ゴルフは直径4cmほどのボールを操り、数百ヤードも先のカップにいかに少ない打数で入れるかというスポーツです。
単純な競技ながらこんなにも奥が深いのは、なんといっても「ボールをコントロールするのが難しい」からです。
ゴルフを始めたての頃は誰もが経験しますが、いざ打ってみるとボールはあっちに行ったりこっちに行ったり…
本当に言うことを聞いてくれません。
今回は「ボールは何故曲がるのか?」ということをスイング別に解説していき、どうすればボールをコントロールすることができるのかを紹介していきます。
5系統のボール弾道
まずはボール弾道の種類についてです。
大まかには以下の5系統に分けて考えることができます。
①ストレート系
心地よい響きの言葉です。
しかし、ゴルフで常に真っすぐ打つほど難しいことはありません。
ベン・ホーガンは、常にクラブフェースをスクウェアで打てと教えました。
しかし、現実的にはインパクトでフェースは被ったり開いたりするので曲がりが一定せず、ストレートボールは持ち球になりにくいものです。
②ドロー系
ゴルフは「直線的に攻められるホールは少ない」ものです。
ターゲット方向のやや右目から、飛球の頂点付近ですこし左に首を振るドローボールは飛距離も出て、落下した後のランも稼げます。
③フック系
極端に左カーブするボールで、飛ばすだけならこのボールが一番でしょう。
ただし、ボールコントロールが難しいこと、ちょっと狂っただけで大ケガになること、ホールの曲がり方によっては全く使えないことなどあります。
④フェード系
ターゲット方向のやや左目から落ち際に小さく右へ曲がります。
このボールが持ち球の方は、ほかの球筋より安全確実、最低保証付きというところを見て選んでいるのかもしれません。
ボールコントロールが比較的やさしく、藤田寛之プロの持ち球の「パワーフェード」となると、ドローに負けず劣らず飛距離が出せます。
⑤スライス系
直進したボールが大きな右カーブを描きます。
初心者の登竜門とでも言いましょうか、好むと好まざるにかかわらず最初はこの球筋からスタートする方が圧倒的です。
ゴルフのスイングの構造と、人体に対しスタンスやボールの位置から考えればごく当然のことですが、曲がり幅の調整が難しいことと飛距離が出ない、風に弱いなどの欠点が嫌われる原因です。
スイング軌道による弾道傾向
そもそもボールはなぜ曲がるかというと、空気抵抗(風)のほかにサイドスピンがかかるからです。
スクウェアなスイング軌道で100%スクウェアなクラブフェース、インパクトで芯を捉えればボールにサイドスピンはかからないのでまっすぐな弾道になります。
サイドスピンはインパクトの瞬間のヘッド軌道と肩のラインに大きく左右されます。
直接的なフェースアングルは、スイング軌道とアドレス(セットアップ)時のフェースの向きとグリップで決まります。
その関係をまとめたのが以下の表です。
初心者の場合アウトサイドインのスイング軌道が圧倒的に多く、また力みからインパクトの瞬間に方の向きがオープン(ヘッドが出ずにフェースが開いている)となってしまっているので、大きな急カーブを描くスライスを打ってしまいがちです。
ボールをコントロールするための具体的方法
先ほどもチラッと書きましたが、ストレートボールを打つのは非常に難しいものです(ドライバーの場合)。
多くのゴルファーに人気があり、おススメしたいのはやはりドロー系か(パワー)フェード系の持ち球です。
どちらも共通しているのはボールを擦るのではなく、つかまえて打つという点です。
つかまえるという意味は「インパクトでボールを長くフェース面に乗せて、右手で返す(押し込む)感覚」です。
技術的には最適なフェースローテーションが必要で、ドライバーならアッパーブローで打つにせよ、イメージとしてはできるだけヘッドが地面と並行に移動する距離(時間)をとることが大切です。
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ボールがうまくつかまると初速の出るサイドスピンがかかり、右回転ならフェード、左回転ならドローになります。
ミスするときはフェースが開きすぎたり閉じすぎたりするために極度なサイドスピンになります。
あまり手首を使いすぎないで、自然に返すことができると問題ありません。
つかまえるという感覚が難しいようであれば、釘をハンマーで打ち込むといった感覚を持つと良いでしょう。
ゴルフボールはインパクト時に8mm潰れると最適な飛距離を出せるというシミュレート結果があります。
いわゆる「擦り打ち」ではボールを潰すことができず、またサイドスピンがかかるばかりでスライスやフックとなってしまいます。
打球が曲がるのは悪いことではない
ゴルフに限らず、ほとんどのスポーツにはきちんとした基本があります。
ただしゴルフは多少の基本的理論を外れても、それが全くダメだとバッサリ言い切れないところがあります。
時々、とても基本を外れていてお手本になりそうもない、非常にクセの強い個性的なゴルファーがいます。
ゴルフスイングの基本理念を外れ、見た目のあまりよろしくない「クセ」になっていても、それが個性として「一定」すればスコアのまとまったゴルフになります。
「持ち球」とはまさにこのことで、打球が曲がるのは悪いことではなく、曲がりを安定させればそれが大きな武器になります。
かつて欧州のシニアツアーで日本人初めての賞金王になった海老原清治プロはこう言いました。
「持ち球がスライスならずっとスライスでいいんだよ。ドライバーが右に曲がったらセカンドもスライスを打てばいいんだから」
スイングのクセは持ち球を生む
初心者の方といっても100人100色です。
前述のようにゴルフを覚える段階で必ず個性が自分のスタイルに反映され、それぞれのスイング軌道が決まればそれぞれの球筋=持ち球が固まってきます。
「スイングにクセがある」といわれると若干耳障りが悪いのですが、クセ(個性)がないのもゴルフでは逆に困りものです。
スイングスタイルに個性がないかクセが全くないことはあまり考えにくいのですが、その方は持ち球どころか、打つたびに右に行ったり左に飛んだりするタイプとなります。
つまり反復性がほとんどないということですから、持ち球も安定性も同時に失います。
スイングはトップスイングからインパクトまで0コンマ何秒という世界ですから、ムリに矯正しようとせず自分に合ったタイミング・スイングをすることのほうがスコアは安定してきます。
まとめ
世界のトッププロでもさらなる高みを目指すとき、スイングの改造や持ち球の変更を試みることがありますが、一定のレベルに達した後に持ち球を変えることはハイリスク・ハイリターンとなります。
皆さんもそんな冒険心から調子を崩したプロや、中には名前が消えていったプロは枚挙にいとまがありません。
本文でも触れましたが、スライスが治らないならいっそスライスを自分の持ち球にするという考え方もあります。
スライスなら最初から最後までスライスで通すなら、それなりのスコアメイクができるものです。
そのためには「自分の持ち球を把握したうえでのコースマネージメント」が必要になります。
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