あなたは「ドライバー恐怖症」に陥ったことありませんか?
普通に打ったら右へ曲がってOBするから、と思いっきり左のOBゾーンへ構えて打ち出したのに、切れ味抜群のスライスでまさかの右サイドへOB…
気付けば後半のロングホール、ティショットで手に持ったクラブは5番アイアン。
日頃のストレスを解消しに来たゴルフなのに、なぜかストレスが増えてご帰宅、なんてことになったら目も当てられません。
今回はそんなスライス病が完治するやさしい治療法のご紹介です。
フック病の方はこちらをご確認ください。
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スライスボールとハサミは使いようですが…
こう書き進めると、まるで「スライス」は極悪人ではないかと思われるかもしれません。
でも、スライスはスライスでもインテンショナル・スライス(曲げ幅まで意図してあえて右に曲げる)もあります。
林の中から脱出するときに、これがピタッと決まってベタピンにつけられたことは、数百分の一のマグレであろうと生涯忘れられない想い出になります。
意図的に曲げるということは、そもそもどうやったらスライスになるかということを知らない人にはできない芸当です。
考えてみるまでもなくスライスやフックは、球を操るという意味でゴルフの根幹をなす技術に関わる言葉で、悪い意味だけではありません。
では「スライス」の原因と治療法を探っていきます。
「スライス」とは?
アイアンもアプローチも曲がらないのに、ドライバーだけはなぜあんなに曲がるんだろうという疑問は初心者時代誰でも思うことです。
「スライス」の原因を探る前にまず意味を抑えておきましょう。
スライスとはショットの弾道が左から右(右利きの例)に大きく曲がっていくボールのことです。
少しだけの右カーブとか、頂点からやや右に回り落ちるボールはフェードボールなどと分けられ、スライスとは言いません。
逆に大きく左に曲がるとフックといいます。
「スライス」という言葉自体はすでに19世紀の英国の文献に登場しています。
曲がり幅がどの辺からかはあまりシッカリした区別がなく、強烈なサイドスピンで右カーブしていき、極端に曲がると「バナナボール」などと冷やかされます。
スライスの原因はなんだろう?
先ほども出ていましたが、”曲がってしまった”のではなく、意図的に”曲げた”インテンショナル・スライスがあります。
その打法を知ることがスライスの原因を理解するための近道です。
意図的にスライスを打つときは、ボールを強くカットします。
カットというのはテイクバックでヘッドを外側(体から離れる方向)に出して、ダウンスイング以降は逆にインサイドに振り抜く打ち方です。
つまりスライスを打つときは、スタンスもアドレスの時のフェースもオープンにして構え、グリップをできるだけ返さないでアウトサイドインに引くように打ち抜いて強い右回転をかければいいのです。
そして最近は「パワーフェード」という飛距離の出る曲げたショットもトッププロ達がこぞって使うようになってきています。
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フックはその反対にインサイドから外に、ヘッドを押し出して手首を返すと強烈に左カーブを描いて飛んで行きます。
これでスライスの正体がハッキリお分かりかと思います。言ってみればスライスは「引き球」で、フックは「押し球」だといえます。
スライス解消のとっておき練習法
ここまででスライスの意味とその原因がわかってきました。
そうなるとスライスの治療法が見えてきます。
原因のところで出てきた打ち方をしない、その逆のスイングを行えばいいだけです。
着目したいところは2点です。
- スイング軌道がアウトサイドイン
- インパクトの時にフェースを開く
そこを抑えて細部の対処法の解説にはいります。
①スライスはグリップから治す
グリップは基本の基本ですが、いわゆるウイークグリップはスライスしやすい、スライスを打ちやすいグリップといえます。
まずはストロンググリップに変えてみましょう。
シャフトの中心線から左手のVの字(親指と薬指で作るV)がアゴの右を向くように握ります。右手のVの字は右肩方向になります。
グリップを強く握るとスライスしやすいので軽く握ります。
クラブの反対側を誰かに引っ張らせて、スッと手の平から抜けない程度の強さだと考えてください。
どうしてもグリップがうまくいかない時はグリップを矯正する練習器具などを使ってみるのも良いかもしれません。
②アドレスにも問題アリ!
スライサーは知らず知らずオープンスタンスになっている傾向があります。
オープンスタンスとは飛球線方向に対し体が開いている、両足の先端がスクエアではなくて左足がやや下がっているスタイルです。
スライス対処法のちょっと荒療治ですが、逆にクローズドスタンスにして練習したらいっぺんに改善された人もいます。
飛球線方向に対し、足の先端を一度一直線に合わせてから右足をボール2~3個分うしろに引いて構えます。
テニスをする方はトップスピンをかける時に左足を少し前に踏み出すでしょう。
あのイメージでスイングすると腕の使い方が自然に理解できます。
やってみてフッと一度でもその「間」を経験してつかめれば、スイング軌道がアウトサイドインになることはありません。
先ほど出てきた「押し球」軌道が簡単に実現します。
③スライサーの腕の振り方改善
次に、スライサーに多い腕の振り方です。
スライスすることを恐れるあまり、バックスイングでクラブを寝かせて低くお尻のほうに引こうとするタイプがいます。
これを直さないとスライスは止まりません。
この癖を直すためにはスローモーション素振り良い練習になります。
ハーフバック(シャフトまたは腕が地面と平行になった時点)の時にフェースが自分の胸とパラレル(並行)になっているかどうか。
スライスする方はフェースが空を見ています。
バックスイングではできるだけシャフトを立てて振る意識が大事です。
そしてトップでクラブのシャフトがほぼ地面と平行になった時、その位置が両肩のやや後方(背中側)にあれば間違いありません。
また過度のオーバースイングになると、得てしてグリップが体から離れることが多々あります。
こうなるとヘッドスピードが上がりにくくなり、効率という点でロスが出ます。
④スライサーは右サイドが甘い
ダウンスイングで右肘と右の脇の下に原因があるとスライスは出やすくなります。
まず右肘が前に出過ぎるタイプです。
ターゲット方向に対し、右肘が突っ込まないようにしないと必要以上にフェースが開いてしまいます。
ゴルフのスイングには「振り遅れ」という言葉があります。
野球ならわかりますが、止まっているボールに振り遅れは??と思うかもしれませんね。
しかしこの右肘のツッコミがその表現にピッタリ合っていて、結局インパクト直前でフェースの開きを合わせようするため、いきなり手首を返すのですがインパクトには間に合いません。
また、右の脇の下が空いたままスイングすると確実にアウトサイドイン軌道になってスライスします。
グッと脇を締めると改善されます。
スライスの原因と治し方のまとめ
インパクトのときフェースが開いているからスライスするという理論は、それだけでは誤解を生みます。
逆に、その開きを嫌がってアウトサイドインでスライスになる初心者が大半です。
実は(高弾道の)ドローボールを打つときは、クラブフェースはやや開き気味です。
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スライスさせないインパクトは、むしろフェースは2°程度開き気味(標準的な軌道)でボールの内側(体に近い方)から外に押し出す「押し球」のスイング矯正で確実に治療できます。
インサイドインに振る練習をしていくことが解決の近道です。
ドローヒッターの上級者は2°の開きと、クラブの入れ方が3~4°インサイドから押していくことも参考にしましょう。