「ゴルフの唯一の欠点は面白すぎることである」
イギリスで最も著名なゴルフ評論家のヘンリー・ロングハーストはこういいました。
面白さの原点にはスルーザグリーンのコースマネージメントがあります。
一昔前、男どもは熱中しヨメさんをほっぽらかして「ゴルフウイドゥ」にするし、1452年には軍人が夢中になりすぎて国防の弱体化から、イギリス国王ジェームス2世がゴルフ禁止令(The ban of Golf)まで出しました。
先日、ゴルフを始めて間もないという水泳の金メダリスト北島康介さんが、ゴルフの感想を聞かれて「思うようにいかないから面白い」と答えました。
止まっているボールを穴に入れるだけの簡単な話が、やってみるとなぜこれほど難しいことかという素直な感想が伝わります。
まだゴルフの経験がない方には、コースマネージメントの醍醐味はなかなか説明しても理解できません。
今回はコースマネージメント「スルーザグリーン編」の解説です。
スルーザグリーンとは、ティーグラウンドからグリーンまでのハザード(バンカーや池など)を除いた場所のことで、いくらパッティングがよくても「道中の攻め」が悪ければパーを取ることは容易ではありません。
また腕前が良くてもコースマネージメントを疎かにしてしまっていては、なかなか記録更新とはいかないのがゴルフです。
ぜひ読み進めていただき、コースマネージメントの奥深さと楽しさに気付いていただければ幸いです。
ティグラウンド編はこちらからどうぞ。
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OBしないためのティーグラウンド対策「ティの位置・クラブ選択・フェアウェイを広く使う」
コースマネージメントはコースの最中だけでなく、すでにティーグラウンドから始まっています。
コース設計者の罠に引っ掛からないよう、ティーグラウンドの錯覚を見破ることから始めます。
スコアを縮めるコースマネージメント・スルーザグリーン編
ゴルフは「あるがままにプレーする」のが基本的な概念です。
そしてゴルフコースに配された障害を乗り越えないと、ゴール(ホール)に辿りつけません。
時にはゴルフ場設計者の罠にハマり「ナイスショット!」だと思っていても、ボールが落ちた場所へ行くとバンカーだったなんてこともよくあります。
こうなると、ゴルフショットの精度だけでなく、コースの攻略法、つまりコースマネジメントの良し悪しがスコアに多大な影響を与えてしまいます。
ゴルフ練習場ではナイスショットの連発でも、いざコースに出るとなかなか100が切れない方などはコースマネジメントに問題があるかもしれません。
ゴルフはある意味確率のゲーム
以前中嶋常幸プロのレッスンを取材したことがありましたが、その時印象に残った言葉があります。
「練習場でも打てないショットを、コースの本番でやってはいけません」
というものです。
初心者時代どなたも経験あるものですが、想定外の悪条件下にボールが行ってしまうと、まるで一か八かの曲芸ショットを試みる人がいます。
きっとどうしたらいいのかがわからずに、苦し紛れという感じです。
中嶋プロは「ライを見て90%成功する自信がなかったら、打てるところに出しなさい」といいます。
まさにこれぞコースマネージメントですね。
セカンドショットのコースマネージメント
コースデザイナーは意地悪な人ばかりです。(笑)
そこに池など作らないで!というところには必ず池があります。
パー4でグリーン手前に池があると、ドライバーショットで思ったほどの距離が出ないとき迷ってしまいます。
こんな時は「迷わず刻むのが鉄則」です。
先ほどの中嶋プロの教えがここでも生きてきます。
90%、いえいえ、こんなシチュエーションの時は120%の自信がないときは刻みましょう。
ムリして池に入れて大叩きしてしまうと、そこまで良いペースで来れば来るほどショックは大きなものになります。
2016年のマスターズトーナメントで、ジョーダン・スピース選手はアーメンコーナーの12番パー3でそれをやってしまいました。
2位とかなり差がありましたがそこで池に2発!優勝はその手から滑り落ちました。
超一流のプロでもそんなことがあるのがゴルフです。
1打払うという考え方
「上級者ほどあっさり1打払う」という常識がゴルフにあります。
ゴルフを始めたばかりの頃は、まだコースマネージメントのことを深く理解していないため、ただひたすらにピン方向に打つものです。
例えば林に入った時、池の淵で打ちにくいとき、深いラフに入ってボールが見えないような時でも、とにかくグリーンに近づけることだけしか考えません。
こんなピンチの時、アッサリと横に出して次のショットにかけるというマネージメントは上級者ほどサッと浮かびます。
100切り前の試練として、このような時は1打がもったいないと考えて大叩き劇場の幕を上げないことこそが、コースマネージメントの第一歩です。
パーをとるためのマネージメント
ティショットがまっすぐ飛び、グリーンまでは残り150ヤード。
7番アイアンでギリギリ届く距離ですが、どうしようか悩むところです。
もちろんギャンブルショットを楽しむのもアリですが、今回はコースマネージメントの解説をしているのでナシとします。
上記画像のように、グリーン周りには左右にバンカーが、グリーン奥は崖となっています。
こんな時は「絶対に打ち込んではいけない場所」をインプットし、「もしミスをしてもリカバリーができる場所」を狙うようにしましょう。
この場合、狙うべきは赤マルの花道で、失敗しても右のラフで止まるクラブを選びます。
花道に止まればアプローチショットで寄せワンパー、寄り切らなくてもボギーですが、もし左奥に落ちてしまったらOB、もしくは脱出に数打かかってしまいます。
そしてこういう精神的な余裕を持って行うショットというのは、得てしてナイスショットになる確率も上がります。
グリーン右サイドにつければパーオンです。
こちらの記事でホ-ル別の攻略法について解説していますので是非参考にしてみてください。
コースマネージメント・スルーザグリーン編のまとめ
ここまでコースマネージメントのポイントについて書いてきました。
最後に、アプローチに関するコースマネージメントを紹介しておきます。
手前が池とかバンカーでピンがギリギリ手前に切ってあるホールはよくあります。
ピンからグリーンエッジまでの狭いサイドはショートサイドといい、それに対する言葉として「ファット・サイド」があります。
ゴルフは危険を楽しむという側面があるにせよ、初心者の方があまり無理することはおススメしません。
うまくいけばバーディが狙える位置でも、失敗して大けがではガッカリです。
ファットサイドは安全なゾーンという意味で、初心者の頃はそのゾーンを真っ先に考えるべきです。
ミスしても寄せやすい位置から寄せワンを狙うのがコースマネージメントのセオリーだと理解してください。
リスクを回避しながらコース攻略することが、本当のコースマネージメントの真髄です。