- ゼロ・テイクバックをマスター
それでは解説をしていきます。
パッティングラインは線ではなく帯状
まずはライン読みからスタートします。下りだけでなくどこからのパットでも考え方は同じです。
パッティングラインというからなんとなく「線」で考えてしまいがちですが、ゴールとなるカップ(穴)は直径10.8cmあります。
したがってパッティングがカップに入るラインは1本の線ではなく「一定の幅」があります。
もちろんど真ん中に打ち込むことができれば、カップのフチをクルンと滑ってしまうようなことはありませんが、そもそもそこまで精密に狙えるならパッティングに困ることはありません。
パターヘッドは規則上7インチ(17.78cm)以下と定められていて15cm前後のモデルが多いので、パターヘッド全体を帯と考えるのは少し広すぎです。
「パターの中心からボール2個ほど」の帯をイメージしておくと良いでしょう。
下りのパットは繊細なタッチが要求されますから、どうしても線で狙ってしまうとそればかりに囚われてしまい、肝心なストロークに悪影響を及ぼします。
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パターが上達するグリーンのライン・芝目を読む8つのコツ
ゴルフスコアの40%を占めるパッティング。
パターは「イメージ通りに打てること」と「しっかりとラインが読めていること」の2つがしっかりとリンクした時に初めてカップインします。
今回は「どのようにしてグリーン上のライン・芝目を読めばいいのか」について解説していきます。
芯を外すパッティング
これは既に実行しているプロがいます。レッスン書では賛否両論ですが、実は理に適っていて優しい方法です。
スティーブ・ストリッカーというパットの名手がPGAにいます。
ヒールを浮かし気味の彼のスタイルは(今は芯は外さないものの)、元々そのアイディアから派生したと、いつかブッチ・ハーモンが語っていました。
パッティングは芯を外して打つ(オフセンターといいます)と、ヒール側ならスライス回転がトゥ側ならフック回転がかかりやすくなります(慣性モーメントによる)。
ストリッカーのパッティングスタイルは、この原理通り、転がりを自分の意志に近いものにするための工夫だったという見方です。アメリカのツアーはグリーンが年々早くなり難易度が挙がっていますが、このための対策だったのでしょう。
この打ち方の基本は当然下りのラインに行かせます。
芯を外れると当たり前ですが出玉のスピードは弱くなります。打ち出したボールの勢いを殺すことと同時に、うまくラインに乗せるという難しい両方の希望を叶える優れた方法です。
芯を外す打ち方の注意点
下りの傾斜が強いとき、上記のような芯を外す方法は初心者の方でも有効的に使えます。
ただし、ひとつ注意点があります。
トゥ側で打つときは、フェースの先に行くほどフェースが開くということさえ頭に入れておいてください。
先のほうに行くほどボールの初速が下がってブレーキが強くなり、打ち出しは想定よりすこし右に出ます。
ボールの転がる面の傾斜が左に傾いていればボールは強いフックラインのパットになります。この時は自動的に修正が聞くので都合良い方向に転がっていくでしょう。
でもスライスラインになるとさらに右方向に出やすいので、このケースではヒール寄りにヒットポイントを変えたほうが寄る確率が増えます。
芯を外して勢いを抑える打ち方は、練習をすると誰でも習得することができます。
パッティングという作業はおかしなところがあって、「芯で打つ」というタスクより、はじめから芯を外してといわれるほうが易しくできることに気がつくでしょう。
タップ式は下りのパットには不向き
下りのパットをよく外すタイプとそうでないタイプに差はハッキリあります。
いつもボールにパチン!とパンチを入れる「タップ型」はやはり下りが苦手です。
下りの時だけ流し込む打ち方をしようとしますが、普段のクセをその時だけ変えるのは簡単ではありません。
下りのパットでタッチが出るのはやはり常にジャストタッチで打つ打ち方であり、スイングの速度がゆったりと一定していて、テイクバックの距離でボールの到達距離をアレンジしている人のほうが下りの3パットが少ないものです。
ゼロ・テイクバックとは
下りのパットで3パットをしないようにするには、1cm程度、またはほとんど引かないテイクバックでそっとボールが押せる打ち方を練習するとかなり良くなります。
1cm程度のテイクバックではフェース面はズレることがありません。そんな打ち方を「ゼロ・テイクバック」というプロもいます。
「えいやっ!」という力のかけ方でなく、そぉ~っと背中をさするようにヒットしましょう。
むしろ、スピードが遅すぎて次のパットが再び下りにならないように注意する必要さえ考えられます。
手に負えない強烈な下りは「直角横打」
一番良い方法は「下りのパットを残さない」ことですが、そうはわかっていても18ホールを回るとなるとそうはいきません。
パッティングの距離感は打ち出しのスピードに集約されます。そして距離さえ合えば方向性は二の次、といっていいのが初心者のパッティング上達術です。
そこで、強い下りのときにチャレンジしてほしいのが『直角横打』です。ラインを厚めに見るというより初速にブレーキを掛ける打ち方です。
おそらく触っただけで3ヤード以上、間違いなくカップをオーバーするパットを打たねばならない状況のときに試してみてください。
下りの距離感の目安は、(普通に打つと)10cmの高低差なら1m前後伸びるというのが正しい見方です。
ラインがカップまで全く曲がらないストレートは除外します。
少しでもカーブになるラインなら、図のように真横に向かって打つことで、インパクトの力は相当削減されて勢いにブレーキがかかります。
通常のラインに乗せる打ち方より30%程度は距離のオーバーを食い止めることができます。
急な下りでは「ラインを無視して真横に打つ」、むしろ斜め後ろに打つことが極意です。
下りのパット攻略のまとめ
ウォルター・ヘーゲンは
『パッティングの上手か下手かは何で決まる?ここ一発を入れるかどうかじゃなく、その距離を10回のうち何回入れるかというパーセンテージなんだよ』
といいました。
パッティングにはクラッチパットという決め所もありますが、長い目で見ればウォルターの言う通りです。
ここまでをまとめると、
下りパット攻略
- パッティングラインは帯をイメージ
- 芯を外すパッティング
- ゼロ・テイクバックで打つ
- 強烈な下りは横へ打ち出す
というのが下りパット攻略の糸口です。
実際に入るか入らないかは結果であり、その結果を基に適宜修正していきパッティングの確率を上げられるように練習していくことこそ、パター上達の秘訣です。