ゴルフのスイングは一種の「瞬間芸」です。
ゆっくり振っても数秒、一般男子のアマなら平均2秒あれば完結します。そのために0コンマ数秒という微妙なタイミングのずれがミスに繋がります。
ドライバーで200ヤード飛ばす方なら、狙った角度が5度違っただけで20ヤード以上も違った場所に飛んでいってしまいます。
さらにスライス回転などで15度も曲がってしまったなら、50ヤード以上逸れていって隣のコース、またはOBとなってしまうでしょう。
この一瞬の出来事に大きくかかわってくるのが「バックスイング」です。
ゴルフを始めたての方はどうしても「インパクトの瞬間」にばかり気を取られがちですが、バックスイングが間違っていると正しい軌道でヘッドがボールに衝突しないので、ボールに余計な回転が加わったり狙った方向にフェースが当たらずミスショットとなってしまいます。
ダウンスイングに関する解説記事はこちら
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今回はバックスイングの大切さと、よくあるバックスイングの失敗事例から学び、正しいスイングを身につけるためのドリルです。
バックスイングはセットアップとトップを結ぶ大事な架け橋
ゴルフのスイングを分解すると10か所の大事なポイントが見えてきます。
それぞれの特徴とベストな形を結ぶ線ができます。
それぞれが独立したものではなく、流れるように振ることができると自分流のスイングが徐々にできてきます。
多くのアマチュアゴルファーはスイングの緊張から、バックスイングに力が入り過ぎてしまい、またインパクトの瞬間に気を取られ過ぎて、それぞれのポイントがバラバラになってしまいます。
スイングのチェックポイントは以下の通りです。
- セットアップ(アドレスとボール位置)
- テイクバック(体の始動でヘッドを引く)
- バックスイング(トップへのつなぎ)
- トップ(ストロークの始まり)
- 切り返し(タメ)
- ダウンスイング(タイミング)
- インパクト(打つ感覚から振る感覚で)
- 手首の返し(こねないで自然に返す)
- フォロースルー(一連の流れ)
- フィニッシュ(途中で止めないこと)
どれをとっても中途半端でいいものはありません。
このうちバックスイングは1~5までを司り、またスイングプレーンの始まりでもあるため、「バックスイングが良くない=間違ったスイング」となります。
それでは、ここからは「やってはいけないバックスイング」の5つの事例を紹介していきます。
誤ったスイングを知ることで、反対に正しいスイングの仕方を理解することができます。
①手首だけでヘッドを引いてしまう
アドレスから肩や腰を回さないで、手首だけでヘッドを引くパターンです。
このテイクバックのミスがあるとバックスイングはスムースに行えなくなります。
手首だけでヘッドを引くと、体幹がじっとしている分安心感があるのかもしれません。
手首だけ使ったバックスイングは、バックスイングの基本であるアドレス時の両肩の先端と手首(グリップ)で形成した三角形が最初から形を崩して失敗します。
構えたらリキミをとり体を柔軟に保ち、ワッグルをする(アドレス中に肩の力を抜いて手首を軽く前後させる)。
常にそうすることでスッとバックスイングに入れ、ヘッドスピードも今より簡単に上がってきます。
②アウトサイドに引いてしまっている
バックスイングを始めると、とにかくヘッドをまっすぐ引くのだという誤解から、知らず知らずアウトサイドに引いている方がいます。
自分では「うまく引けている感」があるので、注意されないと直すことはありません。
この修正は意外と簡単です。
練習場で両足の踵にターゲット方向に向けたクラブを1本置きます。
両肩とグリップの三角形を維持したまま腰の回転からはじめます。
肩を回そうと意識するより、腰の主導で入るほうが力まずに回転できます。
アドレスの位置からシャフトが地面と平行になった時に、伸ばした左腕の先のヘッドを見てください。
「ヘッドが地面に置いたクラブの上に来ている」ことが確認できればば正しいバックスイングが行われていることが確認できます。
バックスイングとダウンスイングは以下のラインで形成されるVゾーン内に収まることが理想です。
- 首の付け根とクラブヘッドのライン
- 腰とクラブヘッドのライン
自分ではその通りにしているつもりでも意外とVゾーンからはみ出していることがあります。
「M-Tracer For Golf」というスイング分析・改善アプリを使えば、自分のスイングがVゾーンに収まっているかを確認することができます。
詳しい記事はこちらをご参照ください。
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理想のスイングの手が入る「M-Tracer」とは?力を抜くと飛ぶことが数値で分かる!使い方と解析・改善方法
ゴルフスイングが3Dで可視化できる夢のゴルフトレーナー「M-Tracer」
これを使えば自分のスイングはどこが悪いかすぐに分かります。
また、良く言われている「力いっぱい振ると飛ばない」ということも、M-Tracerを使えば数値で解説してくれます。
③フェースをかぶせてしまう
スライスを怖がってしまい、構えた時からフェースをかぶせて(クローズ)しまっている方がいます。
構えた時からグリップの位置が左の太ももの前にあり、腕とシャフトが「くの字」の形になっています。
この状態からテイクバックを行うと、キレイなフェースターンを実現することができず、狙った方向へ飛ばすには手首を不自然に動かす必要が出てきてしまいます。
こうなると再現性は低くなり、右へ飛んだり左へ飛んだりバラバラな弾道となってしまいます。
④フェースを開いてしまう
反対に、バックスイングの始動段階から不自然にフェースを開こうとしている方がいます。
実際にはある程度のフェースローテーションがないと飛距離は出ません。
しかし、フェースは手首でこねて強引に開くものでもありません。
アドレスでは飛球線方向に対しフェースが90度になるとスクエア(写真)です。
ドローボール系の時はややオープンに、フェード系のボールを打つならややクローズになりますが基本はスクエアです。
※逆ではないですよ、くわしくは「ドローボールを打つコツ」を見てください。
バックスイングで徐々に開き、トップに来るとフェース面は体の正面を向きます。
その向きはインパクトの時にアドレスの形に戻り、その後は徐々に閉じて右腕が伸びきった状態(右腕が地面と平行になった時)では再び正面を向きます。
⑤腕とクラブが真っすぐになっている
自然な流れるようにカッコいいバックスイングは、人体の構造に従った無理のないものでないと飛距離も方向もイメージ通りいきません。
ゴルフを始めたばかりの方で良く見られうのが腕とシャフトが直線的になってしまっている方です。
手首が寝てしまえばしまうほどパワーがボールに伝わらなくなります。
では自然な形とはどういうものでしょう。
人の腕はごく自然にまっすぐ伸ばした時、その延長線上に中指があります。
シャフトは左手の手のひらの生命線に沿って斜めに握られますから、腕とシャフトには角度ができるのが自然です。
その角度を保ったままで構えれば、ほぼほぼ垂直に下がった腕とシャフトが絶妙なライ角に合致することがお分かりでしょう。
これが力感のない、ゆとりある自然の構え方なのです。
バックスイングはVゾーン内に収める
バックスイングはトップやインパクトにきちんとつなぐ大事な役割があります。
インパクトばかり考えてしまい、比較的粗雑で性急にヘッドを持ち上げようとしてはミスになります。
安定したバックスイングこそ全体に良いスイングを生み出すことを理解してください。
また、クラブヘッドと首の付け根ライン・クラブヘッドと腰のラインの2本で出来るVゾーンにバックスイングをすることで、安定したダウンスイングに繋がります。
クラブを後ろに引くときにヘッドを見つめるようにしてトップまで持って行き、その軌道のままダウンスイングに向かっているかを確認してみましょう。
自分が思っている以上にバックスイング時とダウンスイング時で違う軌道になっているのが分かります。