みなさんは「シャンク」という言葉をご存知ですか?
場所はスコットランド、ゴルフといえばマッチプレーだった時代のことです。
一人が打ったボールは右方向へ大シャンク!
ボールはなんと隣接する最終18番ホールのピンそば1フィートにピタッと止まりました。
これを見た相手のプレーヤーは笑顔で「その1打で降参だよ」と言い、帽子を脱いで(試合の負けを認める行為)しまいました。
周囲はジョークかと思っていたら、二人はそのまま肩を組んで近くのバーに入っていきました。
さて、今回は出始めると何度もリピートする「シャンク」の原因とその直し方について解説していきます。
シャンクはエピソードのように、ボールが大きく右に飛び出すショットです。
ゴルフでは考えにくいのですが、真横に飛ぶことさえある危険なショットです。
シャンクが起こる仕組みはどうなっているのでしょう?そのことを学ぶとシャンクの直し方も見えてきます。
その他のよくあるミスショットを改善するための記事は、以下からご覧ください。
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リピートするシャンク
ゴルフはミスがつきものです。
とはいうものの「シャンク」は特に嫌われ者、ショックが尾を引く悲しいミスショットです。
筆者も大きな試合で、最後の最後にシャンクが出て優勝を失った苦い経験があります。
シャンクが出ると時には池に入り時にはOBになり、そこまで順調だったスコアもめちゃめちゃにされてしまいます。
それどころか、周囲にいた同伴者に当たりそうになって悲鳴が聞こえたらもう最悪ですね。
シャンクは一度出ると、自動ドアの開閉のようにいつまでも繰り返します。
それだけに、プレーヤーはアドレスするたびに「次もまたシャンクするんじゃないだろうか?」という疑心暗鬼に包まれます。
そうなると思い切ってショットはできなくなり、いつものスイングなどできるはずもありません。
それではまずシャンクの起こるメカニズムの確認、そしてその治療法がわかる7つのチェックポイントへ進んでいきます。
シャンクの起こるメカニズム~用語の確認
まず、説明の前に登場するゴルフ用語の確認です。
①ヒール
クラブヘッドの付け根(角)部分。
英語では”足のかかと”という意味です。
ヒールは別な意味で「悪玉、悪役」などがあり、シャンクに関しては妙にピッタリの和訳になります。
②ネック(ホーゼル)
シャフトの付け根でヒールの接点にある、クラブヘッドとシャフトを取り付けるソケットのことです。
③トゥ
クラブフェースの先端部分です。
シャンクの起こるメカニズム~どこに当たっている?
シャンクはボールがヒール部分(ホーゼル)に当たると発生します。
トゥ部分で起こらないとは言い切れないのですがあまりありません。
シャンクの原因は複雑で、ひとつだけではありません。
ケースバイケースであり、スイングの仕方との組み合わせで起こります。
例えば、アドレスそのものがボールから遠く離れて立つクセを持っていると起こりやすい傾向があります。
癖がなくても、シャンクが続くと再発を恐れるあまりこの症状がおこります。
トップでフラットになり、ボールに当てに行くから体が突っ込むという典型的なシャンク・スイングになります。
シャンク・スイングを早く直すための7つのチェックポイント
前述したように、シャンクはクラブヘッドのヒール部分にボールが当たることによって発生します。
ほとんどのケースでは、プレーヤーが構えた時より本人が意識しないうちにスイング軌道がヘッドがボールの奥にずれてしまっています。
だからといってボールから離れて立つと、先ほど解説した様に前のめりの姿勢ではますますシャンクが多発します。
そのほかシャンクする方を見ていると、意外な共通点があります。
そのことをシッカリ見定めると、おのずと治療法がわかってきます。
①フェースの開きすぎ
シャンクが最も起きやすいのは実は「アプローチ」です。
それも30~50ヤード程度の軽いスイングのときに発生します。
このぐらいの距離だと、本来ならランニングアプローチでも良い場面が多いのですが、どうしてもボールをフワリと上げて寄せワンを狙いたくなるものです。
このときに注意したいのが「フェースの角度」です。
ボールを上げたい上げたいと思っていると、知らず知らずフェースが開いていきます。
フェースが開き過ぎると、自ずとクラブのヒール部分がボールに近くなっていき、やがてシャンクとなりスランプに陥っていきます。
このような状態になった時は、自分のフェース角度をチェックすると急に解決することがあります。
②現場でのシャンクの応急処置
そうはいっても、ゴルフコースでラウンド中に突然シャンクが飛び出したら混乱してしまいます。
次のショットからはオドオドしたスイングになり、まともな当たりは影を潜めます。
そんな時は次のような応急処置で乗り切りましょう。
ボールをトゥ側にセッティングする
アドレスの時にフェース面とボールを合わせないで、ボールがトゥの先端にある位置から振りはじめます。
およそ空振りになるのではないかという心配があっても、不思議なことに人間の運動神経という記憶はちゃんとボールに当てるスイングに戻ります。
ボールの半分しか見ない
意識的にボールの半分をフェースで打つイメージを持ったら直った方もいます。
つまり、ボールの一番人間に近い端がボールの芯だという、自らの脳をだますのです。
感覚としては、ボールが0.5個自分の手前にあると脳をだます感じです。
注意すべきは「アドレスはいつも通りにする」ことです。
ボールが遠い位置にあると意識的にスイング軌道が遠回りしてしまうので、クラブをターゲットに向かって押し出そうとしてしまいシャンクが発生します。
あくまでもアドレスはそのまま、場合によっては「ボールに近づいた方が改善」することもあります。
③インサイドアウトの方は要注意!
シャンクを起こすタイプは一概には言えませんが、実際にシャンクをしてしまう方の大勢がインサイドアウトのスイング軌道です。
インサイドアウトのスイングだと、クラブのフェース面より先にヒール部分がボールに近づくため「当たり所が悪い」とシャンクとなってしまいます。
スイング軌道はやや半円を描くようにして、その下限でボールを捕まえるので「インサイドからクラブが入ってくる」のはごくごく自然なことですが、あまり極端になりすぎてしまうとシャンクとなるので要注意です。
こういった方はバックスイングをやや外向きにする(体から少し離す)と改善されます。
④トップのポスチャーに問題あり!
シャンクはトップのポスチャー(姿勢)と、その時のフェース面に関係があります。
シャンクする多くのケースに「8の字打法」といって、バックスイングの方向とトップから降りてくるクラブの軌道が一致していないことがあります。
自分が8の字打法になっていないか見極める方法として、トップのポスチャーで一時停止して自分で見上げて確認する方法があります。
トップの位置でフェース面がシャフトと平行線上にあるか(構えた正面方向に向いているか)どうかチェックします。
仮にフェース面が狂っていたらそこに原因がありますから、角度を見直すことでシャンクから解放されます。
⑤体重のかけ方は間違っていませんか?
意外と多いのがこのタイプです。
構えた時点でかかと体重になっていると、スイングの過程で身体が重心を前に戻そうという動きが働きます。
結果的に体が突っ込むため、クラブフェースが狙っている位置よりも外側に動き、結果シャンクに繋がります。
⑥脇の甘さがシャンクの大きな原因
アドレスの時に軽く伸ばした腕が、ダウンスイングからインパクトへと進むにつれて体から遠回りしていくことが大きな原因になります。
おそらく距離を求めるあまりに無駄な力が入ってたせいでしょう。
トップまではある程度正しくバックスイングできていても、脇が甘くなると腕はイメージより遠くを通るため、ボールに遠回りして当たることになります。
ダウンスイングから右の脇と右腕が接着剤でくっついているかというほど密着させるのが基本形です。
練習のとき、体の両脇にヘッドカバーなど挟んで練習しましょう。
この方法で打ってみると、即座にシャンクが改善されます。
⑦ボールの位置を見直す
初心者の多くはドライバーのボール位置を基準とするせいで、全てのクラブでボールを左に置きすぎています。
また右に置くとボールが上がらないのでは?という錯覚を覚えてしまうからか、場合によってはアイアンショットでも前足のかかと付近にボールをセッティングしている方もいます。
ボールが左に行けば行くほど脇が甘くなり、シャンクが多くなるばかりかダウンブローでボールを捉えることができず、トップやダフりの原因にもなってしまいます。
ダウンブローの打ち方はこちらをご覧ください。
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【アイアンショット】ダウンブローの打ち方を簡単にマスター!ポイントは「タメ・フェースターン・ハンドファースト」
あなたのアイアンは理想的な距離が出ていますか?
しっかりとしたダウンブローを習得することで飛距離が上がるだけでなく、5〜10ヤード刻みのコントロールショットも同時に覚えることができます。
ボールの位置は人によってまちまちですが、7番アイアンで体の中心にボールを置くのが基本で、番手が上がるごとに少しずつ左にずらしていくのが理想です。
ボールを左に置いていてシャンクが出てしまう方は、思い切って右に移動してみるのもひとつの手です。
シャンクが怖くなった時のまとめ
シャンクの発生原因が分かれば、直すのは意外と難しいことではありません。
シャンクは「クラブのヒール部分にボールが当たることで発生」しており、その原因は「スイング軌道のブレ」によるものです。
打ちっぱなし練習場でフェース・シールを貼って打ってみると、フェースのヒール側に当たるのが多いのか、それともトゥ側なのかが分かるようになります。
シールがなければ水性の太いマーカーなどで色を塗ってみてもいいですね。
また不思議なことに、シールを貼ってボールの当たる所を意識したスイングはシャンクが出なくなることにも気づくでしょう。
いずれにしても、ほとんどのミスについて共通しているのは基本のフォームそのものが間違えていることだとわかればシャンクは一気に解決します。
キーパーソントレーナーというグリップ矯正用の練習器具がありますが、シャンクを改善する練習にはもってこいです。
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