ゴルフのスコアが、ドライバーの飛距離と比例すると思っている方はいないでしょう。
しかし男女を問わず、ゴルフで飛距離が出ると良いスコアを出すことが非常に楽になります。
それに、飛べば飛ぶほどゴルフがますます楽しくなりますよね。
初心者にとって飛距離はその方の「伸びしろ=可能性」です。
ゴルフにとって飛距離はアドバンテージといわれ、日本語で言うと「利点」とか「うまみ」とかいうことになります。
確かに知る範囲で、200ヤード飛ばす女性の平均スコアが100以下の方はいませんし、中には80台前半をキープしている方もいます。
初心者の女性の方で、時には180ヤード飛ばせても、チョロなど計算に入れて平均すると150ヤード以上という方は意外と少ないものです。
女性ゴルファーで、ティショットがアベレージ150ヤードを超えるようになれば、100切りはすぐ見えてきますし、上達具合によっては90切りも視野に入ってきます。
ということで、今回は女性ゴルファーの大きな悩みのひとつである「飛距離」について、どうすれば200ヤード以上飛ばすことができるのかについて解説をしていきます。
飛ばすためにはフィジカルなことだけではないものがある
飛距離を伸ばすには、パワーをつけることがひとつのポイントであることは間違いありません。
しかし、ゴルフを始めたばかりの女性がいきなりそういわれても、急に筋肉がつくわけでもありません。
また、ゴルフでは不必要な筋肉がついて、スイングのバランスを壊しても困るものです。
今回は身体作りのことは置いておき、男性に比べ非力な女性はもっとほかのコツを覚え、繰り返し実践することに集中しましょう。
飛ばない女性の多くは力がないからだと思っているかもしれませんが、その答えは「力よりもスイングの改善」であることが多々あります。
女性特有の「柔らかさ」を活かす
人間は古くは狩猟民族であったため、男性は骨格に恵まれており、パワーを如何なく発揮します。
反対に女性は子供を育てるのにうってつけな体、つまり子供が抱かれても痛くないように「柔らかくしなやかな体つき」をしています。
柔軟性に優れており、一般的に男性よりも肩・腰などの捻転可動域が大きく、その分スイングアークも大きく取ることができます。
男性の場合、せいぜい左肩が左目の下ぐらいまで来れば良いのに対し、女性は顎の下を軽々越えるまで回る方をよく見かけます。
これだけアドバンテージがあれば、あとは再現性の高いスイングを身につけていくことで「200ヤードのビッグドライブ」も夢ではなくなってきます。
飛距離の方程式
推定飛距離は以下の計算で求めることができます。
「ヘッドスピード×ミート率×4」
一般的にアマチュアのミート率は1.30~1.40程度といわれ、仮に1.35なら
200÷1.35÷4=37
つまり200ヤードを飛ばすには、ヘッドスピード37m/sが必要であるということです。
女性プロの平均ヘッドスピードが45m/sそこそこといわれており、アマチュア女性ゴルファーが37m/sのヘッドスピードを出すのは結構大変です。
ヘッドスピードを上げるコツは後述しますが、まずは「ミート率を上げる」ことについて解説をします。
ミート率が1.35~1.45に上がれば、ヘッドスピードは35m/sを切っても200ヤードの飛距離を打てるようになります。
芯を外しても良いという考え方
「ミート率を上げる」といっておいて芯を外しても良いというのはどういうことなのか?
と思われたかもしれませんが、これは「ボールを打ちに行く」という概念を払拭してほしいからです。
ボールを打ちに行くという考えでスイングをしてしまうと、どうしても体が前に突っ込んでしまい、いわゆる「振り遅れ状態」となり、大きなスライスや小さなスイングとなってしまいます。
ここで大事な考え方は「ボールは押し込む」ということです。
たとえばパン生地をつくるときに平手でパチンパチンと叩いたりしませんよね。
手のひらに体重を乗せてグ~ッと押し込むようにした方が効率よく生地が伸びていきます。
これと同じように、ボールには「たくさんの力を乗せる」ことが重要です。
また「ヘッドにボールを当てる」という意識でいると、「当たった後のこと」にまで意識が回らないためか、インサイドやアウトサイドに振り抜いてしまい、ヘッドとボールの接触時間を自ら短くしてしまっていることがあります。
僅か0コンマ何秒の世界ですが、ヘッドとボールの接触時間が長いほど大きな反発を生み、芯に当たった時のボールの衝撃は、まさに「ボールを潰す」感覚を手に入れることができます。
体重移動は気にしなくてよい
レッスンなどを受けられた方の中には「バックスイングで右足荷重・フォロースルーで左足荷重」と教わっている方がいらっしゃるかもしれません。
間違ったことではないのですが、このレッスンを鵜呑みにしてしまうがあまり、肝心なミート率が下がってしまう方が多いようです。
体重移動は「右足から左足」ではなく「右股関節から左股関節」というぐらいの意識で構いません。
それよりも大事なのは「頭(視線)は動かさない」ということです。
視線が飛球線側に動くことにより自然と顎が上がり、これにより頭を頂点とした軸もブレてしまいます。
試しに視線を右から左に高速で動かしてみてください。頭も動いているのが分かると思います。
このような状態でスイングをすれば、当たり前ですがミート率が悪くなってしまいます。
ヘッドスピードを上げるためには
よくレッスン書などには「ゆっくりと振りましょう」と書かれていることがあります。
遠くに飛ばしたいのに何故ゆっくりと振るの?
と思いがちですが、この言葉には「力んでスイングするとヘッドスピードが上がらないから」という文章が続きます。
でもいつもより遅いスイングでヘッドスピードは上がるのでしょうか?
それは以下の内容を読めば解決します。
大きなスイング軌道で遠心力を生かす
自動車で急カーブを曲がるときにカーブの進行方向と逆に体が持って行かれますが、この力を遠心力と呼びます。
遠心力の公式は、
半径×質量×角速度の2乗
で求めることができますが、これをゴルフに言い換えると
- 半径=腕の長さとクラブの長さ
- 質量=クラブ(ヘッド)の重量
- 角速度=スイングスピード
となります。
つまり「同じスイングスピードであっても、半径の大きさやクラブの重量によってヘッドスピードは上げられる」ということです。
この中で一番簡単にヘッドスピードを上げることができるのは、ズバリ「半径を大きくする」ことです。
ご自身のアドレスを改めてよく見てください。
スタンスを決めたときのボール位置と身体との距離は、伸ばした腕で測っていますね。
テイクバックで左腕を、バックスイングで右腕を伸ばすのはその「間合い」をキープするためなのです。
従ってスイングの途中で腕が伸びたり縮んだりするとフェースの芯には当たらなくなります。
クラブヘッドはできるだけ体から遠いところで円運動させることが飛距離アップの秘訣なのです。
「タメ」の振り付けを覚えるだけでもOK
前述のようにシャフトが地面と水平になるようなきれいなトップができたら、今度は”切り返し”に注意します。
シャフトが水平になるということは、リスト(手首)がコックしているということです。
ゴルフのスイングのポイントで、コック(リストを曲げる)とアンコック(リストを使わない)ということは非常に大事です。
トップでは左手の甲側が体の正面を向けると、正しいグリップをしている限りクラブのフェースもほとんど同じ向きになります。
そのトップでコックしたリストの形を微塵も変えることなく切り返しに入ることで「タメ」ができます。
反対に「タメがない状態」とは、せっかくコックしたリストをダウンスイングに入るか入らないかのタインミングで開放をしてしまっている状態のことです。
コックを解放するタイミングは人それぞれですが、上の画像のように手首が右足の上を通過する直前あたりが理想とされています。
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これを使えば自分のスイングはどこが悪いかすぐに分かります。
また、良く言われている「力いっぱい振ると飛ばない」ということも、M-Tracerを使えば数値で解説してくれます。
レートヒットのタイミングがわかればヘッドが走る
タメを覚えると「レートヒット」のタイミングがわかるようになります。
なにがレート(遅れる)なのかというと、グリップが先にいきクラブヘッドが後から遅れてついていくスイングの意味を言います。
イメージしてみてください。
インパクトの瞬間はボールをほぼ正面で捉えます。
なのにダウンスイングでグリップが先に降りていたのに、当たるときはほぼフェースもグリップも正面にある、ということは途中でヘッドが加速してグリップに追いついたということが理解できますね。
このことをゴルフでは「ヘッドを走らせる」と表現します。
ヘッドが走るからヘッドスピードが上がるのです。
女性でも200ヤード飛ばすためのコツまとめ
いかがでしたか。
女性でも200ヤード以上の飛距離を求めるのは決して無謀なことではありません。
距離の短いパー4でレディースティからならワンオンも可能になります。
ここまで飛距離を伸ばすためのテクニックを解説してきましたが、根本には「正しいゴルフスイングができている」という条件があります。
①体幹を使うこと
飛ばせない女性のほとんどは腕だけのスイングをしている方が多いです。
トップで左肩があった場所にフィニッシュで右肩がある形にしないとボールは飛びません。
飛距離は肩(腰はその半分)の捻転度合いが大きく関係しています。
②下半身の安定感
下半身のぐらつきは飛距離を落とす大きな原因です。
足の裏でシッカリ地面を銜えて、身体の重心を下げ踵の上げ下ろしを最小限度で抑えます。
③体のブレを防ぐこと
体の上下運動、前後の揺さぶり、左右のスエーは飛びのエネルギーロスになるだけです。
背骨を軸にして力感のない、駒が回るようなスムーズで軽やかな回転に終始します。
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